2021年3月13日公開
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | ||
西武 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 4 | 0 | 0 | 1 | 6 | 9 | 1 | |
阪神 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 7 | 1 |
【本塁打】
山川穂高(2号)
この試合先発マウンドに登ったのは、前回は自分の持ち味を活かすことができず辻発彦監督からも厳しいコメントを出されていた浜屋将太投手だった。球威があるわけではない浜屋投手の場合、生命線になるのはコントロールと配球だ。前回の登板ではそれが共に上手くいかなかったわけだが、今日のマウンドではそこそこ改善を見せることができたのではないだろうか。
結果的には5回を投げて2失点だったわけで、これは先発ローテーションの5〜6枚目を目指している浜屋投手のレベルなら及第点と言える結果だったと思う。もちろん本音はもっと上を目指して欲しいわけだが、これまでの実績を踏まえるならば、西口文也投手コーチも十分及第点を与えることができたのではないだろうか。
しかし5回に打たれたソロホームラン2本は余分だった。近本選手には外角を見せた後の内角を完全に狙われてしまい、思い切り引っ張られてライトスタンドに運ばれてしまった。左対左だったことを考えれば、もう少し厳しく行っても良いのではないかとも思ったが、カウントが2−1だったこともあり、3-1にしたくないという気持ちがボールを僅かに甘くしてしまったのかもしれない。カウントを不利にした時のストライクの取り方は、今後も浜屋投手の課題になりそうだ。
マルテ選手に打たれたホームランも同じだと言える。3ボールからストライクを取りに行った外角高めの甘いストレートを左中間の深いところまで運ばれてしまった。すでに二死まで行っていて走者もいなかったのだから、ここはレギュラーシーズンを想定するならば四球を出しても良い場面だったとも思える。チームが直後に逆転してくれたため大怪我にはならなかったが、このマルテ選手のホームランで2-1と逆転されてしまったことを考えるならば、四球覚悟でもっと攻めに行き、四球を出したら出したで次の大山選手との勝負を選んでも良かったように見えた。
だがこのような駆け引きに関しては、まだまだ若い浜屋投手はこれから経験を積み身につけていくことなのだろう。バッテリーを組んでいたのも経験値がまだ高くはない柘植世那捕手だったため、このマルテ選手に打たれたホームランに関しては、浜屋投手にとっても柘植捕手にとってもシーズンへと繋がる良い経験になったと思う。
打つ方では足首の怪我も完治し、ようやく4番という指定席に戻ってきた山川穂高選手が大仕事をやってのけた。山川選手が真の4番打者になるためには得点圏打率を上げることが重要であると筆者はこれまで書いてきたわけだが、この試合ではリードを許していた一死満塁という大チャンスで、見事なホームランをレフトスタンドへと放り込んだ。
この満塁ホームランでライオンズは2-5とリードを取り戻したわけだが、タイガースバッテリーの攻め方は、明らかにダブルプレーを欲しがっているというものだった。初球から、ホームランを打たれた3球目まで、山川選手の内角をえぐるツーシームを連投してきた。
もし山川選手が初球を振りに行っていたら、もしかしたらバッテリーの術中にはまっていたかもしれない。だが3球同じ球を見せられて山川選手が黙っているわけがない。2球目よりも僅かに甘く入った138kmのツーシームを、レフトスタンドへと放り込んだ。この3球は決して甘いボールがあったわけではないのだが、やはり3球同じ球を続ければ山川選手のレベルであれば簡単に打ち返すことができる。打った山川選手は見事だったわけだが、しかし見え見えの配球を相手チームの主砲に見せたタイガースバッテリーの配球ミスだったとも見えた場面だった。
ちなみに山川選手は満塁ホームランを打った次の打席では、外角の決して甘くはないフォークボールを上手く捌いてセンター前ヒットを打っている。このセンター前ヒットも非常に評価できるのではないだろうか。ホームランを打った直後に、またホームランを狙いに行ってフォームを崩す選手も多い中、ホームランを打っても決して浮かれることなく冷静に、ボールに逆らわない良いバッティングを見せてくれた。
このセンター前ヒットを打った時点で山川選手は打率を2割台から一気に.310まで上げてきたわけだが、このような冷静なバッティングは、まさに4番の姿だったと言える。シーズンに入ってからもこのような冷静なバッティングを見せてくれれば、山川選手自身が将来的に意識している三冠王という称号にも、また少し近づけるのではないだろうか。