2021年11月27日公開
ライオンズの外国人選手の補強が例年以上に速いペースで進められている。左打ちのオグレディ選手に続き、最速156km左腕のディートリック・エンス投手の獲得も決まった。長い間先発左腕不足に苦しんだライオンズだが、その穴がエンス投手によって埋められれば来年の戦い方もまた変わってくるだろう。
日本で活躍できる外国人選手の特徴を挙げると、やはり一番は人柄となる。日本野球をリスペクトしながらプレーできるということは何よりも重要だ。バリバリのメジャーリーガーを連れて来ても、日本野球をリスペクトしていない場合鳴かず飛ばずで帰国していくケースは過去幾度もあった。
そういう意味ではエンス投手は日本で成功を収めたいという気持ちを前面に出しているため、怪我さえなければ1軍の戦力となってくれるはずだ。
エンス投手の特徴としては、内外への投げ分けがとても上手い投手のように見える。特に右打者への内角に食い込んでいくカッターは、打者は打つのにかなり苦労するのではないだろうか。
ストレートのアヴェレージは94mph(151.2km/h)くらいで、最速は97mph(156.1km/h)であるようだ。左から常時150kmを越えるボールを投げられれば、それだけでも大きな武器となる。
ピッチングスタイルとしてはフォーシームストレートが60%弱、カッターが40%弱だ。だがこれはリリーバーとしての数字であり、先発となればカーブやチェンジアップの割合も増やしていくのだろう。
エンス投手は2012年のドラフト19巡目でヤンキース入りしたのだが、この後はツインズ、レイズ、マリナーズなどのマイナーを転々とし、独立リーグでプレーした経験もある。
その独立リーグは6週間しか開催されず、その時の給与は僅かに750ドルで、日本円で9万円にも満たない額だった。それが日本にやってくることになり、来季の年俸は1億円となる。
給与が750ドルだったと時は引退も考えたようだが、しかし諦めずにプレーし続けたことでエンス投手は今大きな成功を手にしようとしている。
この苦労人が今回日本で掴んだビッグチャンスを無駄にするとは思えない。きっとこのハングリー精神を糧に来季はライオンズの優勝に大きく貢献してくれるはずだ。
昨季、今季は新型コロナウィルスにより、ライオンズの外国人選手たちは家族を連れて日本に来ることができなかった。それが原因でエルネスト・メヒア選手はシーズン途中での退団を望んだほどだ。
だが来季はなんとしてでもエンス投手をはじめとし、外国人選手たちには家族同伴で来日できる形を実現させてもらいたい。仮にこれから感染の第6波が来るのだとしても、それでも選手たちが家族とともに来日できるように西武球団だけではなく、NPB全体で働きかけを行なってもらいたい。
単身赴任を比較的受け入れられる日本人の気質とは異なり、外国人選手はとにかく単身赴任を嫌がる。例えそれがニューヨークとボストンというような比較的近い距離でもだ。
外国人選手は家族と一緒にいられることによりパワーを得ることができる。逆に家族と一緒にいられないと、実力の半分も発揮できない選手が多い。この気質は日本人とはまるで異なるものだ。
だからこそエンス投手ら新外国人選手たちが来季しっかりと実力を発揮できるようにするためにも、何としてでも家族同伴で来日できる形を整えてあげて欲しいのだ。
その環境さえ整えてあげられれば、来季は外国人選手の不調に苦しむこともなくなるだろう。ちなみに西武球団は西武となった大昔から、外国人選手に対し手厚いサポートをしてくれる球団だ。
昨季で言えば家族からのビデオレターを球場で流してあげたり、昔で言えば通常ではあまり慣例がなかったのだが、西武球団はハワイへの優勝旅行に外国人選手のテリー選手とその家族を招待している。
このようにライオンズは今も昔も外国人選手に対しとても友好的な接し方をしている。来季初めて日本にやってくる外国人選手たちに対しては、新型コロナウィルスの状況もあるため、通常以上に手厚いサポートをしてあげて欲しい。
そして選手だけではなく、選手の家族が初めての日本で、このような状況でも安心して暮らせるようにサポートしてあげて欲しい。今季のような辛い状況に外国人選手を置き、不安にさせて欲しくはない。
安心して家族と共に日本で暮らすことができれば、エンス投手もきっと日本で大成功を収められるはずだ。