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2021年3月13日公開

2021年03月12日(金) タイガースvsライオンズのオープ戦ゲームレビュー

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1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
西武 3 0 0 0 0 0 0 3
阪神 1 1 0 1 0 0 3

【継投】
髙橋光成〜平良海馬

髙橋光成投手がエースになるためにはQSだけでは不足

この試合先発マウンドに登ったのは開幕投手を務める予定の髙橋光成投手だった。だが最終的に7回降雨コールドで引き分けとなったこの試合、試合前からも雨が降ったり止んだりしていたのだろうか、もしかしたらマウンドが少し緩かったのかもしれない。足元が緩いマウンドではもちろんベストピッチすることは難しいし、いつも以上に踏ん張って投げなければならない分スタミナの消耗も激しくなる。そう考えると、5回3失点でよくまとめてくれたなと評価すべきなのだろう。

5回3失点と言うと数字的には非常に平凡な物だが、しかしこれが6回3失点となると、一応QSはクリアという形になる。マウンドが緩い状態だし、雨でボールが濡れてしまうこともあっただろう。そんな状況であってもしっかりと試合を組み立ててくれたというのは、これはエースの姿であると見てあげて良いのではないだろうか。

もちろん髙橋投手自身は、これまでエースとしての数字を残せたことはまだない。2019年には10勝6敗という数字で優勝に大きく貢献したわけだが、しかし防御率は4.51で、どちらかと言えば山賊打線の破壊力によって勝たせてもらったと言う方が正しい。だが今季は同じ二桁勝利をマークしていくにしても、4.51というような防御率に沈むことはないのではないだろうか。

さて、6回3失点であればQSはクリアと上述したわけだが、QSというのはエースが目指す記録ではないというのが筆者の考えだ。その理由は6回3失点だと防御率は4.50になるからだ。これはエースの数字とは言えない。エースであれば最低6回2失点という数字が必要で、これでも防御率は3.00だ。だがこれが7回2失点となると防御率は2.57となり、ようやくエースの数字となる。

髙橋投手には名実ともにライオンズのエースとなってもらいたい。そしてそのために目指すべき数字は6回3失点ではなく、最低限7回2失点を続け、月に1〜2回は135球程度で完投してブルペンを休ませられる投手になってもらいたい。これこそがエースの姿であると筆者は考えている。

だがオープン戦ここまでの髙橋投手のマウンド捌きは実に落ち着いている。自信を持ってボールを投げることができているのだろう。そのため髙橋投手のピッチングを見ていても安心感が漂っている。このような姿を見せ続けられれば、今季はシーズンを通してまったく大崩れしないピッチャーになれるのではないだろうか。

大阪桐蔭時代の相棒、森友哉捕手vs藤浪晋太郎投手

さて、この試合最も注目されたのはやはり森友哉捕手と藤浪晋太郎投手の、大阪桐蔭高校でバッテリーを組んでいたこの二人の対戦だろうか。筆者ももちろん注目していたわけだが、結果的には2打席対戦して二塁打と四球という内容だったため、森捕手の勝ちということになる。

しかし藤浪投手も森捕手に対し非常に良いボールを投げていたと思う。二塁打を打たれた初回、初球は外角いっぱいのストレートでファール。藤浪投手の力のあるストレートがここに決まれば、当てられてもなかなか前には飛ばないだろう。そして2球目は高めのボール球で、3球目は低めの力強いストレートだった。コースはやや真ん中付近だったと思うが、低めに制球された非常に良いボールだったと思う。

だがそのボールを上手くレフト方向に弾き返した森捕手のスウィングの方が一枚上手だった。やや擦り気味のバッティングのようにも見えたのだが、今季森捕手が取り組んでいる打ち方で、スピンがよくかけられた打球だった。そのためインパクトの見た目以上に飛距離が伸び、注目のルーキー佐藤輝明選手の頭上を越えるレフトへの大飛球となった。

今季、森捕手はこのような大飛球をスタンドインさせるシーンを何度も見せてくれるのではないだろうか。昨季までの森捕手はギャップヒッター(右中間・左中間を破る二塁打を多く打てるバッター)というタイプだったが、今季はホームランアーチストとしての打球をもうすでに何度も見せてくれている。

バッティングのコンディションとしては仕上がっていると思うのだが、今取り組んでいるバッティングはまだ完成とは言えないだろう。だが今後この打ち方がもっと馴染み、もっと上手く打球にスピンをかけられるようになれば、森捕手は簡単に3割30本という数字をオーバーしていくだろうし、スウィングによりどこかを痛めるリスクも減らせるはずだ。

背番号10を背負った打てる捕手と言えば、森捕手は高木大成選手の系譜を辿っているわけだが、数字的にはもう高木大成選手を超えているとも言える。大成選手は怪我に泣かされてしまったわけだが、森捕手には今後も怪我なく、山賊の一員として力強くライオンズを牽引してもらいたい。

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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