2023年12月 8日公開
今年2回目となった現役ドラフト。このシステムの目的は、出場機会に恵まれない選手にその機会を与えることだった。だが今年の現役ドラフトでは、ライオンズは愛斗選手が千葉ロッテマリーンズから指名されて移籍することになってしまった。
確かに愛斗選手はまだまだレギュラーとは言えなかったが、2021年は97試合、2022年121試合、2023年は73試合と、レギュラー以下という立場であっても比較的試合には出ている状況だった。
そして愛斗選手はリードオフマンを務めることもあり、決して出場機会に恵まれていないとは言えなかった。出場機会は与えられていたが、良い打率を残せなかったシーズンが続いていたと言った方が正確かもしれない。
ちなみに愛斗選手の守備力は一級品で、もし打率.260程度でも打てていたら、愛斗選手の守備力であれば間違いなくレギュラーに近い所まで行っていただろう。だがキャリアハイの打率は2022年.243に留まっており、なかなか打つ方では安定した活躍を見せることができなかった。
外野のレギュラーが一人もいない状態のライオンズにおいては、愛斗選手にはまだまだチャンスはあったと思う。打席での考え方をもう少し諸先輩から学んでいければ、打率.260を打てたとしてもまったく不思議ではないスウィングをしている。
年齢的にも来季はまだ27歳で、ここからさらに伸びて行くであろうと期待されていただけに、愛斗選手がマリーンズに移籍してしまうのは本当に残念でならない。チームとしても外野のレギュラーが一人もいない状況で愛斗選手を失ったのは大きな痛手だったと言える。
ライオンズには来季から強打のコルデロ外野手が加入する。コルデロ選手はバッティングでは大きな期待ができそうだが、守備力に関してはお世辞にも高いとは言えない。恐らくはレフトを守ることになると思うのだが、そのコルデロ選手が守るレフトのバックアップ要員としても、愛斗選手にはまだまだ活躍の場があると思われた。
愛斗選手は守備に関する意識が非常に高い。自分の守備により投手が失点してしまった時は本当に強く悔しがり、次は守備によって投手を助けようとする意識を常に持っている。そして人柄的にも好青年と評されることが多い。
実際ライトの守備を見ていても本当に安心感があり、愛斗選手の守備によって防げた失点も多かった。それだけにもう少し打てていればという気持ちが強いのだが、しかしプロの世界は結果がすべてであり、いつまでも周りから得られる期待だけでプレーし続けることはできない。
しかしこの移籍は愛斗選手にとってプラスになる可能性も高い。マリーンズとしてもチームの弱点を補うために愛斗選手を獲得したのだから、ライオンズ在籍時以上のチャンスを得られる可能性だって十分あり得るだろう。
もしかしたらマリーンズは、FAで獲得した福田秀平選手に本来務めてもらいたかった役割を愛斗選手に求めて行くのかもしれない。
同一リーグであるため、来季愛斗選手はマリーンズのユニフォームを着てベルーナドームでプレーする機会も多くなるだろう。その時愛斗選手は間違いなくライオンズファンから「おかえり」と温かく迎えられるはずだ。
ライオンズにとっても、ライオンズファンにとっても愛斗選手の移籍はダメージが大きいように感じるが、しかしそこは愛斗選手に、より多くの出場機会が与えられることを期待して来季以降も愛斗選手を応援し続けたい。
そして愛斗選手と入れ替わりでライオンズにやってくるカープの中村祐太投手のピッチングにも期待したい。