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2024年1月26日公開

山野辺翔選手は今季30歳を迎え、いよいよ背水の様相を呈して来た

30歳を間近に控え崖っぷちに立たされている山野辺翔選手

山野辺翔選手

今季正念場を迎えるであろう選手の一人として、山野辺翔選手の名前を挙げていかなければならない。山野辺選手はルーキーイヤーからずっと、5年連続で一軍出場があるわけだがその成績はと言うと、なかなか一軍に居続けられる数字ではなかった。

昨季2023年にしても入団5年目として35試合に出場して打率は.205で終えており、児玉亮涼選手や滝澤夏央選手、さらには山村崇嘉選手という若手選手たちにやや押され気味になっている。そして打てなければ代走要員、守備要員として何とか一軍のポジションを掴んでいきたいわけだが、その盗塁数も昨季は6個で、通算でも19個と決して多くはない。

また、ライオンズには昨季から高松渡選手も加入しており、セカンドと外野のポジションを守ることができる。そして24歳という年齢で通算23盗塁を決めており、29歳で19盗塁の山野辺選手よりも足に関してはアピールすることができていると言える。

山野辺選手は背番号4という素晴らしい番号をもらって入団したわけだが、もし今季も一軍に定着することができなければ確実に整理リストに入ってくるだろうし、戦力外とならなかったとしても背番号4を背負い続けることは難しくなるだろう。

チームとしても30歳になる選手よりも、ポジションや個性が被ったり似たりしている場合はより若い選手を起用するというのが常だ。年齢的に今季30歳を迎える山野辺選手は、もはや崖っぷちに立っていると言って過言はないだろう。そして山野辺選手自身、それに関しては十分に分かっているはずだ。

山野辺翔選手はトレードで活路を見出すという判断があっても良いのかもしれない

選手としては、170cmというプロ野球選手としては小柄な体型でありながらもパンチ力があると評価されている。だがそのパンチ力が一軍で通用するレベルではないことは明らかだ。もし本当にプロレベルのパンチ力を秘めているのだとしたら、ここまでの通算ホームラン数が0本ということにはなっていないだろう。

そのため山野辺選手はパンチ力を売りにして一軍でアピールするわけにはいかない。そもそもパンチ力という意味であれば、三塁というポジションで競走する佐藤龍世選手の方がよほど長打力がある。しかも佐藤選手は山野辺選手のように内野ならほぼどこでも守ることができ、さらには緊急時には捕手を務めることもできる。

現実的に考えると山野辺選手は、源田壮亮主将外崎修汰選手にもしものことがあった時のバックアップ要員として控えることが今最も目指せるポジションであるわけだが、昨季源田主将が試合に出られなかった際には、残念ながら山野辺選手よりも若い選手たちがバックアップとして起用されていた。

もしかしたら山野辺選手はトレードで他球団に移籍した方が活躍の場を得られるのかもしれない。他球団に行けば、レギュラーになれなかったとしても内野のバックアップ要員や、代走要員としてポジションを得られる可能性はライオンズでよりは高くなるだろう。

もちろんベストとしては山野辺選手が若手に負けることなく、ライオンズの一軍で役割を得ていくことではあるが、しかしここまでの実績と30歳になるという年齢を考えると、今季突然一軍に定着できるレベルになると考えるのは現実的とは言えない。

ライオンズの場合は今後1〜2年の間に、主戦級の先発投手が2人ポスティングで抜ける可能性がある。さらには山野辺選手と比較的近い個性を持った20代前半の選手が複数人いることを踏まえると、山野辺選手をトレード要員として若手先発投手を獲得するという球団判断があったとしても不思議ではないだろう。

そして若い選手に押されていることで今後さらに出場機会が減るであろう山野辺選手自身のためにも、初心に戻って他球団で活路を見出すことも決して悪いことではないと思う。

高木浩之選手の背中を追ってもらいたかった山野辺翔選手

2020年秋には、山野辺選手は2試合連続でサヨナラ打を放ったこともあった。1試合目が相手選手のサヨナラタイムリーエラーで、翌日はちゃんとしたサヨナラヒットだった。これを機に何とか2021年はさらなる活躍を目指したかったわけだが、シーズンを通して一軍に帯同した2020年の53試合を上回ることはなく、2021年は25試合と出場試合数は半減してしまった。

もちろん2021年はヘッドスライディングをしたことで手を怪我してしまったという出来事もあったわけだが、2021年の数字は山野辺選手自身本当に悔しかったはずだ。だがそれをバネにして2022年以降は巻き返しを図りに行ったが、残念ながらライオンズには続々と山野辺選手とポジションが被る選手が入団して来てしまい、出場試合数は2022年が30試合、2023年が35試合と、ほとんど一軍の戦力になることはできなかった。

山野辺選手には、かつてライオンズで大活躍された高木浩之選手のようないぶし銀的な選手になってもらいたいと筆者は期待していた。パンチ力を武器にするのではなく、堅実な打撃、堅実な守備で何とか一軍で役割を得て欲しかったわけだが、今のところはその希望は叶わずにいる。

だがかつての高木浩之選手のように、とにかく右方向に転がすチームバッティングを徹底したり、送りバントを確実に決めたり、上手く盗塁をアシストしたりと、派手さはなくても堅実なプレーを続けていけば、山野辺選手がここから一軍で何らかの役割を得られる可能性はまだ十分にあるだろう。

しかし今までと同じようなプレーをいつまでも続けてしまった場合は、冒頭でも書いたように整理リストに加えられてしまう可能性も高くなる。だがライオンズファンとしてはそうはなってもらいたくない。

だからこそ山野辺選手には「活躍できれば一軍に残れる」という考え方は捨てて、「自分がチームに求められている役割は何なのだろう」と考え、その役割に徹することで一軍で仕事場を得ていってもらいたい。ちなみに今、山野辺選手が背負っている背番号4は、かつて高木浩之選手が背負っていた背番号だ。だからこそ筆者は山野辺選手には何とか高木選手に追いつけるように頑張ってもらいたいと毎年期待しているのである。

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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