2023年8月11日公開
これまで幾度が書いて来た通り、筆者は仮に山川穂高選手が今後もライオンズでプレーすることになったとしても、少なくとも背番号3は剥奪すべきだと考えている。やはりライオンズの神聖な背番号3番を、性犯罪疑惑などで汚すべきではないからだ。
ライオンズの背番号3といえば清原和博選手も長年背負っていた番号であるわけだが、清原選手もまた、引退後に薬物により逮捕されている。そう考えるとこの背番号3はただ野球が上手いだけの選手にではなく、野球に対しても周囲に対しても真摯に向き合える人格者に付けてもらいたい。
とは言え、山川選手から3番を剥奪したとしても、今すぐにこの番号を背負える選手はまだライオンズ内では育って来ていない。そして2〜3年以内にそのような選手が登場してくる気配も今のところは見えて来ない。だからと言って山川選手に背負い続けてもらいたくもない。
だが本来この背番号を付けていなければならなかったのは、中島宏之選手であり、浅村栄斗選手だった。彼らは野球に対し誰よりも直向きで、しかも野球が上手いだけではなく、周囲の手本にもなれる人柄を持っている。ふたりとも言葉で周りを引っ張るタイプではなかったが、背中で引っ張っていけるタイプの選手だった。
中島選手の場合はメジャー移籍を目指していたため、途中でライオンズの背番号3を脱いでしまったことは仕方ないことだと思った。だが浅村選手の場合は自ら背番号3を求めながらも、僅か2年だけ3番を着ただけで、すぐにイーグルスへとFA移籍してしまった。
当時ライオンズファンとしては、浅村選手自ら要求した背番号3番を僅か2年で脱いでしまったことに驚きを隠せなかった。FAは選手の権利であるわけだが、このあたりに関しては特にフランチャイズプレイヤーが愛される傾向が強い日本の場合、選手ももう少しファンの気持ちを察してあげてもいいのかなとは思う。
中島宏之(中島裕之)選手はライオンズで9年間背番号3を背負い続け、その間キャプテンを務めたこともあった。野球に対し真摯に向き合うだけではなく、私生活でも浮かれた話がほとんど出て来なかった、若手選手の手本になれる選手だった。
その中島選手は夢を追い、2012年オフにポスティングによってアスレティックスへと移籍してしまった。残念ながら2年間のアメリカ生活で一度もメジャーに昇格することはできなかったわけだが、この2年間は決して無駄にはならなかったはずだ。
アメリカでは選手たちのハングリー精神を目の当たりにし、自らの野球に対する情熱を再確認することができたはずだ。だからこそ今季41歳になっても、中島選手はファームでもまったく腐ることなく直向きにバットを振り続けている。
今季、ジャイアンツの1軍では8試合に出場しただけですぐに登録を抹消されてしまった。しかし打率は.278を記録しており、得点圏打率は.500となっている。出場試合数が減り始めた2021年でも得点圏では.385、2022年も.308、中島選手はチャンスで打ちまくっていた。つまり勝負強さはライオンズ時代からまったく衰えていないということだ。
ライオンズには、得点圏打率が高い主軸打者が現在いない。山川選手にしても、昨季までプレーしていた森友哉捕手にしても、一時的に高くなることはあっても、全体的に見ると得点圏打率は非常に低い、チャンスに弱い主軸打者だった。
だが中島宏之選手はチャンスに非常に強く、40歳前後になった今でもチャンスでは打ちまくっている。来季は42歳になる中島選手だが、ライオンズは出戻りとしてこの中島選手を取り戻すべきではないだろうか?
そして山川選手が汚してしまった背番号3を中島選手に一度返し、背番号3に付着してしまった悪いイメージを完全に払拭してもらいたい。中島選手は現在一塁手、三塁手、DHでプレーすることが可能なため、ライオンズのウィークポイントとも合致する。
DHでは栗山巧選手と中村剛也選手との兼ね合いになるが、一塁に関してはマキノン選手のバックアップとして起用できるし、三塁に関してはレギュラーは固定されていないため、まだまだ元気な中島選手に中村選手と共に守ってもらっても良いと思う。
かつて、渡辺久信GMは工藤公康投手と松井稼頭央選手を引退間近の年齢で獲得した。FAで出ていった選手をライオンズに戻すことにすでに成功したという実績があるため、今回も渡辺GMの監督時代に大活躍したナカジこと中島宏之選手を、出戻りでライオンズに復帰させてもらいたいと筆者は密かに希望している。
今季中島選手の年俸は推定5,000万円であるわけだが、今季ほとんど1軍の試合に出ていないことを考えると、この年俸は半減近くまで下がることになるだろう。そうなれば来季42歳になるわけだが、仮に3,000万円で中島選手を獲得することができるのであれば、西武球団としてはすぐにでも動くべきだと思う。
そして2,000本安打までも72本とカウントダウン態勢に入っている。100試合前後に出場できれば今季中にも達成する可能性があったわけだが、ジャイアンツでは年々出場機会が減っていることを考えると、このままジャイアンツにいても2,000本安打を達成することはできないだろう。
それならばライオンズに戻って来て、ライオンズで再び背番号3を背負い、1〜2年かけて栗山選手に次ぐ2,000本安打をベルーナドームで達成してもらいたい。そしてゆくゆくは打撃コーチ、将来の監督候補として引退後もライオンズのユニフォームを着続けてもらいたい。
現在若返りを図っているライオンズではあるが、中島選手はベルーナドームに大勢の観客を呼べる選手だ。ベルーナドームで中島選手の名前がコールされたならば、今この瞬間にもベルーナドームは総立ち状態になるだろう。
そして中島選手はかつて、松井稼頭央選手がメジャー移籍した穴を埋める形でレギュラーとなった。その松井稼頭央選手がメジャーから帰国後、イーグルスを経てライオンズに出戻り、今はライオンズの監督になっている。
今度は中島選手がメジャーから戻り、バファローズとジャイアンツを経てライオンズに出戻り、そして将来の監督候補としてライオンズのユニフォームを着続ける番だ。
いつか中島宏之選手がライオンズの監督になった際、もしもまだ有力な3番候補がいないようであれば、中島監督が背番号3を背負って指揮を執っても良いと思う。
いずれにせよ渡辺GMには、かつてライオンズを去っていった名選手たちを、さらに経験を積んだ今再びライオンズに連れ戻し、その経験をライオンズの若手選手たちに伝えてもらい、それをライオンズの血統として未来へと繋いでいってもらいたい。
それこそが今、ライオンズに本当の強さを取り戻させる唯一の方法なのではないかと、筆者は本気で考えているのである。