2024年1月14日公開
ライオンズは今、豊田清投手コーチの思惑通り着々と投手王国の再建が進んできているわけだが、今回のコラムではまずは先発陣に関して見ていきたいと思う。下記は2024年今季のローテーション入り有力候補と、ローテーション入りを目指す主な投手たちの名前となる。
【ローテーション入り有力候補】
髙橋光成投手、今井達也投手、平良海馬投手、松本航投手、隅田知一郎投手、與座海人投手
【ローテーション入りを目指す投手】
渡邉勇太朗投手、武内夏暉投手、青山美夏人投手、ボー・タカハシ投手、中村祐太投手、羽田慎之介投手
もちろん上記の投手たちだけがすべてというわけではないが、振り分けとしてはだいたいこのような形になってくると思う。今季に関しては先発タイプの外国人投手の獲得はなかった。そのためローテーションは基本的には純和製となることが予想されている。
近年は髙橋光成投手がエースとしてローテーションの中心になっていたわけだが、今季はまだ開幕投手は決まっておらず、松井稼頭央監督はキャンプ中に開幕を任せる投手に通達することを予告している。髙橋光成投手が4年連続4度目の開幕投手を務める可能性もあるわけだが、平良海馬投手や今井達也投手も今、虎視眈々と開幕投手の座を狙って来ている。
そしてキャンプ時の内容によっては松本航投手だって開幕投手を目指していきたいはずだ。近年はやや不安定なピッチングも多くなっている松本投手ではあるが、今季は中学三年生の時にメジャー兵庫という兵庫県代表チームでチームメイトだった甲斐野央投手が加入した。そのため松本投手も、甲斐野投手に負けたくないという気持ちが非常に強くなっているはずだ。
隅田知一郎投手と與座海人投手に関しては開幕投手の可能性は松本投手以上に低いとは思うが、しかし一年間ローテーションを守る能力はあるため、オープン戦でよほど状態が悪くない限りは開幕ローテーション入りする可能性は非常に高いと言える。特に15番という特別な背番号をもらった與座投手は、今季にかける思いは一入であるはずだ。
そして有力ローテーション候補には入っていないが、渡邉勇太朗投手も昨季終盤で見せた2試合連続での好投を考えると、ローテーション入りして来ても不思議ではない投手だ。渡邉勇太朗投手にしてもチーム内には蛭間拓哉選手という盟友がいるため、共に一軍で活躍したいという思いも強く、やはり近い将来はこの二人がライオンズを引っ張っていく形が理想的だと言える。
コラム:活躍次第では栄光の背番号18を手にすることも考えられる渡邉勇太朗投手
そしてドラフト1位ルーキーの武内夏暉投手もまた即戦力先発左腕で、開幕ローテーション入りして来てもまったく不思議ではない実力を持っている。ローテーション入り有力候補である松本投手、與座投手あたりがオープン戦で不甲斐ない姿を見せた場合は、武内投手が即座に開幕ローテーションに食い込んでくることになるだろう。
また、昨季は開幕守護神を努めた青山投手が、今季からは先発調整することになっている。青山投手も昨季は一年間一軍で経験を積み、今季はルーキーイヤー以上にレベルアップしていることが予想されるため、やはり有力候補者たちが崩れた場合はすぐにでもそのポジションに取って代わるようになるだろう。
同じく今季からの先発転向と言えばボー・タカハシ投手も同様だ。昨季まではリリーバーとして活躍したが、今季からは先発調整をするようにと言い渡されている。非常にタフなピッチャーであるボー・タカハシ投手がローテーション入りしてくることになれば、首脳陣としても嬉しい悩みがまた一つ増えることになる。
さらには育成ドラフトで獲得した中村祐太投手や、まだ一軍登板はないものの、最速157km/h左腕で所沢出身の羽田慎之介投手にも高い期待が寄せられている。羽田投手に関しては今かなり伸び盛りの投手で、少なくとも2024年は一軍デビューを果たす可能性は高くなっている。
左腕王国を築きつつあるライオンズにおいて、羽田投手は期待の星だと言えるだろう。もし羽田投手がオープン戦中に昨季以上の安定感を見せることができれば、開幕ローテーション入りのダークホースになると言っても過言ではないはずだ。
近年のライオンズはほとんどのドラフト1位投手が一軍の戦力となっている。これは2021〜2023年まで3年連続で人的補償でドラフト1位指名投手を流出させているホークスとは大きく異なる点だ。ドラフトで獲得して来た選手をしっかりと育てて戦力にしている近年のライオンズの姿は、これからまさに常勝時代を築き上げるであろうことを予感させてくれる。
そしてドラフト1位、もしくはドラフト上位選手たちがこのようにしっかりと伸びて来てくれると、チーム編成も非常に楽になる。豊田清コーチはまだまだ現在のピッチングスタッフには満足していないし、やはり近い将来はかつての松坂大輔投手や西口文也投手のような絶対的エースを誕生させたいと考えている。そのためにもやはりドラフト1位の投手たちには大きな期待が寄せられる。
絶対的エースという意味では、髙橋光成投手は確かに近年のエースピッチャーではあったが、タイトル争いにはほとんど絡んできていない。やはりライオンズのエースというのは、最多勝を獲ってこそだと思う。ただし最多勝を獲ってもかつての菊池雄星投手のように、上位チームにまったく勝てないというのでは困る。
菊池雄星投手の場合、当時常勝球団であったホークスとファイターズにはほとんど勝てずにメジャー移籍してしまった。髙橋投手や平良投手はここまで極端にカモにされている球団はないわけだが、しかしメジャー移籍を目指すのであれば圧倒的な数字を残してタイトルを獲得しなければならないだろう。
そして今季からライオンズでは上述の通り、青山投手とボー・タカハシ投手が先発に転向するわけだが、それは近い将来髙橋・平良両投手がライオンズを去ることが有力視されているためだ。だが1〜2年後にこの両投手が抜けたとしても、ライオンズにはまだまだ将来有望な先発投手候補たちがいる。これも渡辺久信GMを筆頭に、編成部のスカウトマンたちが全国を駆けずり回って素晴らしい選手たちを見つけて来てくれたおかげだ。
一部の球団は、なかなかローテーション投手を6人揃えられないという状況もある中、ライオンズに関しては先発陣に関してはかなり安定して来ていると言えるだろう。ローテーションの有力候補たちに万が一不慮の怪我などがあったとしても、いくらでもカヴァーできる投手が後ろには控えている。
だが安定感だけではダメだ。ライオンズが常勝球団になっていくためには、絶対的エースの存在が必要なのだ。そういう意味でも期待したいのが、今のところメジャー移籍希望を口にはしていない今井達也投手や、もう中堅となって来ている松本航投手、さらにはルーキー武内夏暉投手に大きな期待を寄せていきたい。
この中から一人でも絶対的エースが誕生してくれれば、髙橋・平良両投手が抜けた後でもライオンズの先発陣はずっと安泰だと言うことができるし、今季ライオンズが日本一を奪回できる可能性も非常に高くなっていくだろう。