直近15試合で12勝している西武を勢いづかせるクリスキー投手の獲得

2023年8月 3日公開

すでに日本の野球を学んでいることが大きな武器となるクリスキー投手

埼玉西武ライオンズ:ブルックス・クリスキー投手

7月31日の補強可能期限を直前にして、西武球団がクリスキー投手を獲得できたのは夏攻勢を仕掛けるにあたり本当に必要だったと思う。もしこの補強がなければ、ブルペン陣がかなり手薄になりかねなかったからだ。

まず佐藤隼輔投手が疲労によりコンディションが低下し1軍登録を抹消されると、今度はオールスターを直前にし、森脇亮介投手が右上腕動脈閉塞症により離脱してしまった。この二人は前半戦のブルペンを本当によく支えてくれていたため、チームとしては本当にダメージが大きかった。

そんな中光明と言えば、前半戦はなかなか1軍に上がって来れなかった水上由伸投手がようやく調子を上げてきたことだろう。だがそれだけでは駒は十分ではなく、そういう意味でもクリスキー投手の獲得は必要だったと言える。

渡辺久信GMとしては、増田達至投手に繋ぐ8回を任せたいという意向を持っているようだ。そしてクリスキー投手であれば、十分にその役目を果たしてくれるだろう。

そして他の外国人選手同様、クリスキー投手もまた人柄が良く、日本の野球をリスペクトしてくれている。日本野球への対応としても昨季DeNAでプレーすることにより、走者を出した時のクイックがいかに重要であるかをすでに学んでいる。

外国人投手の場合、えてして塁上で走者に気を散らされることで冷静さを失い、自滅してしまう。クリスキー投手はそうなってはならないことをすでに学んでいるため、ベルーナドームでは昨季以上に落ち着いたマウンド捌きを見せてくれるはずだ。

6月の時点ですでにクリスキー投手の獲得調査をしていた西武球団

西武球団としては、すでに6月の時点でクリスキー投手の調査を行っていたらしい。そのようなこともあり、森脇投手が離脱した一週間後には早くもクリスキー投手の獲得が報じられていた。

今季のライオンズは、文字通り根幹からチームが揺らぐような出来事が起こっており、それにより前半戦は最下位争いを長く演じる羽目になった。だがそこで空中分解することなく、何とか土俵際で持ち直し、オールスター前から徐々に押し返し始めている。

現時点でのライオンズはまだ9つの負け越しがあるわけだが、最近15試合の成績を見てみると12勝3敗、勝率.800という快進撃を繰り広げており、負け越しはこの間に半減させている。

もちろんこれからも勝率.800ペースで勝ち続けることは難しいわけだが、しかし3位ホークスまで5.5ゲーム差という数字を考えると、CS圏入りは決して夢物語ではなくなってきている。

ライオンズが快進撃を続けている間、逆にホークスは連敗に苦しんでいたわけだが、投打が噛み合い始めチームも機能し始めている今、獅子が鷲と鷹を追い抜くのも時間の問題と言えるのではないだろうか。

そしてそのためにも必要だったのがクリスキー投手の獲得だった。この投手を獲得したことにより、7回に大胆な継投策を用いることができる。だが8回のピッチャーが不在のままだと、水上投手を8回まで温存しなければならず、7回に思い切った継投策に出ることが難しい。

つまり極端な話、クリスキー投手が機能してくれれば7回、最悪の場合6〜7回をブルペン総動員で戦えるようになる。すると先発投手は6回まで、最低でも5回まで試合を作れば何とかなると考えられるようになり、よりリラックスしてマウンドに登ることができる。

ブルペン陣を強化するためにも、先発陣を生かすためにも、クリスキー投手の獲得は非常に意味のあるものだったと筆者は考えている。

現状では1軍で5人目の外国人選手となるクリスキー投手

今季のライオンズは、現状機能している外国人投手はボー・タカハシ投手のみだ。ティノコ投手は33試合に登板しているがWHIPは1.47で、常に走者を背負ったピッチングになっている。そのため本当に大事な場面で起用するとなると悩んでしまう。

そして昨季は10勝7敗と大活躍だったエンス投手に関しては、今季は1勝8敗と苦しんでいる。エンス投手の場合今季は制球に苦しむ場面がやや多く、与四球率も昨季の3.31に対し、今季は4.50で悪化している。それほど球威があるタイプの投手ではない分、制球が思うようにいかないとエンス投手の場合は苦しくなる。そしてまた、今季のエンス投手のピッチングを見ていると、積極的に攻めるよりは、どこか交わしにいくような消極的なピッチングが目立っていた。

打者陣に関してはマキノン選手はずっと試合に出続け、勝負どころで良いバッティングを見せてくれている。そしてペイトン選手もようやく1軍に戻ってきて、少しずつ調子を取り戻している。

仮にペイトン選手が数字を残せなければ、ペイトン選手に代わりクリスキー投手が昇格となると思うのだが、もしペイトン選手が機能した場合は、ティノコ投手とのやりくりになってくるのではないだろうか。

コロナの影響により、今季2023年も引き続き外国人選手の1軍登録は5人まで、ベンチ入りは4人までという形になっている。現状ではクリスキー投手も即1軍登録できるわけだが、ベンチ入りに関してはあくまでも4人までとなるため、クリスキー投手がよほど凄みのあるピッチングを見せない限りは、ペイトン選手・ティノコ投手との兼ね合いでベンチを外れることもあるだろう。

だが渡辺GMの「8回を任せたい」という言葉を信じるならば、やはりティノコ投手よりもクリスキー投手をしばらくは優先的に起用していくことが考えられる。まずはクリスキー投手の様子を見て、クリスキー投手を休ませたい日にティノコ投手をベンチ入りさせる、というのが現実的な起用法となるのかもしれない。

いずれにしても好調ライオンズにとってクリスキー投手は本当に頼もしい存在となるだろう。ライオンズが夏攻勢を仕掛け、1つでも高く順位を上げていくためにも、クリスキー投手の剛腕は大きな力となってくれるはずだ。だからこそライオンズファンは一日でも早くベルーナドームの8回のマウンドでクリスキー投手を見てみたいのだ。

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THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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