2020年11月13日公開
今年も戦力外通告のニュースが連日伝えられる寂しい季節がやってきた。2020年オフ、ライオンズでここまでで戦力外通告を受けたのは藤田航生投手、野田昇吾投手、国場翼投手、水口大地選手、永江恭平選手、森越佑人選手、相内誠投手の7人となった。多和田投手に関しては育成契約がなされる方針であるため、人数には含まないでおきたい。
野田投手に関してはまだ27歳の働き盛りで、もう少し機会を与えられるかなとも思っていたのだが、意外と早い戦力外通告となった。だが野田投手にその気があれば、トライアウトで貴重なサウスポーを探している球団は少なくないはずだ。まだまだ年齢的にも若いため、多少なりとも1軍でも実績があるだけに、もう一花咲かせてもらいたい。
国場投手に関しては昨季、飛躍のきっかけを掴みかけたわけだが今季はチャンスをモノにできず、WHIPも11イニングスで2.00という酷い数字を残してしまい、これではやはり戦力として計算することは確かに難しかっただろう。国場投手にしても26歳とまだまだ若いのだが、これはもしかしたら渡辺久信GMの、早めに第二の人生を歩ませてあげたいという親心なのかもしれない。
藤田航生投手は5年間で一度も1軍に上がることができなかったため、まだ22歳と年齢は若いが仕方ないところだろう。相内誠投手に関しては言うまでもなく、西武球団もこれ以上はトラブルメーカーの面倒は見ていられないということだと思う。
野手陣に関しては永江選手、水口選手、森越選手というところになっているわけだが、ちょっとキャラクターが被りすぎているような気もしていた。3人とも守備に関しては信頼を置けるが、打撃に関しては成績を向上させることができなかった。
だが永江選手の守備力は素晴らしい。トライアウトを受ければ、もしかしたら守備固めで欲しがる球団は出てくるかもしれない。だがもちろん、守備だけで獲ってもらえるほど甘くはないことは確かであり、野手の場合、やはり打てなければトライアウトで移籍先を見つけることは困難極まるだろう。そしてそれは水口選手にも同じことが言える。
森越選手に関しては、渡辺GMがなぜ獲得をしたのかがよく見えなかった。ただ、ライオンズは時々ファームで選手が足りなくなる状況が起こるため、それを防ぐためのユーティリティープレイヤーとして獲得したのかもしれない。しかし森越選手はこれで中日、阪神、西武と三度目の戦力外通告となってしまった。これだけの回数戦力外にされた選手も珍しいのではないだろうか。
戦力外通告がまだ続くのか、それともこれで打ち止めなのかはまだわからない。だがまだ、戦力外通告を受けても不思議ではない選手は数人いるため、受ける側からすればまだまだ心の準備をしておく必要はあるだろう。
筆者は、渡辺久信投手が西武球団から戦力外通告を受けた時のことを今でもよく覚えている。あれはもう、他球団の戦力補強がほぼ終わったような時期に通告された戦力外で、功労者に対し非情とも言えるものだった。その後は東尾修監督が野村克也監督に直談判し、スワローズ入りが決まったわけだが、この時の戦力外通告は渡辺久信投手の実績とプライドを傷つけるには十分過ぎるものだった。
そういう経験があるからこそ、渡辺GMは戦力外通告をすることに対しある種の想いを持っているのだろう。戦力外を受ける選手の気持ち、受けた後の気持ちをよく理解しているからこそ、前任者たちにはできなかったケアも、渡辺GMにはできるのだと思う。そして何よりも渡辺GMは無情ではない。前任者たちのように、去る選手の感情を逆撫するようなことも決して口にしない。
だからこそ今、かつてはライオンズを去った選手たちが指導者としてライオンズに戻り始めている。まだ常勝球団だった頃のライオンズを知る男たちだ。そして今回戦力外を受けてしまった選手たちも、もしかしたら球団から何らかのポストを与えてもらえるかもしれない。例えば球団の見習い社員のような形だ。もしくは西武グループ全体で見渡せば、確かにコロナウィルスによって苦しい状況ではあるが、働き口は0ではないだろう。何せ今回戦力外を受けた選手たちは若く、体も強く、健康なのだから。
戦力外通告を受けたからといって、そこで野球人生が終わるわけでも、人生そのものが終わるわけでもない。それどころか、人生はまだまだこれからだ。今回戦力外を受けた選手たちには、今まで野球で得られたものをこれからの人生に存分に活かして行ってもらいたい。そして第二の人生では、プロ野球選手だった頃以上に輝いてもらいたい!