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2024年7月 8日公開

西武球団が清原和博打撃コーチ待望論を頑なに無視し続けて来た理由

引退直後は逮捕まであっても問題行動が目立っていた清原和博氏

西武球団が清原和博打撃コーチ待望論を頑なに無視し続けて来た理由

清原和博氏の西武復帰はありかなしかと問われれば、筆者は迷わずあり派として手を挙げるだろう。もちろん清原氏は過去には様々な問題行動を起こしている。引退後の仕事ではドタキャンが相次ぎ解説の仕事を失ったり、海外出張先には不倫相手を同行させて評論家の仕事を失ったこともあった。

そして極め付けは野球ファンでなくてもご存知の通り、2016年の薬物使用による逮捕だ。一般的にはこの逮捕の衝撃が大きすぎて、どの球団も清原氏をコーチとして招聘できないという事情がある。もちろん西武球団も同様で、コンプライアンスに厳しい西武球団の場合は特に清原氏に対し厳しく接してきた。

また、キャンプ取材時にはヤクザまがいの格好をして現れたこともあり、体には多数の刺青もあった(今は佐々木主浩氏の説得もあり除去されているという話だ)。逮捕される以前でもこのように、どの球団も清原コーチの招聘には二の足を踏むような言動が目立っていた。しかしその頃の清原氏と今の清原氏は明らかに違って見える。逮捕され、息子さんたちと会えなくなったことで自らの愚かさに気づき、今ではすっかり心を入れ替えているように見えるのが今の清原氏だ。

解説の仕事で球場入りする際も、今では普通の会社重役のような出立ちであるため、行動だけではなく出たちも真っ当になっている。そしてジャイアンツ時代には番長というキャラクターがあまり良くないイメージで定着していたわけだが、今では言葉遣い一つにしても番長の面影はほとんど見当たらない。

逮捕され、執行猶予も明け、息子さんに野球指導をしているうちにかつての、ライオンズ時代までの本当の自分自身を取り戻すことができたのではないだろうか。そもそもライオンズからFA移籍するかしないかの頃から、交友関係はあまり良いものではなかった。いつでも飲み歩いていたし、薬物逮捕されたミュージシャンとも親しかった。

薬物逮捕されるような人物の周りには確実に反社会的人物の存在がある。これは本人や周囲が否定しようとも間違いないことだし、ただ単にそれに気付かずに否定していることもある。清原氏ももしかしたら、知らず知らずのうちにそのような傷のある人間と親しくなり、親しくなった後で実はその人物が反社だったと知り、気づいた時にはもう遅かったというパターンだったのかもしれない。

そのあたりの清原氏の事情に関しては筆者は厳密には分からないが、しかし交友関係が悪かったことだけは間違いなかった。ただ、今はしっかりとリハビリをしておりお酒も絶っているというような話も耳にするため、真っ当な人間に戻れているのではないだろうか。

西武球団が清原氏を徹底的に避けてきた理由

今年の西武ホールディングスの株主総会では、「そろそろ清原を許すべき」という声が挙がっていた。これには筆者も賛成だ。執行猶予も明けて今は言動も真っ当になっているため、セカンドチャンスを得る資格はあると思う。だが西武球団としては逮捕前の言動も含めて清原氏には問題行動が多かったため、基本的にベルーナドームでは出禁状態が続いているらしい。

だが声を挙げた株主の言う通り、そろそろ許してあげるべきではないだろうか。今年行われたOB戦でも、最大の功労者である清原氏と松坂大輔氏の名前がなかった。松坂氏に関してはただ単に忙しかったのだろうが、清原氏の場合は西武球団が声をかければ間違いなく来てもらえたはずだ。

ではなぜ西武球団はここまで頑なに清原氏の存在を避けようとしているのだろうか。基本的に西武株を持っている方や、西武ファンのほとんどは清原氏の西武復帰にはウェルカムだと思う。このあたりに関しては支障はないわけだが、支障が出そうなのは企業スポンサーの存在だ。

例えばベルーナドームやユニフォームなどに広告を出してくれているスポンサー企業というのは、自らの企業イメージをアップさせるために日本に12個しかないプロ野球の球団に広告を出稿している。だがもしここに逮捕歴がある清原氏が入ってきてしまうと、その過去のイメージを嫌い広告を取り下げてしまう企業が続出する可能性があるのだ。

西武球団はただでさえ資金力に乏しい球団であるため、これで企業広告まで失ってしまったらそれこそ身売りという選択肢を避けられなくなってしまう。それを避けるためにこれまでの西武球団は清原氏をまるで腫れ物か何かのように避け続けてきた。

しかし山川穂高事件があっても、岸潤一郎事件があっても、基本的には企業スポンサーは西武球団からは離れてはいない。もちろんそこには「西武球団はある意味では被害者だった」という心理が働き、企業スポンサー側からも西武球団を同情する声が挙がっていた。そのため広告を出稿し続けているという事情も考えられる。

だがもし西武球団が能動的に前科のある清原氏を招聘した場合、それに拒否反応を示す企業は必ず出てくるだろう。だがそれを恐れているだけであるならば、これは西武球団の怠慢だとも言える。

例えば仮に今オフに清原氏を打撃コーチとして招聘する場合、オールスター前のこの時期から西武球団は少しずつスポンサー企業に対し根回しをすれば良いのだ。秋になって突然清原コーチの誕生が宣言されれば拒否反応を示す企業も多くなるだろうが、しかし今から少しずつ根回ししておけば、清原コーチが誕生しても広告の出向を取りやめる企業は最小限に抑えられるだろう。

また、いくつかのスポンサー企業を失ったとしても、清原和博というネームバリューにより、その黄金時代を知る経営者たちが新たにスポンサーになってくれることもあるはずだ。

清原和博コーチの誕生には不可欠な渡辺久信GMの存在

しかし清原氏を西武に復帰させるためにはその根回しだけでは不足で、信頼できる後見人の存在が必要だ。例えば清原氏の親友と言えば桑田真澄氏や佐々木主浩氏が有名であるわけだが、しかしこの二人ではダメだ。なぜなら単純に西武球団の人間ではないからだ。

後見人として相応しい桑田・佐々木両氏ではあるが、万が一清原氏が何か問題を起こした場合、両氏は西武球団の人間として責任を取ることはできない。そのため人間的には相応しかったとしても、この二人を後見人とするわけにはいかない。

では誰が望ましいかと言えば、それはもう言わずもがな渡辺久信GMだ。黄金時代の渡辺投手は清原選手のよき兄貴分であり、清原氏が頭が上がらない人物の一人として知られている。

渡辺GMは当然だが西武球団の人間であり、西武球団の人間として責任を取る能力を持っている。その渡辺GMが後見人を務めるということになれば、スポンサー企業も頑なに清原氏の西武復帰に対しノーと言い続ける理由はなくなる。何かあっても渡辺GMが責任を取るのなら、企業スポンサーも納得してくれるはずだ。

そもそも西武球団はコーチングスタッフの若返りを急ぎすぎた。若いコーチたちが先輩コーチたちから学びながら指導スキルを身につけていくという機会がなかった。もちろん指導者講習は行っているわけだが、コーチングの仕方を学ぶことと、野球選手に対する指導方法というのはまったくの別物だ。

指導者講習によってコミュニケーション能力が高まったり、コンプライアンスに則った指導ができるコーチを育てることはできるが、しかしそれイコール、選手を育てられるコーチということにはならない。だからこそ選手を育てられるコーチの指導を豊富に受けて来た清原氏の存在が必要なのだ。

もちろん清原氏はプロでのコーチ経験はないが、しかしキャンプの臨時コーチや息子さんの指導をする中で、指導者のあり方についてはすでに知っていると思われる。そして常に渡辺GMの目が光っていることを知れば、清原氏も再び番長面をし出すこともないだろう。

今は渡辺久信氏がGMと監督を務め、フロントと現場の両方において大きな権限を持っている。そのため清原コーチに対し目を光らせることは決して難しいことではない。

ただし、黄金時代を知らない若い世代のライオンズファンである場合、清原和博氏の偉大さは知らず、逮捕歴があることだけを知っている場合もあるだろう。このあたりに関しても球場で清原氏の功績をLヴィジョンでプレイバックするなどし、ファンの教育を行っていく必要もあるかも知れない。

だが清原コーチ誕生の機はすでに熟していると思う。渡辺久信GM自身も決して反対派ではないはずだ。となるとあとは西武HDにその気があるかないかというだけの話になるわけだが、今のところは西武球団の関係者で清原氏に対し色良いコメントをしている人は見当たらない。

そのため実現の可能性が高いとは言えないが、しかしライオンズファンの多くは清原コーチの誕生を待ち望んでいる。その声に応え、清原和博という存在をもう一度再生していくのも西武球団の一つの責任とは言えないだろうか。

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THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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