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2022年11月 2日公開

森友哉捕手の西武残留は吉田正尚選手のメジャー移籍の動向次第

FA権は行使の有無ではなく、取得後は自動的にFAとなるべきだ

森友哉捕手がFA宣言

2022年11月1日、森友哉捕手が正式にFA宣言を行った。しかし筆者はこう考えている。シーズン中にFA資格を取得した選手は、日本シリーズ終了後に自動的にフリーエージェントとすべきだと。現行のシステムでは、FA宣言をして他球団を交渉をしようとする選手が一部のファンから冷たい視線を浴びせられるケースが非常に多いからだ。

森捕手も然りで、FA宣言をした途端、インターネット上には悲嘆に暮れるコメントや、森捕手のことを敵視するようなコメントが目立つようになった。残留を願う真のファンのコメント以上に、そのようなラジカルなコメントが目立ってしまうのは非常に残念だし、そのようなコメントをもし当該選手が知ることになれば、残留したいという気持ちが冷めてしまうこともあるだろう。

だからこそFA宣言をするしないという話ではなく、自動的にフリーエージェント状態にすべきだと筆者は考えている。ただし現行システムではそれは現実的ではない。なぜなら国内FAと海外FAでは取得できる年数が異なるため、仮に自動的にフリーエージェントになるようなシステムにしてしまうと、海外FA権の存在意義が薄れてしまうからだ。

だが現時点であっても、実は海外FA権の存在意義は高いとは言えない。なぜなら多くの選手が海外FAを取得する以前に、ポスティングによってメジャー移籍を目指すからだ。そして球団としても何の保証もない海外FA移籍をされるくらいなら、ポスティング申請をして移籍金を得た方が経営面でもプラスになるため、球団側としても海外FA権に関しては申請数としては稀となっている。

それならば海外FA権そのものを撤廃したり、FA権そのものを国内外問わないものとしたり、もしくはFA権を得た選手は1年後、もしくは2年後にポスティング申請を球団が拒否できない形で要求できる権利を新設すれば良いと思う。そしてその権利を待たずにポスティング移籍を希望する場合は、球団が認めれば可能となるルールにすれば、もう少しFA権というものがファンにも好意的に受け取られるようになるのではないだろうか。

入団時に所属先を選ぶことができない選手側からすれば、FA権というのは苦労してようやく取得した職業選択の権利なのだ。それを行使しにくい現状のルールは、筆者個人としては見直すべきだと考えている。

現代では、多くの選手がいわゆるエゴサと呼ばれる、自分の名前を検索して自分がファンからどう見られているのかを調べる行動を取っている。森友哉選手がそれをしているのかどうかは筆者には分からないが、SNSを使っている森捕手がエゴサをしていても不思議ではないだろう。その時たまたま目に入ったコメントが辛辣なものであれば、移籍への気持ちが高まってしまっても不思議ではない。

ポスティングでのメジャー移籍を目指す吉田正尚選手の西武への影響

バファローズがスワローズを破り26年振りに日本一になったことで、現時点のパ・リーグにおいて、埼玉西武ライオンズが最も日本一から遠ざかっている球団となってしまった。最後に日本一になったのは2008年の渡辺久信監督の初年度であり、これはもう14年も前の話だ。

パ・リーグ6球団という中で、2008年以降3回リーグ優勝を果たしていると考えれば、4.6年に1回リーグ優勝しているペースとなるため、この数字は決して悪くはないと思う。だが日本一ということで見ると、2008年以降では14年に1回というペースとなっており、12球団しかないNPBにおいてこのペースは芳しくはない。

森友哉捕手から見れば、リーグ連覇した時でも、投手力がリーグナンバー1だった今季でも、ライオンズというチームは短期決戦では勝てないという認識を持っていたとしても不思議ではない。これは森友哉捕手の成績云々ということではなく、プロ野球でプレーをする限り、やはり日本一になるというのが最優先の目標となっていくためだ。

メジャーリーガーに関してはその意識が顕著で、移籍先を求める際、最優先事項の1つとなるのがチャンピオンリングを手にできるのかという可能性だ。豊富な選択肢を得られるレベルの選手であれば、優勝の可能性が低い球団への移籍は拒否する権利を契約書に認めているケースも多い。

そう考えるとかつてオリックスジュニアとしてプレーをしていた森友哉捕手とすれば、リーグ連覇を果たして日本一にもなったバファローズは非常に魅力的に映るだろう。ただしそれは今季までの話だ。

バファローズは今オフ、ポスティングによって主砲吉田正尚選手を失う可能性が非常に高くなっている。昨季果たせなかった日本一を今季は果たしたことで、オリックス球団としても吉田選手のポスティング希望を無下にするわけにはいかない。

吉田選手は順調にいけば2023年度中に国内FA権を取得する見込みで、大卒の吉田選手の場合、国内FA権は7年、海外FA権は9年となり、FAによりメジャー移籍できるのは早くても2026年シーズンからとなる。そしてその時吉田選手は33歳となっており、選手としての峠は越していると言わざるを得ない。そうすればメジャーで活躍できる可能性も低くなり、それ以前にピークアウトした日本人選手に対して大金を出すメジャー球団も多くはないだろう。

そのような事情もあり、オリックス球団としても吉田選手にメジャーで活躍してもらうためには、旬である今ポスティングを利用してしまった方が良いし、移籍金からの実入りも良くなるはずだ。そう考えると来季は吉田選手がバファローズにいない可能性が高く、そうなるとバファローズの三連覇の難易度はかなり高くなっていくだろう。

吉田正尚選手の動向を見ている可能性が高い森友哉捕手

なぜ今回の記事ではこれだけ長くバファローズの選手の話をしたかと言えば、森捕手は吉田選手の動向を見ている可能性が高いからだ。もし吉田選手が抜けるとすれば、来季以降はバファローズよりもライオンズの方が優勝に近い存在となり、逆に吉田選手が残留した上で森捕手が加われば、バファローズの三連覇の可能性は非常に高くなる。

もし筆者が森捕手の立場だったとすればやはり日本一を経験したいため、吉田選手が残留するならバファローズ入り、吉田選手がメジャー移籍するならライオンズへの残留という風に考えると思う。

ちなみに他球団も森捕手の獲得調査には前向きにはなっているが、しかしライオンズじゃないのならば関西球団でという意向を持っている森捕手のため、バファローズ以外へのFA移籍の可能性は低いと思われる。

このように考えていくと、森捕手が残留か移籍かを決めるのは、オリックス球団が吉田選手のポスティング移籍を認めるか認めないかの正確な情報が情報解禁を前にして森捕手の耳に入った後になるのではないだろうか。ただしポスティングの場合入札されないというケースもあるわけだが、常識的に考えればその入札の有無が確定するまで森捕手が結論を先延ばしにすることはないだろう。

そして実際に入札されたとしても、入団交渉で話がまとまらないケースもある。その場合は吉田選手はバファローズに残留することになるわけだが、森捕手としてはやはりそこまで待つこともできない。理想を言えば、ライオンズのファン感謝デーまでに結論を出したいというのが本音ではないだろうか。

以前のように球団本部長が交渉を勝手に打ち切らなくなった西武球団

以前も書いた通り、筆者は森友哉捕手のFA移籍の可能性は決して高くはないと予想している。それは今回書いた吉田選手の動向も含めての予想だったわけだが、現段階においてもやはり筆者は、残留の可能性の方が高いと予想している。

バックナンバー:森友哉捕手は現時点で果たして何%の確率でFA移籍しそうなのか?!

もちろん筆者の予想など状況次第ではいとも簡単に吹き飛ばされてしまうわけだが、しかし理屈で考えていくと吉田選手を欠く来季のバファローズよりも、森捕手が残留するライオンズの方が優勝に近い位置にいられるはずだ。

西武球団は現時点の報道においては、最低4年契約以上を森捕手には提示しているようだ。しかしこれは当然だろう。これまで西武球団は、年俸的には森捕手よりも格下である外崎修汰選手ら複数の選手に4年契約を提示してきている。そのため森捕手に4年未満の契約年数を提示する可能性は限りなく0に近い。

森友哉捕手との最低交渉ラインは4年20億以上

そして森友哉捕手はグッズ面でも大きく売り上げに貢献しているため、それを加味すれば4年総額20億円以上の提示だったとしても西武球団としては確実にペイできるはずだ。

さらに言えば今季のライオンズの観客動員数は12球団の底辺付近を推移していたわけだが、来季監督を務めるのは客を呼べる松井稼頭央監督だ。メジャー移籍前の松井稼頭央選手には圧倒的多数の女性ファンがいた。その女性ファンたちも今や母親となり、少年野球に携わっているケースも多い。

そのため松井稼頭央監督になったことで、一時西武ドームから遠ざかっていた子育て世代の女性たちが、再びベルーナドームに子連れて戻ってきてくれる可能性が高い。これは来季以降の観客動員数の回復を予測するための大きな要因だと言える。実際筆者の友人も子どもが小学生になり、来季はかつて応援していた松井稼頭央監督を見に子どもを連れて久しぶりにドームに行きたいと話していた。

そしてベルーナドームには安心して子連れで行ける要素がふんだんに用意されている。そしてその子どもたちが森捕手の快打を目の当たりにすれば、背番号10のレプリカユニフォームを着てベルーナドームを訪れるちびっ子ファンもみるみる増えていくだろう。

そのちびっ子ファンに夢を与えるためにも、西武球団が森捕手に4年総額20億円以上を用意して損をすることは決してないはずだ。そして若さを加味して5年契約であれば25億円程度、もしくは20億+多様なインセンティブということになるのではないだろうか。例えば規定打席に到達して優勝すればボーナス1億円というような形で。

渡辺久信GMには、選手のためにオーナー側に必死に頭を下げてくれる男気がある。そして渡辺久信GMとオーナー側ではすでにすり合わせは行われているはずで、4年20億という数字も、他球団と競うためには最低限の数字だということをオーナーサイドには分かってもらっているはずだ。そのためかつての球団本部長たちのように「これ以上の提示はできないため、これ以上交渉の場を設けることはない」という馬鹿げたことを選手に言って勝手に交渉を打ち切るようなことは、渡辺久信GMであれば絶対にあり得ない。

とにかく森捕手側の西武球団に対する印象は良好であることに間違いはない。だとすれば戦力を冷静に比較した場合、吉田選手が抜けて山本由伸投手も怪我をし始めているバファローズよりも、森捕手が残留したライオンズの方が来季の優勝の可能性が高いと言うことは間違いない。

だからこそ筆者は改めてここで言い切りたい。森友哉捕手はきっとライオンズに残留するはずだと。

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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