西武、2年間で三度のノーノー献上は82年前の沢村栄治投手の時代以来

2023年8月18日公開

前回2年間で三度ノーノーを献上したのは戦時中の名古屋軍

西武、2年間で三度のノーノー献上は82年前の沢村栄治投手の時代以来

ライオンズはまたもやノーヒットノーランを喫してしまった。今日8月18日、ライオンズ打線はホークス先発の石川柊太投手からヒットを1本も打つことができなかった。これでこの2年間で、三度目となるノーヒットノーランの献上だ。

昨季は同じホークスの東浜巨投手と、バファローズの山本由伸にノーヒットノーランを献上しているライオンズだが、2年間で三度ノーヒットノーランを献上したというのは、実に82年振りの珍事となるらしい。ちなみに82年前、2年間で三度ノーヒットノーランを献上したのは名古屋軍(現中日ドラゴンズ)で、その時ノーヒットノーランを達成した投手のひとりは巨人軍の沢村栄治投手だった。

ちなみに当時、戦時中はカタカナ用語を使うことが禁止されていた。そのためチーム名も巨人軍、名古屋軍、阪神軍となっており、球審もストライク・ボールを「よし!」「だめ!」という日本語の言葉で判定していた。さらには背番号も漢字で書かれていた。82年前とは、そのような時代だった。

そして今日、82年の時を経て、史上2球団目となる2年間で三度目のノーヒットノーランをライオンズは献上してしまった。情けないと一言で片付けることもできるが、しかし松井稼頭央監督が仰る通り、1敗は1敗だ。ノーヒットノーランを喫したからといって2敗分になるわけではない。

東浜投手、石川投手、山本投手のすべてが好投手だ。彼らならいつノーヒットノーランを達成してもおかしくはなかった。それがたまたまライオンズ戦に巡って来てしまったというだけで、決してライオンズナインに覇気ややる気がなかったわけではない。ここはやはり、素直に相手投手を讃えるべきだと思う。

ノーヒットノーランの陰で大乱調だった平良海馬投手

ホークスの石川投手がノーヒットノーランを達成している最中、ライオンズの先発マウンドに登った平良海馬投手は大乱調だった。4回7失点KOだったわけだが、平良投手にだってこんな日はもちろん訪れる。

逆を言えば平良投手だっていつノーヒットノーランを達成してもおかしくはない投手だ。実際リリーバー時代には試合跨ぎで、9イニングス連続でノーヒットに抑えた経験もある。平良投手自身目の前でノーヒットノーランを達成されたことにより、次回の登板に向けてさらに闘志が湧いて来たはずだ。

今日はノーヒットの上、先発投手も乱調で大敗となってしまったわけだが、明日やり返せばいいではないか。平良投手も次回のホークス戦でリベンジすればいいではないか。

情けないとか格好悪いとか言うのは簡単だが、しかしそんなことを言っていてもチームは勝てるようにはならないし、負ける度に文句を言っていてはチームとファンの間の絆もいつしか潰えてしまう。

万が一でもそんなことになれば、ライオンズはさらに優勝から遠ざかってしまうため、もう今日の負けは引きずることなく、潔く石川投手の好投を讃えようではないか。石川投手、本当にナイスピッチングでした。

かつてのエース西口文也投手は三度のノーノー未遂で182勝

ちなみにホークスの石川投手は今年32歳で、通算49勝を挙げている。ノーヒットノーランを達成したからと言って、これが59勝におまけされるわけではない。

一方ライオンズではかつて、西口文也投手がエースとして活躍していた。西口投手は完全試合未遂1回、ノーヒットノーラン未遂2回、先頭打者にヒットを打たれた後パーフェクトに抑えた準完全試合と、四度の"前科"がある。

現役生活では一度もノーヒットノーランを達成したことがなかった西口文也投手ではあるが、通算では182勝を上げている。ノーヒットノーランは本当に快挙であるわけだが、しかし筆者はたまたま達成できたノーヒットノーランよりも、着実に積み重ねて来た182勝の方がはるかに価値があると思う。

また、かつての渡辺久信投手のように、ノーヒットノーランの達成ですべてのツキを失ってしまったかのように、その後パタリと勝てなくなってしまったという例もある。ライオンズファンとしてはノーヒットノーラン達成のニュースを見るたびに、西口投手や渡辺投手のことを思い出してしまうのである。

ちなみに西武ライオンズでノーヒットノーランを達成しているのは2014年の岸孝之投手、1996年の渡辺久信投手、1985年の郭泰源投手の3人のみだ。西鉄時代を含めると多数となるが、西武ライオンズでは1978年10月のチーム発足以来、達成者は3人のみとなっている。

だがライオンズには平良海馬投手だけではなく、髙橋光成投手今井達也投手松本航投手ら、いつノーヒットノーランを達成しても不思議ではない投手たちがズラリと名を連ねている。

ここ2年はノーヒットノーランを喫する側に徹してしまったライオンズではあるが、ここからノーヒットノーランを達成する側に回ってもらいたいというのがファンの希望だ。

だが例えノーヒットノーラン達成者が出たとしても、チームがBクラスでは意味がない。ファンが本当に聞きたいニュースはやはり優勝であるため、ライオンズの投手たちには来年にでもノーヒットノーランを達成した上で同時に日本一の悲願を果たしてもらいたい。

にほんブログ村 野球ブログ 埼玉西武ライオンズへ
⚾️ 記事を楽しんでいただけたら、ここをポチッとしてください♫

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
🐦 筆者カズのTwitter(現X)