2020年2月13日公開
その高い守備力によって将来を嘱望された永江恭平選手だが、なかなか1軍に定着できずにいる。守備力だけを見れば球界でもトップレベルだとは思う。しかしキャリアハイの打率が2017年の.235(出塁率も同じ数字)で、とにかくバッティングで苦しんでいる。その2017年からかつて松井稼頭央選手や浅村栄斗選手が背負った背番号32が与えられたのは、球団からの期待の表れだったと思う。だがその期待にまだ応えることができていない。
永江選手にとって最も悔しいのは、学年こそ1つ上だが誕生日が3ヵ月も違わず、同じ右投げ左打ちで、同じショートを守る源田壮亮選手が入団してすぐにレギュラーを獲得してしまったことではないだろうか。守備力だけを見れば互角とも言える。しかしバッティングや走塁技術においては、数字的には永江選手は源田選手にまったく敵わない。源田選手は入団して3年間ずっと.270以上を打っているし、盗塁は通算101個決めている。
一方永江選手の通算打率は8年間で.153で、盗塁も3つしか決めていない。守備要因という立ち位置に甘んじている選手としては、この盗塁数は少な過ぎると言えるのではないだろうか。今年ももし数字を上げられないようであれば、今オフはリストに加えられてしまうかもしれない。だが永江選手の華麗な守備を考えれば、今年こそは何とかきっかけを掴んでもらいたいとも思う。
一時は松井稼頭央二世とも言われるほど期待された永江選手で、盗塁数は少ないものの50mは6秒で走れる走力は持っている。だが出塁することができないためにその走力を活かした盗塁技術を磨くこともできず、代走要因にもなり得てはいない。しかも同じく内野のバックアップ要因で、さらには外野を守ることができる熊代聖人選手の存在もある。熊代選手もバッティングに難のある選手ではあるが、しかしそれをある程度はカバーできるムードメイカーとしての存在感がある。
さらに言えば山野辺翔選手の存在も永江選手にとっては脅威だろう。背番号はすでに4という好番号を背負っているし、2年目の今年は更なる飛躍が期待されている。仮に源田・山野辺という二遊間コンビが形成されてしまえば外崎修汰選手が二遊間も守れる外野手となり、永江選手が入り込む余地はさらに狭まってしまう。
では永江選手が生き残るためにはどうすべきなのか?もちろんバッティングの腕を磨くことが何よりも必要なわけだが、過去8年を鑑みれば、今年急に打ち出すことも考えにくい。となると二遊間や三塁だけではなく、一塁や外野も守れるようにならなければ厳しいかもしれない。だがどこでも守れるユーティリティープレイヤーという存在では、今年は森越祐人選手がトライアウトを経て加入した。森越選手はバッテリー以外の全守備に対応できるため、永江選手にとってはますます厳しい状況となる。
もしかしたら永江選手はトレードで出してあげた方が活躍できるかもしれない。ライオンズはまだまだ投手陣が万全とは言えないだけあって、投手に関しては何人いても困ることはない。となると、もし内野の層が薄く投手陣が整備されている球団があれば、トレードを画策してあげても良いのかもしれない。このままライオンズで2軍生活を続けるか、他球団に活路を見出すか。どちらが良いとは筆者には言えないわけだが、しかし仮にトレードをするのであれば27歳となる今シーズンはリミットに近いのではないだろうか。果たしてどの道を示してあげることがベストだと渡辺久信GMは考えているのだろうか。もちろんGMとしては、1軍で.270打ってくれることがベストだと考えてくれているとは思うのだが、しかし永江選手のチャンスがどんどん減ってきていることは事実だ。これを永江選手自身はどのように受け止めているのだろうか。その心中はファンとしては非常に気になるところだ。