2021年4月 6日公開
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | ||
楽天 | 1 | 0 | 1 | 0 | 2 | 7 | 0 | 2 | 0 | 13 | 13 | 0 | |
西武 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 3 | 0 |
【継投】
●松本航(1勝1敗)〜吉川光夫〜田村伊知郎〜井上広輝
【ホームラン】
中村剛也(2号)
観衆:8,608人、試合時間:3時間12分
開幕9試合目にして、今季初めて投手陣が大崩れしてしまった。まず先発マウンドに登ったのは松本航投手だったが、初回から4連続四球を出して1点を失ってしまう。この初回に関しては、どのボールでストライクが取れるのかと探っているうちにバタバタと行ってしまったという印象だった。
2回以降はやや立ち直ったようにも見えた。だがストレートには球速表示ほどの伸びは感じられず、変化球もやはり高めに浮いてしまうことが多かった。2回以降は、初回と比べると腕の振りも鋭くなったように見えたのだが、しかし全体的なバランスを取り戻すことはできず、4回までを何とか2失点で抑えはしたものの、5回のマウンドに登ることはなかった。
球数としてはまだ90球だったため、もう1回くらい行かせてもいいのでは、とも思ったが、「悪い日に球数を投げさせても仕方ない」という西口投手コーチの親心だったのかもしれない。大怪我をする前の予想以上に早い継投策で、「今日はこのぐらいにしておいて、次回はしっかり頑張れよ」というニュアンスの降板だったようにも筆者の目には映った。
二番手としてマウンドに登ったのは吉川光夫投手だった。だがこの吉川投手が結果として試合を壊してしまう結果となる。6回には二者連続でストレートの四球を出してしまうのだが、これは5回にすでに2点を失っていたことと、6回の先頭打者に甘いボールをヒットにされてしまったことが響いていたのだと思う。
甘いコースに投げて、これ以上の失点は重ねられないという気持ちは見ていても伝わってきた。しかしそこで大事に行き過ぎてしまい、際どいコースがすべてボールの判定となってしまう。せめて6回の先頭打者を抑えられていれば、もう少し大胆に攻めていくこともできただろう。だがこのあたりから、吉川投手のピッチングはどんどん逃げのピッチングになっていき、そしてストライクを取りに行くと甘く入ってしまいヒットを打たれる、という悪循環に陥ってしまった。内容としてはベテランらしからぬものだったと思う。
吉川投手はここまでリリーフとして非常に良い働きを見せてくれていただけに、吉川投手自身今日の内容には落胆してしまったはずだ。結果的には6回には一死も取ることができず、1回0/3で8失点という散々な内容になってしまった。吉川投手としてはここでロングリリーフを成功させて、何とか試合を整え直す役割を果たしたかったわけだが、今夜に関してはそれが上手くいかなかった。そして一度火がついてしまったイーグルス打線を三番手以降も止めることができず、今日は登板した4投手全員が失点し、13点をイーグルスに献上してしまった。
一方の打線も今日は散発3安打で、4番中村剛也選手のソロホームランと犠牲フライで2点を返すのがやっとだった。中村選手に関しては、開幕に間に合わないかもしれないと言われていたのが本当に嘘のようだ。4番としての仕事をきっちりと果たしており、開幕に間に合わないどころか、どの選手よりも良い状態でプレーをしているようにさえ見える。さすがはプロで20年やっているだけのことはある。
さて、今日は3打数ノーヒットだった山野辺翔選手について少し書いておきたい。今日はヒットは出なかったわけだが、山野辺選手のバッティングの状態は非常に良いと思う。
特に5回の打席、ここはピッチャーに7球投げさせたのだが、上手くファールで粘り続けた。本当であれば一番甘かった初球のスライダーを仕留められれば最高だったのだが、それをファールにしてしまった後も、1-2と追い込まれた状態で粘り続けた。相手は岸孝之投手という難敵だったわけだが、去年までの山野辺選手であれば7球投げさせる前にアウトになっていただろう。そして7球目まで行っていたとしても、非常に良いところに決まったチェンジアップで空振りをしていたと思う。
だが今日はそこで簡単に三振に倒れることはなく、チェンジアップに完全に泳がせられながらも上手くバットを合わせていき、レフトフライを打っていった。ここでこの低めのチェンジアップを見逃せるようになれば山野辺選手も一流打者になれると思うのだが、このボール球に手を出してしまうというのは、カウントが追い込まれていたという状況と、まだ1軍での打席数が少ないという状況のせいだろう。
山野辺選手もこのまましばらくセカンドとして試合に出続ければ、もっと選球眼を磨くことができ、もっとヒットを打てるバッターになることができるはずだ。それこそ現役時代の辻発彦選手のように、反対方向へのバッティングを徹底していけば、3割を打てることだってあり得るかもしれない。
オープン戦の段階からここで書いてきたように、今季の山野辺選手は昨季までとは全然違う。1軍定着に対する執念が見えるのだ。春季キャンプでは熊代聖人選手を目標にすると語っていたが、もう熊代選手の立場はとっくに追い越してしまったと言って良いだろう。怪我人続出の影響にも恵まれたわけだが、ここまで山野辺選手はレギュラーとして十分通用する働きを見せてくれている。
あとは本当に場数さえ踏んでいければ、このままセカンドのレギュラーを死守し続けることだってできるはずだ。外崎修汰選手は骨折だったため、少なくとも2〜3ヵ月は1軍には戻って来られないだろう。だが山野辺選手が執念を燃やし続けてくれれば、外崎選手が戻ってくるまでの間はこの形で十分戦っていけるはずだ。明日から再び引き締まった試合展開を見せていくためにも、筆者は山野辺選手の執念が非常に大きな存在になっていくはずだと確信している。