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2023年12月18日公開

西武に新加入する4人目の助っ人は大物メジャーリーガー、ヘスス・アギラー選手

これまで西武が獲得した助っ人以上の大物選手、ヘスス・アギラー選手

ヘスス・アギラー

筆者が『韓国のプロ野球がマキノン選手とエンス投手に大金を支払った理由』で予測した通り、ライオンズはマキノン選手の退団に伴い、今オフ4人目となる助っ人大砲候補を獲得したとスポニチがいち早く報道した。しかもこれまでに獲得した選手以上の大物選手だ。

ちなみに筆者は「一塁も守れる三塁手で、年俸は7,000〜8,000万円の大砲候補」と予測したが、アギラー選手は「三塁も守れる一塁手で、このメジャー実績と今季$3,000,000(4億2746万円)という年俸を踏まえると、この選手の年俸はかなり高額になることが予想される。

コルデロ外野手を獲得した際も「良い選手獲ることができた」と思ったが、今回獲得したヘスス・アギラー内野手はコルデロ選手以上の大物助っ人選手だ。

メジャー経験も豊富で通算114本塁打を放っており、2018年にはミルウォーキー・ブルワーズで35本塁打をマークしている。近年では2021年に21本、2022年が16本とやや成績を落としてきてはいるが、破壊力抜群の長打力は日本のプロ野球で再爆発する可能性が高い。

バッティングの特徴としては基本的にはブルヒッターではあるが、無茶な大振りをするわけではなく反対方向にもホームランを打つことができ、コンパクトに振りつつも打球に回転を与えていくのが非常に巧い打者だ。弾丸ライナーではなく、美しい放物線を描く滞空時間の長いホームランが多いという意味では中村剛也選手と共通する。

エルネスト・メヒア選手が退団して以来、ライオンズの外国人打者は迫力に欠ける選手の獲得が続いていた。しかし今オフはコルデロ選手にアギラー選手と、二人とも迫力満点の大柄な大砲だ。

今季は得点力不足に苦しんだライオンズではあったが、この二人の獲得によりそれが一気に解消されたことになる。あとはリードオフマンさえ固定できれば、ライオンズは来季、一気に優勝候補の一角へとのし上がっていくだろう。

山川選手とは違いチャンスでの強さが魅力のヘスス・アギラー選手

さて、今季のアギラー選手の年俸は4億円を超えていたわけだが、ライオンズでの年俸がまだどれくらいになるのかは正式には発表されていない。しかし入団合意には至っているとのことなので、近日中には恐らくは発表されるのだろう。

年俸がどれほどの額になるのかを知るのは楽しみではあるが、西武球団には山川穂高選手、森友哉選手で浮いた資金に加え、昨年近藤健介選手を獲得するために用意していた資金もある。これらの予算をしっかり使い上手く補強できたのが今オフの西武球団だ。

アギラー選手、コルデロ選手の獲得により、まず山川・森両選手の穴は完全に埋まったどころか、それ以上の破壊力を得ることができた。筆者は来季の四番は渡部健人選手に期待していたのだが、アギラー選手の獲得により四番アギラー選手、五番コルデロ選手という並びが俄かに現実的になってきた。

渡部選手ももちろん四番候補ではあるが、実績と年俸を考えればやはりアギラー選手が優先起用されていくことが自然だ。だが渡部選手にはそれに負けないように来季は今まで以上の奮起を期待したい。

さて、筆者はこれまで散々山川選手の得点圏打率の低さを指摘してきた。だがアギラー選手の得点圏打率を見ると、年間打率を上回っていることが多い。例えば2020年は打率.277だったのに対し、得点圏打率は.333だった。そして2021年は打率.261に対し得点圏打率は.328となっていた。

近年四番を務めていた山川選手のチャンスでの弱さを考えれば、このアギラー選手の得点圏打率の高さは非常に期待を持てる数字となっている。ここ1〜2年はメジャーでは数字を落としていたアギラー選手だが、投手の平均球速がメジャーよりも10km/h程度遅くなる日本であれば、来季アギラー選手がベルーナドームで大暴れすることはほぼ確実だと言えるだろう。

後藤高志オーナーの有言実行で完成させた大型補強

今オフのライオンズは育成選手の二人も含めて、外国人選手はすべて中米のスペイン語圏内の選手を獲得した。コルデロ選手、アブレイユ投手ヤン投手はドミニカ人で、アギラー選手はベネズエラ人だ。

西武球団は今オフ、すでにスペイン語の通訳と契約をしているわけだが、外国人選手全員がチーム内でスペイン語でコミュニケーションを取れるというのは、慣れない日本の地でプレーするにあたり、彼らにとっては心強いアドバンテージとなるはずだ。

ちなみにライオンズでドミニカ人選手が活躍することになれば、それはマルちゃんことドミンゴ・マルティネス選手(1997〜1998年)、故トニー・フェルナンデス選手(2000年)、ホセ・フェルナンデス選手(2004〜2005年,2010〜2011年)以来となるのではないだろうか。

ちなみに西武ドームのベンチ裏からは、トニー・フェルナンデス選手の要望で灰皿が撤去されている。フェルナンデス選手のアスリートとして体づくりに対する意識の高さが日本人選手以上だったことは、当時はよく注目されていた。残念ながら2020年に57歳という若さで逝去してしまったが、トニー・フェルナンデス選手はどの選手にとってもお手本となる本当に素晴らしい助っ人選手だった。

一方ベネズエラ人としてはアレックス・カブレラ選手、エルネスト・メヒア選手がそうであるため、比較的ライオンズファンの記憶には新しいのではないだろうか。

とにかく来季は支配下選手として4人、育成選手として2人のラテン系選手の新入団がライオンズではすでに確定している。彼らラテン系の選手たちが来年ある程度でも機能したら、もしくはしっかりと機能したら、ライオンズの投手力と守備力を考えれば、間違いなく優勝候補の一角として数えられることになるだろう。

そしてまさに後藤高志オーナーの言葉通り、今オフは資金をまったく気にしない大型補強を西武球団は成功させた。こうしてしっかりと補強してくれたことを考えると、本来の四番打者がまったく機能しなかった今季の失敗を踏まえたことで、ライオンズは来季は本気で優勝を狙いにきているな、ということがヒシヒシとファンに伝わってくる。

アギラー選手は山川選手とは異なり、来季ベルーナドームのチャンスの場面でガンガン打ってくれるはずだ。そして今季の得点力不足が嘘だったかのように破壊力抜群の打線を率い、そしてリーグ屈指の投手力により、来年はきっとリーグ優勝だけではなく、2008年以来の日本一をファンに見せてくれるはずだ。

そのような近未来を確信できるほど、今オフの西武球団はファンの期待を上回る素晴らしい補強を完成させてくれた。このラテンカルテットを獲得できたことを考えても、山川選手がライオンズを出て行ってくれて本当に良かったと感じているのはきっと筆者だけではないはずだ。

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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