2021年1月18日公開
ライオンズのレジェンドのひとり、清原和博氏の長男がまた野球を始めるとニュースになっていた。今は高校3年生で春から大学生になるわけだが、その大学の野球部に入部する意向を持っているようだ。
息子さんは小学生の頃は野球、中学ではバレーボール、高校ではアメフトと、いくつかのスポーツを経験してきた。子どもの頃から野球一筋ではなかったというのは、これからまた本格的に野球を始める上では大きなプラスになると筆者は考えている。
身長は190cmと、お父さんを2cm上回る長身で、アメフト選手としても将来を嘱望されていたようだ。2020年の暮れ、この春から入学予定の大学の野球部の練習に参加し、関係者が驚くほどのバッティングパフォーマンスを見せたと報道されている。きっとお父さん譲りの反対方向への大きな当たりを放ったのだろう。
実は筆者は小学生時代の野球をやっていた頃の息子さんを知っている。個人的な面識はないに等しいのだが、筆者の野球塾に通っていた生徒さんと同じチームだった影響で、筆者は息子さんの小学生時代のプレーを何度が見たことがあった。そして時にはバックネット裏にお父さんが座っていることもあった。
機会があり間近で見聞きすることができたことで、息子さんが野球を離れることになってしまった切っ掛けも筆者は知っている。野球を離れてしまったと聞いた時は残念だなと思ったが、またこうして野球に戻ってきてくれたというニュースを聞くと、とても嬉しい気持ちになれる。
中学時代はバレーボールで瞬発力を養い、高校時代はアメフト部で野球にも通じる投げ方を身につけているはずだ。ちなみにアメフトの投げ方のまま野球でも投げられるようになれば、強いボールを肩肘を痛めることなく投げられるようになる。
野球一筋で下手に酷使されてしまうよりは、他競技を通じて野球では鍛えにくいポイントを鍛え、酷使されることなくしっかり出来上がった体で、また大学から本格的に野球を始めるという道筋は、筆者は非常に良いものだと考えている。
ちなみにアメリカの学生野球の選手たちの中にも、野球一筋という選手はほとんどいない。暖かい季節は野球をしながら、気温が下がってくるとアメフトやテニスなど他競技をする選手が多い。日本もそのように、子どもたちにもっと多くの選択肢があっても良いと思うのだが、しかし現状の日本の少年野球、中学野球、高校野球ではそれが非常に難しい。
高校野球は特に顕著で、勉強そっちのけで野球漬けにしてしまう強豪校も少なくない。すると野球以外を楽しむ機会もなくなりし、勉強だって疎かになってしまう。そういう意味では清原氏の息子さんが歩んできたこれまでの道は、視野を広げるためにも、体に負荷をかけすぎないためにも、非常に良い選択だったと筆者はプロコーチとして考えている。
息子さんが将来プロ野球選手になりたいという希望を持っているのかどうかはわからない。しかしスポーツに対する身体能力が非常に高い選手なだけに、目指していけばプロ球団もノーマークにはしておかないだろう。
そして個人的には、やはり将来はライオンズで背番号3を背負い、メットライフドームでまた「4番、ファースト清原」という場内アナウンスを聞かせてもらいたいと思う!