2021年2月21日公開
2021年春季キャンプ最終日となった今日2月21日、辻発彦監督は今季の開幕投手に髙橋光成投手を指名した。以前より「昨年一番頑張ったやつに任せたい」と話していただけあって、よほどのことがない限りは前々から高橋投手を指名するつもりだったのだろう。
髙橋投手は高卒7年目にして初の大役を任されることになる。そして3月26日(金)メットライフドームに迎えるのはオリックスバファローズで、投げ合う相手は昨季最多奪三振のタイトルホルダーである山本由伸投手だと思われる。
山本投手は髙橋投手よりも学年は2つ下だが、今季年俸は髙橋投手の6700万円に対し、山本投手は1億5000万円と2倍上の差がある。タイトルは2019年に最優秀防御率、2020年に最多奪三振を獲得しているが、自己最多はまだ8勝で、通算成績は21勝13敗となっている。この数字だけを見ると1億5000万円に見合っているとは思えないが、しかし二度のタイトル獲得が高年俸につながっているのだろう。
一方の髙橋投手は通算32勝32敗で、数字的にはまだ殻を打ち破っているとは言えない。だが昨季はあわやノーヒットノーランという快投も披露しており、今ライオンズの中で最も成長著しい選手のひとりだ。
髙橋投手が開幕戦で山本投手に投げ勝つには、とにかくできるだけ少ない走者でピッチングをまとめるということだろう。昨季のWHIPの数値を見ると高橋投手の1.20に対し、山本投手は0.94でリーグ最高の数字をマークしている。ちなみにWHIPとは、1イニングあたりに出してしまう走者の数を表しており、山本投手は1イニングに走者を1人出すか出さないか、ということになる。一方の髙橋投手は毎イニング1.2人の走者を出している、という計算だ。
このWHIPは防御率にも大きな影響を与えており、昨季は髙橋投手の3.74に対し、山本投手は2.20で、完投した場合山本投手の方が失点が1.5点少ないということになる。21勝13敗と、まだまだ際立った数字を残しているピッチャーではないが、しかしピッチングの内容は開幕投手を任されるレベルだけにエース級だ。
2019年に二桁勝利をマークしている髙橋投手に対し、8勝が自己最多の山本投手。獲得してきたタイトルを度返しすれば甲乙付け難い両者の戦績となっており、勝負の鍵となるのは四球数になってくるのではないだろうか。与四球率2.63の山本投手に対し、髙橋投手は3.29となっている。
髙橋投手とすれば無駄な四球を出さずに、どんどんストライクゾーンで勝負していくことができれば、昨季後半に見せてくれたような快投を今季も続けていくことができるだろう。そしてそのようなピッチングが続いていけば、相手チームとのエース対決が増えたとしても、同時に白星も増やしていけるはずだ。
今季のライオンズの開幕戦は、若きエース候補同士のぶつかり合いとなる。先発再転向3年目の山本投手と、ライオンズの成長株髙橋光成投手。この若々しいふたりの対決は、開幕戦6球場の中で最も注目すべきカードとなるはずだ。