2023年12月14日公開
オリックスとの争奪戦を制し、西武球団は今オフ二人目のリリーフ陣補強を行なった。メジャー経験はないものの、驚異的な奪三振能力を誇る左腕ジェフリー・ヤン投手だ。
ヤン投手はいわゆるラテン系のノリで非常に明るいキャラクターの選手だ。そして奪三振能力の高さに加え、マウンドでの派手なガッツポーズもライオンズファンを喜ばせることになるだろう。
アメリカではヤン投手が派手なガッツポーズを見せると、打ち取られた打者はヤン投手をキッと睨むこともあったが、そんなことはお構いなしという表情でヤン投手は全身で喜びを表現し続けた。
もちろん日本でもピンチを切り抜けた際などには、派手なガッツポーズをしながらマウンドを降りていくのだろう。まだまだ若く荒削りな部分も多い投手ではあるが、日本でさらに成長すれば打者に恐れられるリリーバーになっていくことは間違いない。
しかし現時点においてもサウスポーから投じられる最速159km/hのストレートは、打者の目には凶器として映るのではないだろうか。それほどヤン投手のストレートの威力は凄まじい。
ヤン投手の年俸は推定7,400万円とも7,500万円とも言われており、そしてこれに加えて出来高は最大1億2,000万円という契約になる。メジャー未経験選手としては破格とも言える額だが、この金額と、すでにライオンズ入りを決めているアブレイユ投手とコルデロ選手という、ドミニカ出身の同郷選手二人の存在も、オリックスとの争奪戦を制した決め手だったのではないだろうか。
ヤン投手の今季の成績は、マイナーリーグのみで49試合3勝5敗13S、防御率4.89という数字だった。防御率だけを見るとかなり不安定なピッチャーのようにも見えるが、57イニングスで奪った三振はなんと102個で、奪三振率はまさに驚異的な数字、16.10だった。
16.10とは、9回を完投したら16個三振を奪るという計算であり、この奪三振率の高さはメジャーでも実は注目されていた。だが同時に57イニングスで47四球を出しており、この四球数の多さによりWHIPが1.65という数字になっていた。
WHIP1.65というのは、1イニングあたりに1.65人走者を出すという計算になるわけだが、ヤン投手は今季2A、3Aでの登板ではたくさん三振を取るが、四球もたくさん出すというピッチング内容だった。
この四球の多さが渡辺久信GM曰く「荒削り」という部分になるわけだが、日本で制球力を磨くことができれば、メジャーでも十分通用するレベルのピッチャーへと覚醒するはずだ。
さて、今季マイナーリーグでの成績は決して安定したものではなかったが、まさに今現在ヤン投手が出場しているウィンターリーグでは、ここまで16試合に投げて3勝0敗1S、防御率1.72、奪三振率13.80という好成績をキープしている。
この状態をキープして来季ベルーナドームに来てくれれば、ヤン投手は間違いなく大きな戦力となるはずだ。そしてアブレイユ投手とともにブルペン陣を底上げし、チームを大きく優勝へと近づけてくれるだろう。
ヤン投手の持ち球はカーブとスライダーになるわけだが、いわゆるブレーキングボールと呼ばれるカーブのブレーキングが本当に素晴らしい。このカーブと最速159km/hのストレートをストライクゾーンに織り交ぜられたら、日本人打者ではなかなか太刀打ちできないのではないだろうか。
ヤン投手の加入で、来季ライオンズの助っ人選手はドミニカンが三人になった。だが場合によってはもう一人くらい野手の補強もしていくのではないだろうか。
もちろんマキノン選手の去就次第ということにはなるわけだが、万が一マキノン選手との残留交渉が失敗に終わった場合は、もう一人野手の補強をすることになると思う。
その場合、ライオンズはすでに今オフはスペイン語の通訳と契約を結んでいるため、もう一人ドミニカンを獲るか、もしくはスペイン語圏内のベネズエラあたりから選手を呼ぶことになるのではないだろうか。
ちなみにベネズエラはアレックス・カブレラ選手や、エルネスト・メヒア選手の母国となり、ライオンズとしては比較的親しみのある国だと言える。ただし、現状ではやはりマキノン選手が残留してくれるのが一番だろう。
これでライオンズは大砲と、リリーバーを二枚補強したことになり、来季優勝する準備は着々と進んでいると言える。とにかくライオンズとしては、もうこれ以上日本一から遠ざかるわけにはいかない。来季こそは2008年以来の日本一を成就してもらいたい。
今オフは後藤高志オーナーの言葉通り、例年以上にお金をかけて的確な戦力補強を行うことができた。あとは松井稼頭央監督の指揮のもと、実際に優勝するだけとなる。ヤン投手の言う通り優勝に向けて「レッツゴー!ライオンズ!」だ!!