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2021年2月 7日公開

ライオンズ浮上のダークホースになり得る内海哲也投手

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まだ年齢を言い訳にはできない39歳になる内海哲也投手

2019年からライオンズに加入した内海哲也投手。ライオンズ2年目となった昨シーズン終盤にライオンズでの初勝利を挙げて、本人もようやくチームの一員になれたと実感したようだ。その内海投手だが、過去2年間のライオンズでのピッチングは決して満足いくものではなかった。

ライオンズに移籍して早々に左前腕痛が再発してしまい、2019年は1軍に昇格することさえ叶わなかった。だが2021年、今年は体の状態が非常に良さそうだ。内海投手自身も今季に対して久しぶりのコンディションの良さを感じているようだ。

内海投手は今季39歳になるわけだが、2学年上のホークス和田毅投手が1軍で活躍し続けている姿を見るならば、年齢を言い訳にすることはできない。39歳には、39歳なりのピッチングがあるわけで、どうやら今季はその円熟味を帯びたピッチングを見せてくれることになりそうだ。

2021年の内海投手の生命線になりそうな球種

内海投手はライオンズに加入した2019年から本格的にカットボールを投げ始めたのだが、このボールの精度が上がってきているようだ。全盛期からすでに多彩な変化球を投げていた内海投手だが、ここにカットボールが加わって来れば投球の幅がさらに広がることになる。

全盛期はさまざまな球種を駆使して最多奪三振のタイトルも獲ったことがあるわけだが、しかし39歳となっていく今、全盛期のように多くの球数を使って三振を狙っていくわけにはいかない。とにかく少ない球数でより多くのアウトを取っていかなければ、ベテラン投手では結果を残すことはできない。

そう考えた時、1球で内野ゴロを打たせることができるカットボールは大きな武器となるはずだ。特に右打者の内角に食い込んでいく左投手のカットボールは、強振してくるバッターが多いパ・リーグでは非常に有効なボールになるだろう。

セ・リーグの場合はしっかりと見極めてくるバッターが多いため、内海投手の現在の球威で右打者の内角へ食い込ませていこうとしても、追い込まれるまではバッターも見逃すことが多く、ストライクからボールゾーンに食い込ませてもボールカウントを増やしてしまうケースが多くなる。

だがパ・リーグのバッターはストライクゾーンのボールに関しては早いカウントから積極的に振ってくる。追い込まれるまではボールをしっかり見るセ・リーグの打者に対し、追い込まれるまではどんどん強振してくるのがパ・リーグのバッターだ。

早いカウントから振ってくるパ・リーグのバッターの傾向を上手く利用していくためにも、右打者の内角の打てそうに見えるところにカットボールを投げて、微妙に芯を外させるピッチングは、今季の内海投手の生命線になっていくのではないだろうか。

今季ライオンズ浮上の限りを握るダークホースになり得る内海哲也投手

内海投手はもともとツーシームは投げていた。ここにカットボールが加わって来れば、打者からすると同じ球速で食い込んでくるのか、逃げていくのかが予想できなくなる。球数を減らしてより長いイニングを投げると考えた時、内海投手の場合はもうフォーシームストレートは投げずに、ツーシームとカットボールのコンビネーションだけでもいいのではないだろうか。

全盛期の内海投手なら通用していたフォーシームも、39歳となる今はもう勝負球として使うのは難しい。下手にストレート勝負を挑んでも返り討ちに遭うだけだろう。それならば「フォーシームは投げない」とは口にすることなく、フォーシームは投げないという戦略が今後は効果的になっていくはずだ。

140kmそこそこのボールを手元で動かしてバットの芯を外し球数を減らすというテクニックは、今内海投手と松坂大輔投手に最も求められている技術だ。そして内海投手も松坂投手もツーシームとカットボールの両方を投げることができる。体の状態さえ良ければ、このふたつのムーヴィング・ファスト・ボールを使って内海投手は10勝近く挙げてくれるのではないだろうか。

首脳陣が内海投手に求めている星勘定はそれほど多くはないはずだが、しかしその内海投手が10勝近く勝ったとしたら、昨季は5割しか勝つことができなかったライオンズの勝率はかなり上がっていくことになるだろう。

そういう意味では今季のライオンズ浮上の鍵を握るダークホースは、内海哲也投手だと言えるのかもしれない。

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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