2021年2月22日公開
3月26日金曜日、ライオンズはメットライフドームにオリックスバファローズを迎えて開幕カードを戦う。そして開幕戦の先発投手には髙橋光成投手が指名された。昨年の順位表だけを見ると、3位だったライオンズとダントツの最下位だったバファローズというカードになる。しかしライオンズは当然だが油断することはできない。
順位に関しては確かにライオンズの方が上だったわけだが、しかしチーム防御率はライオンズはの4.28に対しバファローズは3.97だった。そしてチーム打率もライオンズの.238に対しバファローズは.247で、共にライオンズの数字を上回っている。ホームラン数こそライオンズの107本に対しバファローズの90本だったが、盗塁数はライオンズの85個に対しバファローズは95個だった。
このように、実はライオンズはほとんどの数字でバファローズを下回っていたのが2020年の戦いだった。この数字だけを見ればライオンズが最下位でバファローズが3位だったとしてもまったく不思議はない。
しかもバファローズは今までのバファローズとは確実に変わってきている。ここ数年はチームに革命を起こせるような監督が就任することはなかったバファローズだが、今季正監督として指揮を執るのは中嶋聡新監督だ。捕手としての豊富な経験値と言い、今までのバファローズの監督にはなかった明るい性格と言い、中島監督にはバファローズを変えることのできる資質が備わっているように感じられる。
バファローズのように優勝からかなり遠ざかっているチームを勝たせるためには、やはり勝ち方を知っている人物が監督になるのが最適だと思う。そういう意味では中嶋監督は強かったオリックスを知っているし、ライオンズやファイターズでも勝つ野球を経験している。そういう意味でも今季のバファローズは決して侮れないと筆者は考える。
ただし、開幕戦に関しては髙橋投手にやや分があると言えるだろう。昨季高橋投手はバファローズを相手にノーヒットノーラン一歩手前のピッチングを見せているし、バファローズ戦4試合で3勝1敗、防御率1.93という好成績を残している。バファローズに対し非常に相性が良いのが髙橋投手なのだ。
不思議なものでピッチャーには投げやすいチーム、投げやすい球場というものがある。髙橋投手の場合はそれがバファローズなのだろう。昨季の通算防御率3.74に対しバファローズ戦は1.93と、通算よりも2点近く失点が少なかった。辻発彦監督ももちろんこのようなデータを加味した上で開幕投手を選んだのだと思う。
仮に「昨年一番頑張ったやつ」が高橋投手であっても、もし他の投手がバファローズに対し圧倒的な数字を残していたならば、また選択肢は変わっていただろう。だが現実は「昨年一番頑張ったやつ」もバファローズに対し抜群の成績を残したのも高橋投手だった。
だが繰り返すが、だからと言って油断することはできない。中嶋聡監督も高橋投手を攻略するための作戦を考えると明言しているのだから、昨季とまったく同じように気持ち良く投げさせてもらうことはできないだろう。
そうなってくるとやはり鍵になるのは配球だ。森友哉捕手が如何に配球によってバファローズ打線を翻弄できるかが、開幕戦で新生バファローズを下すためには重要になってくる。
2月23日火曜日の初の対外試合となるホークス戦の先発は松本航投手が予定されている。ということは今季開幕時の表ローテの一番手は高橋投手で、裏ローテの一番手が松本投手になるということなのだろう。
今季はこのふたりを中心にローテーションを回していくというのが現段階で見られる形であり、残りの4枠をサバイバル形式で篩にかけていくことになるようだ。
開幕戦は143試合のうちの1試合と言われることもあるが、筆者はそうは思わない。開幕戦はその一年の戦いを占うためには非常に重要な一戦だし、ここでチームが勢い付けば開幕ダッシュを決めることもできる。
まずは最低限リーグ優勝を目指していくわけだが、そのためにも開幕ダッシュは必要であり、開幕ダッシュに失敗をすればそれを取り戻すのに長い時間がかかってしまう。今季をシーズンを通して優位に戦っていくためにも、まずは初戦でしっかりと貯金1を作り、その貯金を決して失わずに戦っていくという形が必要だ。
だからこそ筆者は開幕戦はただの1試合ではなく、絶対に勝たなければならない重要な一戦だと考えている。そして今季そこを任されたのがエース候補であり、西口文也投手コーチから背番号13を受け継いだ髙橋光成投手というわけだ。
西口文也投手の開幕戦の戦績は好投をしながらも2勝3敗と負け越している。高橋投手にはいつか、2勝3敗というこの数字以上の開幕戦での戦績を残せる投手になってもらいたい。そして背番号13をエースの系譜としてさらに価値ある番号に育ててもらいたい!