2024年7月15日公開
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
Buffaloes | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 |
Lions | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 | × | 3 | 10 | 0 |
継投/ ○菅井信也〜 Hボー・タカハシ〜 Sアルバート・アブレイユ
勝利投手/菅井信也 1勝1敗0S 2.40
セーブ/アルバート・アブレイユ 1勝4敗15S 2.37
盗塁/外崎修汰(4)
デストラーデ効果とでも言うべきだろうか。炭谷捕手にBOOM!が飛び出しただけではなく、今日は先発した菅井信也投手の期待以上の好投もあり、さらには源田壮亮主将が4安打の固め打ちをし、3-0でバファローズを下すことができた。これでようやく連敗を8で止めることができた。
ライオンズの連敗ワースト記録は、代行監督から正式な監督に就任した田邊徳雄監督の1年目、2015年の13連敗となっている。それと比べると8連敗など可愛いものにも感じられるが、しかし今季前半戦だけで三度目の8連敗と考えると、これは深刻にならざるを得ない。
13連敗を喫していたシーズンの監督は上述の通り田邊監督で、キャプテンは栗山巧選手だった。連敗中は監督のみならず、栗山キャプテンも苦しい胸の内を当時は語っていた。
そして筆者は思うのだが、スローガンが抽象的過ぎるシーズンというのは、あまり良い戦い方ができていないように感じる。例えば今季は「やる獅かない」がスローガンになっているわけだが、何をやる獅かないのかが人それぞれとなっていて、いまいちピンと来ない部分もある。もちろん人それぞれやるべきことをやる獅かないと言っているのかもしれないが、スローガンは色々な意味で捉えられる言葉であるよりも、誰が見てもピンと来る言葉の方が良いと筆者は考えている。
13連敗を喫した2013年のスローガンもガチ!マジ!LIONSというもので、これも言葉としてはあまりピンと来るモノではない。「じゃあ今まではガチでもマジでもなかったのですか?」とも思えるもので、やはりもっと、どのような野球を目指したいのかが分かる言葉の方が良いと思う。
ちなみに前回日本一になった際のスローガンはNo Limit!で、これは特にバッティングにおいて細かい制限を課さずにどんどん振っていくことを目指して掲げられたものだった。制限なく伸び伸び野球をやるという意図を伝えるためには非常に分かりやすいスローガンであり、そしてこのスローガンの通り打者陣は三振を恐れることなくどんどん積極的に振っていった結果、チームは198本のホームランを打つという最強打線を形成していった。
また、東尾修監督時代のHit!Foot!Get!はさらに分かりやすかった。ヒットを打ったらあとは走力で点に繋げるという意味で、リーグ連覇を成し遂げた1997〜1998年はまさにこのスローガン通りの野球となっていた。つまりスローガンが分かりやすくなると、ファンも含めてチーム全体が同じ方向を向いて野球をしやすくなるのだ。
そういう意味では昨季のスローガンは走魂で非常に分かりやすく良いスローガンだと思ったのだが、しかしなかなか勝ち切れないチームで首脳陣も盗塁のサインを出しにくくなり、俊足走者たちも思い切りの良いスタートを切れないことが多かった。それでもこのスローガンは2年連続でも良かったのかなと筆者は個人的には考えていた。
確かに今のライオンズはやる獅かないわけだが、それよりも勝つ獅かないとか、優勝する獅かないとか、もっと具体的な言葉の方がスローガンの旗の下、選手たちももっと同じ方向を向いて野球をできたのではないだろうか。
さらに付け加えておくと、プロ野球にキャプテン制は本当に必要なのだろうか。ライオンズではしばらく源田壮亮主将がキャプテンを務めているわけだが、2008年にはキャプテンはいなかったし、さらに言えば黄金時代にもキャプテン制はなかった。プロの場合、キャプテンを置かない方が一人一人の責任感がもっと芽生えるような気がしてならない。
勝利への熱量を見ていても、一軍半の選手たちと源田主将との間にはかなりの温度差が感じられることがある。一軍半の選手たちはどちらかと言えば、自分たちが打てていないことの方にガッカリしているのだが、源田主将は明らかに勝てていないことに憤りを見せている。
キャプテンのこの勝利への熱量を一軍半の若手選手たちが汲めていない以上、キャプテン制は廃止して、源田主将をもっと楽に打席に立たせてあげても良いのかなと筆者は常々考えている。その方が源田主将の打率も上がりやすくなるのではないだろうか。これだけ頑張っている源田主将なのだから、せめて一度くらいは3割を打たせてあげたい。
さて、今日は6月2日に支配下契約を勝ち取ったばかりの菅井投手が先発をしたわけだが、本当に今日は期待をはるかに上回るピッチングを見せてくれた。菅井投手はかつて、菊池雄星投手が目標である語っていたと思うのだが、個人的には菊池投手を目指してもらいたくはない。
目指してもらいたいのは2年間ファームで指導を受けた内海哲也投手だ。菅井投手は支配下契約を勝ち取った際にすぐにジャイアンツの内海コーチに報告をしたらしいのだが、菅井投手には内海投手のような勝てるだけではなく、人格者として慕われるエースになっていってもらいたい。
そしてその菅井投手だが、今日は特に左打者の懐へのストレートと外に逃げるスライダーの精度が高かった。森友哉捕手でさえもまったく合わずに大きな空振りを見せていたくらいのスライダーで、今日のようにしっかりと低めに制御できていれば、今後も安定したピッチングを続けることができるだろう。
プロ初登板時には渡辺久信監督代行に「ストレートしか頼れるボールがなかった」と言われ、カウントを取れる変化球を身につけることを課題とされていた。そしてその課題を克服しての一軍復帰登板だったわけだが、内容的には7イニングスで91球を投げて被安打3、奪三振7、無四球無失点という素晴らしい内容だった。
圧巻だったのは7回のピッチングだ。6回までは1安打に抑えていたのだが、7回は先頭から2連打され、バントで送られて一死三塁二塁というピンチを背負ってしまった。しかしこの絶体絶命の場面でも表情をまったく崩すことなく、菅井投手は淡々と炭谷銀仁朗捕手のサイン通りに投げ続けた。その結果紅林選手を浅いセンターフライに抑え、代打杉本選手を三振に斬って取り、渾身のガッツポーズを見せてくれた。
筆者の菅井投手のイメージは、左投げの伊藤智仁投手という感じだ。伸びのあるストレートにスライダーのコンビネーションは本当に素晴らしく、今日のように対角線を使った配球が成り立っている時は打者もなかなか打つことはできないだろう。
ただし筆者が投球フォームの専門家として危惧しているのが将来的な肩痛だ。菅井投手のフォームは肩痛を引き起こすリスクが高い投げ方であり、これはライオンズで言えば大石達也投手、そして上述の伊藤智仁投手と共通している。あくまでも可能性の問題であるわけだが、将来的には肩の違和感や痛みが出なければ良いなと筆者は少し心配している。
だがもちろんそんなことを今ここで心配していても仕方がないわけであり、菅井投手にはとにかく今後はローテーションを守り続けていってもらいたい。そして髙橋光成投手や平良海馬投手が戻って来る余地のないローテーションを形成していって欲しい。
それにしてもライオンズの三本柱でも止められなかったこの連敗を、菅井投手は本当によく止めてくれたと思う。菅井投手には次戦も良いピッチングを期待したい。
今日ライオンズは3点を取れたわけだが、やはりバントミスが出た。まず蛭間拓哉選手が小フライを上げてしまい、野村大樹選手も捕手の足元に転がし二塁封殺となってしまった。こんなことをいつまでも繰り返しているようでは、ライオンズが再び連敗街道に突入したとしてもまったく不思議ではない。
渡辺監督代行は練習はしているけど、気持ちの問題なのかなと、バント失敗が続いていることに対してコメントしていた。だがここまでバントミスが続くというのは気持ちの問題以前に、やはり技術が伴っていないからだと見て間違いないだろう。
そもそもどのようにバント練習をしているのだろうか。もしバッティングマシンのボールをただひたすらバントしているだけではダメだ。例えばアマチュア選手もバッティングセンターでバントの練習をすることがあるのだが、マシンのボールというのはいとも簡単にバントできてしまうのだ。
本当にバント練習をしたいのであれば、バッティングピッチャーに頼んで外角低めにスライダーを投げてもらうべきだ。このボールが最もバントが難しいボールであるため、このボールを上手くバントできるようになれば、他の球種をバントすることなどまったく難しくなくなる。
蛭間選手のバントのやり方を見ていても、外角低めのボールに対し、手でバットのヘッドを下げるだけで当てに行っているのだ。これでは当然小フライになってしまう。低めのボールに対しては、股関節と膝を曲げてバットを低めに持っていくのが基本であるわけなのだが、蛭間選手も野村選手もそれができていない。それができていないのだから、練習も十分とは言えないだろう。
ちなみにかつてのバントの名手と呼ばれた平野謙選手は、一塁線三塁線にそれぞれ小ぶりのバケツサイズの缶を置き、その缶の中に次々とホールインワンのようにボールを入れていく技術を持っていた。果たして今のライオンズにそれができる選手などいるだろうか。
やる獅かないとは、やるべきことをしっかりやるという意味だと思うのだが、しかし限りなく100%に近い確率でしっかりと決めるべきバントを今のライオンズはまったく決められていない。もちろん100%に近い確率が求められる犠打の場面では打者の緊張感も高まるわけだが、しかしそれを乗り越えてこそのプロの一軍の打者だと言える。
あまり打てていないライオンズ打線において、少ないチャンスをしっかりとモノにしていくためにも、打率以上にこの低すぎる犠打の成功率を上げなければならない。そして打率を上げることよりも、普通に考えれば犠打の成功率を上げることの方がよほど簡単であるはずだ。だがその簡単なことができていない今のライオンズ打線は、そのような足元からしっかりと技術を見直す必要があるのではないだろうか。