2021年11月26日公開
平石洋平コーチの加入により、筆者が最も期待しているのは外崎修汰選手の再生だ。優勝した2018年は打率.287、2019年は90打点と素晴らしい活躍を見せてくれたわけだが、2020-2021年は怪我などもあり不本意な成績が続いている。
ちなみに90打点を挙げた2019年の打率は.274で、得点圏打率は.270だった。この打率で90打点を挙げられたということで、3年前の山賊打線にどれだけの破壊力があったのかがよく分かる。普通であれば.270という得点圏打率で90打点を挙げることは難しい。
外崎修汰選手は来季は30歳を迎えるシーズンになるわけだが、まだまだ完成された打者ではないように思える。外崎選手が新任打撃コーチの指導により再生されれば、ライオンズ打線の繋がりもまた出てくるだろう。
逆に外崎選手の復調が実現しなければ、来季のライオンズ打線も繋がりを欠くものになってしまうはずだ。外崎修汰選手のようにパンチ力もあって走れる打者の存在は、打線を繋げるためには非常に重要だ。
ライオンズ打線を立て直すという意味では、実は山川穂高選手の復調以上に重要だと言うこともできる。もちろん山川選手にも復調してもらわなければならないわけだが、得点圏打率が非常に低い山川選手よりも、チャンスを拡大できる外崎選手の存在が機能した方が、戦術面でも得点を挙げるためのバリエーションが増える。
理想を言えば外崎修汰選手が6番あたりで打率.290、20本塁打、25盗塁以上の成績を挙げられれば、チームの得点力をそれだけでも大幅にアップさせられるはずだ。
今季は怪我に苦しんでしまった外崎選手ではあったが、万全な状態であれば源田壮亮主将との二遊間コンビが基本型となるはずだ。
だが今季は外崎選手が怪我をしている間、呉念庭選手らが躍動を魅せてくれた。外崎選手が来季も低調な場合、呉選手らがどんどん外崎選手のポジションを狙っていくだろう。
呉念庭選手に関しては、今季は4〜6月は絶好調で、5月の得点圏打率は.583という驚異的な数字をマークした。7月以降は初めてのレギュラーとしての戦いにより疲れが見え始め、成績は徐々に失速してしまう。だが呉選手の勝負強さは来季以降に非常に大きな期待を持つことができる。
足を絡めた攻撃は得意ではなさそうだが、しかし今オフの過ごし方次第では来季はクリーンナップの座を狙えるだけの可能性を秘めている。中村剛也選手の後継者として三塁に入る可能性も十分にあるだろう。
そんな呉念庭選手が虎視眈々とレギュラーを狙っているという状況では、二連覇に貢献した実績を持つ外崎選手ももううかうかしていることはできない。もし来季もダメならレギュラーの座さえ剥奪されてしまうだろう。
そのような危機感も外崎選手自身すでに感じているはずだ。だからこそ秋季キャンプでは打撃コーチの徹底サポートを受けながら打撃フォームの改良に勤しんでいた。
渡辺久信GMの言葉通り、今さら山賊打線の復活を目指す必要などない。新たな顔ぶれで、新たな強力打線を作り上げていけばいい。もちろん世間がそれを山賊打線と呼ぶのは良いことだと思う。だが選手たちはもう山賊と呼ばれた頃のことなど過去のものとして捉えているはずだ。
だからこそ外崎選手も過去を取り戻そうとするのではなく、新たな打撃フォームの進化を求めて秋季キャンプを過ごしていた。
5〜6番を打つであろう外崎選手が復調すれば、相手バッテリーはクリーンナップに対し簡単にボール球を投げられなくなる。するとクリーンナップがストライクゾーンで勝負してもらえる場面が増え、クリーンナップの破壊力をアップさせることもできる。
外崎選手の復調にはそのような効果もあるのだ。だからこそ筆者は、来季は誰よりもまずは外崎選手に復調してもらいたいと期待しているのである。