2021年3月17日公開
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | ||
阪神 | 1 | 2 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 5 | 5 | 1 | |
西武 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 2 | 10 | 1 |
【ホームラン】
ブランドン(2号)
メットライフドームで行われた今日のタイガース戦、先発マウンドに登ったのは開幕5戦目の先発が濃厚となっている今井達也投手だった。オープン戦最後のマウンドとなるため、何としてもシーズンにつながる良いピッチングを見せたいところだったが、立ち上がりに初回、2回と連続して点を失ってしまった。しかし3回以降は立ち直り、四球を出しながらも3〜4回に関しては要所を抑えることはできた。だが5回には9番打者に被弾してしまう。
さて、今日は注目のタイガースのルーキー佐藤輝明選手と今井投手の対戦を振り返ってみたい。まず右中間にホームランを打たれた1打席目だが、西武バッテリーとしては初球のカーブが高めに抜けてボールになってしまったのが痛かった。この1球により配球を組み立て直さなければならなくなり、それをしようとしている間に甘いボールを持っていかれた、という形の結果になってしまった。
2球目のシンカー系のボールは外角低めいっぱいの非常に良いコースに決まり空振りを取ることができた。これでカウントは1-1という平行カウントになるのだが、西武バッテリーとしては最終的には外角低めで勝負をしに行きたかったのだと思う。その伏線として3球目は外角にストレートを投げていくのだが、これがやや甘くなり、真ん中とまでは行かないが失投となってしまい、右中間スタンドに運ばれてしまった。
これがもし、初球のカーブがしっかりと低めに決まっていたら違う結果になっていたと思うのだが、バッテリー側からすると、この初球の入り方を失敗してしまったことにより、好打者を上手く攻め切ることができなかった。
セカンドゴロに打ち取った2打席目は、初球と2球目で外角にストレートを見せてカウントを1-1とした。そして3球目はまたシンカー系のボールを投げたわけだが、これがど真ん中に入ってしまう。ややタイミングが外れた分セカンドゴロで済んだのだが、2打席連発となっていても不思議ではないほど甘いボールだった。
これまでのオープン戦を見ていくと、佐藤選手は内角も上手く捌けるという姿を見せている。そのためバッテリーとしては内角を攻めにくくもなるのだが、しかし今日の西武バッテリーのように真ん中〜外角一辺倒の配球では好打者を抑えることはできない。
右投手が左打者の内角にストレートを投げようとすると、力んでシュート回転して甘く入ってしまうことも多い。だがストレートではなく、カッターを内角の真ん中よりも低めのエリアに投げることができれば、そこは左打者の泣きどころとなる。好打者を抑えるためには、西武投手陣がどれだけ内角に食い込んでいくボールを投げられるかが鍵となってくるのだろう。
ちなみに9番板山選手に打たれたホームランは、ストレートが真ん中やや高めの非常に甘いコースに入った失投だった。今日の今井投手は、調子が悪いなりにしっかりと試合を組み立てることはできた、という点では昨年以上に成長した姿を見せられたと思う。確かに4失点(自責3)というのは多いわけだが、昨季のようにズルズルと引きずりビッグイニングを作ることはなくなったため、裏ローテの2番手として投げてもらうには十分の状態ではあると思う。
ただし今井投手が目指すレベルはそのような低いところではないはずだ。本来であれば開幕投手争いにも加わっていなければならない投手なのだから、開幕こそ先発5番手として迎えるにしても、交流戦明けには上位チームに合わせて先発を回してもらえる立場になっていなければならない。
今日の今井投手は結果的には5イニングスを投げて球数97球、被安打3、失点4、自責3という内容だった。決して素晴らしい内容というわけではなかったが、先発としてしっかりと試合を作ったという点では評価できると思う。あとは開幕5戦目までにここまでの疲労をしっかりと抜き、もう一度コンディションを整えていけば、開幕5戦目のファイターズ戦は万全の状態でマウンドに登ることができるだろう。
ちなみに最後に付け加えておくと、オープン戦というのは相手チームの要注意人物にわざと打たせるケースが多々ある。ライオンズがタイガースの佐藤選手にそれをしたかどうかは定かではないが、しかし得意なコースをハッキリさせるために、わざと佐藤選手が手を出しやすいところに投げさせた、ということも考えられる。
「この人が打てばチームやスタンドが盛り上がる」という選手が相手チームにいる場合、とにかくその選手を乗せないということが重要だ。オープ戦で手を出しやすいコース、得意なコースをしっかりと見極めることができれば、レギュラーシーズンではそのコースに投げることは全投手で避けていくようになり、オープン戦以上に死球を厭わず内角に投げ込まれるようになる。
そういう意味ではタイガースの佐藤選手がレギュラーシーズンでも同じペースで打てるとは思えないが、しかしそのような対策が練られているということは、佐藤選手がそれだけ素晴らしいバッターであるという証だ。筆者が次佐藤選手を目にするのは交流戦になるわけだが、それまでに佐藤選手がどれだけ活躍していくのか、というところは少し気になる。
だがそれ以上に気になるのはここから開幕に向けてコンディションを整えた今井投手が、札幌ドームでのファイターズ戦でどれだけ力強いピッチングを魅せてくれるのかということだ。それこそ今井投手が師事するダルビッシュ有投手のような、圧倒的なピッチングパフォーマンスを披露してもらいたい。そしてそれを札幌ドームで見せることができれば、オフに今井投手にアドバイスを送ってくれたダルビッシュ投手にとっても嬉しいニュースとなるはずだ。