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2022年10月 3日公開

森友哉捕手は現時点で果たして何%の確率でFA移籍しそうなのか?!

森友哉捕手は関西愛が強く、FA移籍の可能性が高いと語る橋上秀樹監督

森友哉捕手は現時点で果たして何%の確率でFA移籍しそうなのか?!

2022年8月20日、森友哉捕手が国内FA権を取得した。今や森捕手は今オフFA市場の目玉とも呼べる存在となっている。果たして森捕手はライオンズに残留するのか、それとも他球団に移籍してしまうのか。

元ライオンズのコーチであり現在は新潟アルビレックスBCの橋上秀樹監督は、森捕手は移籍する可能性が非常い高いと仰っている。その理由として森捕手が関西への愛着が強い点を挙げているのだが、関西となるとオリックスか阪神ということになる。

阪神には大阪桐蔭時代にバッテリーを組んでいた藤浪晋太郎投手がいるわけだが、藤浪投手は今オフはメジャー移籍する可能性が高い。そのため仮に森捕手が阪神に移籍したとしても、藤浪-森バッテリーが復活することはないだろう。

ちなみに阪神球団としては藤浪晋太郎投手に関してはかなり苦労をしている。鳴り物入りで入団した選手であることから、簡単にトレードに出すことはできない。もしそんなことをすれば「阪神は選手を育てずに、活躍しなければすぐ放出する球団」というふうにアマチュア球界からは思われてしまい、そうなるとドラフト戦略が成り立たなくなってしまう。

しかし仮にポスティングでメジャー移籍という形になれば、「よく送り出してくれた!」とポジティブなイメージっを持たれながらも復活に手を焼いた藤浪投手を放出することができる。阪神としてはここまで藤浪投手を育てられずに来たのだから、来季岡田監督が復帰したとしてもそれが大きく変わることはないだろう。

岡田新監督としてはもちろん藤浪投手に残ってもらいたいとは思うのだが、阪神球団としては「飼い殺し」と言われるよりは、ポスティングにかけてある程度の利を得ることを考えるのではないだろうか。

こうして考えると藤浪投手不在のタイガースに、森捕手が移籍することは考えにくいように思う。縦縞のユニフォームを着て甲子園でプレーをするとはどういうことなのか、森捕手はそれを藤浪投手から聞き及んでいるはずだ。慣れない環境があまり得意ではない森捕手の性格を考えると、野次の多い甲子園で活躍し続けるのは難しいように思える。

ではオリックスバファローズはだろうか?まずバファローズには正捕手と呼べる正捕手がいない。いわゆる捕手三人制で、三人共正捕手になりうる決め手に欠けている。出場試合数に関しても今季は三人とも60〜80試合台で、ほとんど同水準だ。

だがこの三人でバランス良くディフェンスをまとめているのは確かであり、バファローズのチーム防御率はライオンズに次ぐリーグ2位の好成績となっている。そう考えるとオリックス球団としても、中嶋監督としても、このバランスを崩したくはないのではないだろうか。この三人を併用しながら、誰か一人が正捕手として伸びて来てくれればと考えながら、上手く育成しているように筆者の目には映っている。

こうして考えると森捕手の性格は甲子園には合わないように見えるし、オリックスに関しては森捕手がFA宣言したとしても積極的に獲得を目指すことはないように思える。

橋上監督は森捕手の関西愛の強さを語っていたが、筆者個人としてはいくら森捕手が関西愛を持っていたとしても、岸孝之投手が東北愛によってイーグルスに移籍したように、森捕手が関西球団に移籍する可能性は非常に低いように思えるのだ。また、セ・リーグの場合はDH出場できないこともネックとなるだろう。

関西圏外では森友哉捕手の獲得を目指す球団はあるのだろうか?

では関西から少し話を広げて、広島カープや中日ドラゴンズまで含めたらどうだろうか?まずカープに関しては友好度が低いと言われる秋山翔吾選手がいるため可能性としてはほとんどないだろう。

一方ドラゴンズに関しては、優勝を狙えたライオンズを出てまでドラゴンズに移籍する理由がない。そのため関西球団はもちろんのこと、広島や名古屋への移籍も考えにくいのではないだろうか。

ではさらに話を広げて11球団を対象にしたらだろうか?ファイターズ、イーグルス、マリーンズ、ホークス、スワローズ、ベイスターズ、そしてジャイアンツ。

まずロッテ球団に関しては森捕手と大型契約を結ぶだけの経営体力はないのではという印象だ。日本ハムに関しては関西から遠いし、単独最下位という現状であるため、森捕手が移籍するメリットは小さい。

ただし新庄剛志監督のキャラクターは森捕手の性格には合いそうだ。そのためエスコンフィールド初年度の目玉として森捕手の獲得を目指す可能性は0ではないだろう。

イーグルスとホークスに関しては手を上げる可能性は高い。イーグルスは来季も石井一久GM兼監督が続投であるため、また西武人材を狙いに来る可能性は高い。そしてホークスに関しては甲斐捕手はいるが、森捕手と併用しながら甲斐捕手がマスクを被る試合では森捕手をDHに回す、という起用法が考えられる。

近年のホークスは毎年のように優勝争いに加わっているが、チームの若返りが必要な時期にあり、イーグルスもあと一皮剥ければ優勝線戦から脱落しない球団になりそうで、そのために森捕手の獲得を目指す可能性はあるだろう。そう考えると森捕手の意向はさておき、森捕手がFA宣言すれば両球団が手を挙げる可能性は高いと思う。

ではスワローズとベイスターズはどうだろうか?連覇を達成したスワローズも一方のベイスターズも、捕手事情はバファローズに似ている。正捕手と呼べる存在はなく、複数の捕手を併用している形だ。

だがヤクルト球団にしてもDeNA球団にしても、全盛期の選手に大枚を叩いた前例がなく、FA獲得となればかなりの資金が必要になってくる森捕手に対しては、おそらくは慎重姿勢を崩さないのではないだろうか。

では残すジャイアンツはどうだろうか?まず紳士であることが求められる球団の空気は、森捕手にはストレスとなるに違いない。そのため森捕手自らが巨人移籍に傾くとすれば、よほどの大型契約を提示された場合だけだろう。ジャイアンツであればどこよりも大きな金額を提示することができるため、力技で森捕手の獲得を目指す可能性はある。

また、今季のジャイアンツはBクラスに沈んでいるため、なりふり構わず良さそうな選手を乱獲しに行く可能性もあるだろう。だが森捕手にはその犠牲になってもらいたくはない。

森捕手がライオンズに残留する可能性は何%なのか?

橋上監督は、森捕手は西武残留よりもFA移籍の可能性が高いと仰っているが、上述したように筆者はそうは考えていない。FA宣言したとしても、宣言残留になる可能性が高いと見ている。

森捕手の今季年俸は推定2億1000万円とされている。するとFAで獲得するためにはマネーゲームが発生した場合、3年10億〜4年16億程度の資金が必要になってくるはずだ。逆に西武に残留した場合は少なからず減俸は免れないだろう。良くても現状維持で、おそらくは年俸変動制の4年契約などが提示されると思われる。

得られる金額ということを考えれば、もちろん西武を出た方が圧倒的に大きな金額を得ることができる。だが森捕手は年俸でごねるタイプではなく、自らの成績に対しより大きなこだわりを持っているはずだ。つまり森捕手としては金額以上に、どの球団がもっとも自分らしくプレーできるのか、ということを主眼にしていくと筆者は考えている。

そう考えると西武球団はこれまで、基本的には森捕手がやりたいようにやらせて来たという実績がある。身だしなみにしても、普段の態度にしても、プレースタイルにしても。森捕手にとって、ライオンズほど自分らしさを出せる球団は他にはないはずだ。

日本代表でのプレーでさえ苦手としている森捕手なのだから、自分をあえて今まで以上に厳しい環境に晒す賭けはしないはずだ。もちろんこれは臆病という意味ではなく、慣れ親しんだチームでこれからも自分のプレーを追求していく方が、森捕手は飛躍できる可能性が高いという意味だ。

橋上監督は森捕手が西武に残留する可能性は低いと仰っているが、筆者は真っ向からその意見に対峙してみたい。筆者は90%の確率で森捕手はライオンズに残留するのではないかと書き記しておきたい。そして残留することがベストであると、森捕手自身も感じているはずだ。

今季はかつての炭谷銀仁朗捕手と同水準だった森友哉捕手のバット

試合数を度返しすれば、森捕手は2016年意向は隔年で打率2割台と3割台を繰り返している。つまり今季は打率.251だったため、来季2023年は3割打つということだ。

だが森捕手としてはFA獲得年にこの成績は痛かった。打率.251、8本塁打、38打点、得点圏打率.275。この数字は西武在籍時、2017年の炭谷銀仁朗捕手の数字と同水準だ。2017年の炭谷捕手は打率.251、5本塁打、30打点、得点圏打率.302というものだった。

打てる捕手と期待されたが結局は打てなかった炭谷捕手と、今季の森捕手の成績がこれほど似通ってしまっているのは交渉の席では痛い材料となる。そもそも炭谷捕手は主に8番を打っての30打点だったわけだが、森捕手は主に3番を打っての 38打点だった。

もし森捕手が物事をシンプルに考えるタイプの選手であれば、今オフは1年契約を結び、来季成績を上げた後に改めて交渉しようとするのではないだろうか。もし仮にFA宣言する意思を持っていたとすれば、権利を行使せずに1年待つというやり方は現状では最も無難だと思う。少なくとも今季の成績で交渉の席に着くよりは、来季成績を上げてからの方が交渉を優位に進めることができる。

このような点も踏まえると、やはり今オフの森捕手はライオンズに残留する可能性が非常に高いと筆者には思えるのだ。だがこれはあくまでも筆者個人の見解であるため、実際に森捕手がどう動くのかは、日本シリーズが終わってからでなければ分からない。

だがいずれにしても渡辺久信GMが簡単には森捕手を手放すことはしないだろう。少なくとも年俸変動制の複数年契約を提示し、西武球団として最大限の誠意を森捕手に見せていくはずだ。

渡辺久信GMになって以来、あれだけFA流出が続いていたライオンズから、FA移籍する選手がほとんどいなくなった。これは何よりも渡辺久信GMの功績だ。これがもし前田康介氏や鈴木葉留彦氏がフロントのトップに居座ったままだったとすれば、今なおFA流出は続いていただろう。

この渡辺久信GMの手腕も、森友哉捕手がライオンズに残留するであろう根拠として、今回のコラムを締めくくりたいと思う。

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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