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2022年9月28日公開

スクランブル待機が求められる髙橋光成投手、まずは体のケアを入念に!

髙橋光成

どうしてもあと1つ勝っておきたい髙橋光成投手

優勝争いの真っ只中にあるホークスをベルーナドームに迎えての一戦は、かなりタフな試合になることが予想されたのだが、結果は4-1というスコアでライオンズは勝つことができた。残りは「泣いても笑っても」という言葉がふさわしい3試合。明日水曜日は仙台での試合、土日は再びベルーナドームでホークス、そしてファイターズを迎え撃つ。

普通に考えれば3位を目指すライオンズよりも、優勝争いをしているホークスの方がモチベーションは高いはずだ。だがこの日はホークスもバファローズも足踏みとなり、バファローズとしては痛い一敗となってしまった。

残り4試合も残してマジック3のホークスと、首位ホークスとの差は1ゲームなのに2試合しか残っていないバファローズ。まだバファローズの連覇の可能性はあるわけだが、バファローズとしてもライオンズ同様に苦しい状況だ。

そしてこの日のライオンズは、先発投手としてホークスと対峙したのはエース髙橋光成投手だった。7回1失点という素晴らしい内容で、デスパイネ選手のソロホームランによる最小失点で投げ抜いた。球数が107球で、平時なら8回まで行ったかもしれない。だが髙橋投手は中3日で土曜日のホークス戦、もしくは中4日で日曜日のファイターズ戦に投げる可能性がある。

髙橋投手のスクランブル登板に関してはおそらくは明日のイーグルス戦次第になるのではないだろうか。現在3位ライオンズと4位イーグルスの差は0.5ゲームなのだが、万が一明日イーグルスが勝つようなことになれば、チームが後悔しないためにも3位の可能性がある限りは、髙橋投手は土日のどちらかに再び投げることになるだろう。

だが明日のイーグルス戦でライオンズが勝ち、イーグルスとの差を1.5ゲームに広げられれば、土曜日の登板はなくなるだろう。そしてその場合は対戦成績が2勝2敗ながらも対ホークス戦の防御率が2.32、WHIPが0.97と抜群の相性を誇る與座海人投手が先発マウンドに登る可能性が高いのではないだろうか。

そして土曜日のホークス戦を終えてもまだ順位が確定していなければ、日曜日のファイターズ戦は髙橋光成投手になる可能性がある。もうここまで来ればローテーションの順番など関係なくなる。まさに一戦必勝のトーナメントのような戦いになるため、エースである髙橋光成投手は中3日だろうと、中4日だろうと先発マウンドに登ることが求められる。

さらに言えば今日の勝利により髙橋投手は勝ち星を12と伸ばしたのだが、8敗しているため貯金はまだ4だ。エースとして貯金5で終えるためにもどうしてもあと1つ勝っておきたいところだろう。

千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手は20試合の登板で9勝5敗と4つの貯金を作っている。だが髙橋投手はエースでありながら、26試合に投げてまだ貯金を4つしか作れていない。もちろん打線との噛み合わせもあるわけだが、バファローズのエースである山本由伸投手が15勝5敗と貯金を10個も作っていることを考えると、髙橋投手はせめてその半分までには届かせておきたい。

しっかりと体に投資してもらいたい今後の髙橋光成投手

髙橋光成投手は、今季は学年的には26歳(2月生まれ)となるシーズンであり、まだ伸び盛りで全盛期さえ迎えていない投手だ。プロ野球選手は30歳を越えてからアスリートとしての全盛期を迎えることはまずない(成績という意味ではなく、パフォーマンスという意味に於いて)。20代で貯金した体力と技術を上手く使いながら、あとは経験値によって年齢の峠を上手く越えて行けると、40歳前後まで現役を続けることができる。

その点髙橋投手は来季はまだ27歳であり、野球選手が最も良いパフォーマンスを見せられると言われる27〜29歳という年齢に差し掛かっていく。とは言え2学年下の山本由伸投手にこれだけを差を空けられてしまうのはライオンズのエースとしては非常に寂しいため、来季の髙橋投手には山本由伸投手と同じレベルの活躍を期待したい。

今季の髙橋投手は防御率を大幅に改善したわけだが、しかし技術的にこの一年で何かがガラッと変わったわけではない。筆者から見て変わった点があるとすれば、右打者に対するスライダーがしっかりとストライクゾーンからボールゾーンに逃げていくことが増えたという点だ。勝負どころでこのようなボールを投げられる割合が増えたことで髙橋投手の防御率は改善されたと思うのだが、それでも昨季までの3点台後半から今季の2点台前半の改善を、これだけで説明することは難しい。

髙橋光成投手の防御率が改善された理由についての筆者の考察

現時点では、髙橋投手は確かに山本由伸投手に遅れを取っている。だが確実に言えることは、髙橋投手は一歩ずつエースの階段を昇り続けているということだ。一昨年よりも去年、去年よりも今年の方が良い。大きく崩れることなく、こうして成長を続けているところに筆者は大きな魅力を感じている。

ただし、野球の動作改善の専門家である筆者に言わせてもらえるのであれば、髙橋投手の投球フォームは右肩への負荷が非常に大きいのが心配だ。この特徴に関しては高校時代からほとんど変わっていないため、もしかしたら将来的には、髙橋投手には肩痛に苦しむ時が訪れてしまうかもしれない。

もちろん肩など痛めてもらいたくはないわけだが、そのようなリスクが非常に高いのが現時点での髙橋光成投手の投球フォームなのだ。だからこそ髙橋投手には肩を痛めないように、最善のケアをし続けてもらいたい。

髙橋光成投手は覚えているはずだ。引退セレモニーの際、松坂大輔投手が体のケアにしっかりと投資してくださいと語ったことを。髙橋投手にはこの言葉を決して忘れることなく、稼いだ分をしっかりと自らの体に投資しっていって欲しい。

たくさん稼いでも、それを夜の街に投資してしまうようなアスリートにはなってもらいたくはない。いや、もちろん優勝した時だけは別だ。日本一になったあとであれば、ご褒美として銀座で大人のお酒を嗜むのも良いだろう。そう、プロ野球選手であれば誰でも行けるようなキャバクラではなく、一見さんではなかなか入れないような銀座のお店に行ってもらいたい。かつての東尾修監督のように。そして他選手のように醜聞を聞かせることなく綺麗にお酒を飲んでもらいたい。

今季オフにライオンズナインが美酒を味わえる可能性は現時点では非常に低いわけだが、しかし一年後には下世話な週刊誌ではなく、スポーツ紙の一面にライオンズの監督が宙を舞う写真が掲載されるような秋を迎えられれば、ライオンズファンもやけ酒ではなく、美酒を味わえるはずだ。

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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