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2024年2月 4日公開

カリブ海からやって来た西武新助っ人四人衆の入団会見

埼玉西武ライオンズ新外国人助っ人四人衆 左からヤン投手、アブレイユ投手、アギラー選手、コルデロ選手

中米選手が6人集結したことで得られるアドバンテージ

2月6日のキャンプインを目前にして、ようやくライオンズの新外国人選手四人衆が集結した。入団会見を見ていると、すべての選手が日本野球をリスペクトしていて、日本野球のレベルの高さをすでに知っているようだった。中にはコルデロ選手のように以前も日本からの誘いがあったがタイミングが合わず、今回ようやく日本球界入りが実現したという選手もいた。

そして4人それぞれが日本球界を知る野球仲間からすでに日本球界の情報を収集しており、アギラー選手などはエルネスト・メヒア選手からライオンズの情報を得ていたようだ。他にも2017年にライオンズに在籍していたキャンデラリオ投手もヤン投手にライオンズに関してのアドバイスをしてくれていたようだ。

今季は同じ中米の選手たちが4人、支配下を合わせる6人がライオンズに新加入したわけだが、これには大きなメリットがあると考えられる。今回入団会見を行った4人は一軍、育成選手の2人はファームということになり、基本的にチーム行動を共にすることはないわけだが、それでもこの6人により一つのチームを結成することができる。

育成選手の2人、ガルシア選手とロペス投手に関してはどんどん一軍の4人にアドバイスを求めて行けるし、一軍の4人も、ガルシア選手とロペス投手に負けじと闘争心を燃やしていくことになる。

そしてこの6人が一つの小さなチームとなり結束力を高め、初めて踏んだ日本の地でも孤立することなく野球に専念できるようになるだろう。外国人選手の場合、ホームシックにかかって野球に対する集中力を失ってしまうことが多々ある。コロナ禍ではメヒア選手もやはりホームシックのような状態になり、2021年のシーズン途中、惜しまれながらライオンズを退団してしまった。

だが現在はもうコロナ禍による入国制限は撤廃されており、選手の家族も安心して日本に来ることができる。それが叶わなかったメヒア選手に対しては日本政府のやり方に申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、もしメヒア選手も当時チームメイトに5人の中米選手がいたら、ホームシックに罹ることなくもっとプレーに集中できていたかもしれない。

日本の普通のサラリーマンであっても、単身赴任となると心細いし、ホームシックになってしまうものだ。それがほとんど地球の裏側とも言える中米からやってくる選手であればなおさらと言えるだろう。そういう意味でも同郷で、同じ母国語(スペイン語)でコミュニケーションを取れるチームメイトが5人もいるというのは、これは新外国人選手たちにとっては大きなアドバンテージとなるだろう。

長兄としてまとめ役の務めも期待されるヘスス・アギラー選手

今回入団会見を行った支配下選手たちは、4人それぞれがチームの優勝を真っ先に口にした。それに対しては渡辺久信GMも感動したようで、この4選手を連れてきたことにすでに強い手応えを感じているようだ。

これがメジャー経験者が1人で、他の外国人選手とは母国語が異なる場合、チーム内で孤立してしまう場合が多々ある。特に言葉が通じないと、プライドという名の殻に篭るようになり、他の選手たちと積極的にコミュニケーションを取ろうとしなくなる。もちろん物凄くストイックで、それがメジャーでもルーティーンになっていた場合は問題ないわけだが、しかし一般的にはコミュニケーションは人の心を柔和にしてくれる。

今回新加入した支配下4選手に関しては、ヤン投手以外の3人はメジャー経験がある。そのため当然だが「俺はメジャーリーガーだった」という、周囲を見下すような態度を見せる選手はまず出てこないだろう。しかも日本野球のレベルの高さは、2023年のWBCで優勝したという記憶もまだ新しいはずだ。

アギラー選手とコルデロ選手に関しては、今回は目標として具体的な数字を挙げることはしなかった。アギラー選手はミート力に自信を持っており、しっかりミートして遠くまで飛ばし、チームの優勝に貢献すると語った。そしてコルデロ選手もたくさんの打点を挙げて優勝に貢献したいと語った。

一方投手2人は、ヤン投手は140奪三振、アブレイユ投手は54セーブを目標として掲げた。ヤン投手の140奪三振に関しては、リリーバーとしてはちょっと現実的ではないかもしれない。だが背番号と同じ54セーブを目標としたアブレイユ投手に関しては、2017年にホークスのデニス・サファテ投手が樹立した日本記録となっている。非常に難しい数字であることに間違いはないが、しかしサファテ投手が達成していることもあり、まったく不可能と言う必要はないだろう。

だがヤン投手の場合、1回の登板で2つずつ三振を取ったとしても70試合に投げなければならず、しかも日本人打者の多くはマイナーリーグの選手たちよりも高いコンタクト力を持っている。そのため140奪三振に関してはちょっと難しいかなとは思うが、しかしそこは陽気なヤン投手が、きっとリップサービスも含めて挙げた数字だったのだろう。

6人の中ではアギラー選手が年長者となり、渡辺GMも語っていたように、アギラー選手が長兄として、ヤンチャなヤン投手を見守っているという雰囲気があった。恐らくはシーズンインしてもやはりアギラー選手が新助っ人四人衆のまとめ役になっていくのだろう。

このように新外国人選手たちが一つのチームとなり、しかもその中にまとめ役を務められる落ち着いた選手がいるというのは、非常に大きなプラス要素となる。外国人選手は蓋を開けてみなければ分からないとはよく言われるが、しかしまだ蓋を開ける前の現段階での評価に関しては、総入れ替えした外国人選手はここまでは上手くまとまっていると言って間違いないだろう。そういう意味でもこの四人衆にはかなり大きな期待を寄せても良いのではないだろうか。

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THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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