2024年1月18日公開
鈴木将平選手が2024年1月12日、地元静岡県内の病院で左肘関節鏡視下(ひだりちゅうかんせつ きょうしか)クリーニング術を受けたことが西武球団から発表された。クリーニング術ということは、恐らくは遊離軟骨(通称ネズミ)の除去ということになるのではないだろうか。
詳しい内容が公表されていないため推測するしかないのだが、一般的に手術ではなく、鏡視下クリーニング術ということになると遊離軟骨の除去である可能性が野球選手の場合は非常に多い。鏡視下クリーニング術も手術であることに違いはないのだが、メスを使って大きく患部を開くわけではない。そのため実戦復帰までも3ヵ月と発表されており、比較的短期間での復帰が可能となっている。
鈴木選手は今季こそは外野のレギュラー獲りが期待されていたのだが、1月12日の時点で実戦復帰まで3ヵ月ということは、一般的に考えれば開幕一軍入りは非常に難しい状況になったと言える。それにしてもなぜ手術を受けたのが1月12日という遅い時期だったのだろうか。筆者個人としてはこの点が非常に気になっている。
オフに手術を受けるということは、シーズン中にも何かしらの違和感があったはずで、どんなに遅くともシーズン終了直後、もしくは秋季キャンプ終了直後には診断が出ており、手術を受けるか、保存療法を試すかの選択が可能だったはずだ。例えばライオンズで言えば過去には、涌井秀章投手が右肘に遊離軟骨が出て来てしまい、しばらく肘痛に悩まされていた。だが保存療法を選んだことで、ドラゴンズでプレーする現在まで手術を受けずに投げ続けている。
もしかしたら手術をすべきなのか、それとも保存療法を選択すべきなのか、なかなか決めることができなかったのかもしれない。もしくはどうしても地元静岡のかかりつけ医に執刀してもらいたかったのかもしれない。そして悩んだり、医師のスケジュールを待っているうちに1月になってしまった、ということも考えられなくもない。
とにかく手術を受ける時期としては非常に遅かったことだけは確かだ。これがもし秋季キャンプが終了する11月の時点で受けていれば、開幕に間に合う可能性は非常に高かった。だが1月の手術になってしまったことで、事実上開幕一軍はなくなったと言って過言はないだろう。
もちろんプロ野球選手の場合、商売道具である自らの体にメスを入れることをそう簡単に決断できるものではない。中には何年も悩みながら最終決断をする選手もいる。プロ野球選手の体、特に肩肘にメスを入れるというのはそれほど繊細な決断が強いられるわけだが、鈴木選手ももしかしたら悩みに悩み抜いたことで1月に至ってしまったのかもしれない。
恐らく2024年は、鈴木選手にとっては肘に不安がなかったとしても試練のシーズンになっていたはずだ。なぜならレフトは新外国人選手であるコルデロ選手が入ることが濃厚で、ライトには蛭間拓哉選手が入る可能性が現状では高くなっている。
つまり外野のレギュラーが0人だった2023年とは異なり、2024年は外野で空いているのはセンターのみとなる。そしてその残り1つの枠を巡り、多数の外野手でこれから春季キャンプに入り、しのぎを削ろうとしている。この状況も、鈴木選手の決断を遅らせた原因だと考えることもできるだろう。
とにかく2024年のライオンズは、2023年のライオンズとはまったく別物に変わっている。特に野手陣に関してはメジャー経験がある助っ人2人が加入したことで、昨年までは多くのチャンスを与えられていた若手選手たちも、今季はそうも行かなくなった。
だが鈴木選手はここで焦ってはいけない。チャンスが減ったとしても、ここで焦ってしまっては治るものも治らなくなってしまう。せっかく肘の不安を取り除くために手術を受けたのだから、まずは交流戦あたりに一軍に戻るくらいの気持ちで、焦らずにしっかりと100%治して来てもらいたい。
そしてこの手術により肘の不安がなくなれば、守備でもバッティングでも今まで以上にアグレッシヴなプレーを見せてくれるはずだ。そして再びそんなプレーを見せられるようになった時、鈴木選手がレギュラーを掴める日も自ずと近づいて来るはずだ。