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2024年1月20日公開

4年間低迷している金子侑司選手が輝きを取り戻すことで生まれる相乗効果

現状では若手選手の出場機会を減らしてまで金子侑司選手を起用するメリットはない

金子侑司選手

金子侑司選手は昨季で4年契約を終え、今季は新たに1年契約を結び直した。年俸は減額上限を超える5600万円ダウンの7000万円となり、今季2024年は金子選手にとってまさに正念場のシーズンとなる。もし今季も昨季のような成績に低迷すれば、整理リストに加えられることになるだろう。

そしてそれは当然金子選手も自覚しており、契約更改時には「お金はもういい」とコメントし、2024年は自分らしくまた我武者羅にプレーすることを宣言していた。だが金子選手にとってはそれでも非常に厳しいシーズンとなるだろう。

昨年のライオンズは外野のレギュラーが一人もいなかった。そのためまったく良い結果を残せなかった金子選手でも47試合に出場することができた。だが今季はレフトにはコルデロ選手が入り、ライトには成長著しい蛭間拓哉選手が入ることが予想されている。

そうなると残りのポジションはセンターが一つ残るだけになるのだが、このポジションも怪我からの完全復帰を目指す若林楽人選手を筆頭に、西川愛也選手、長谷川信哉選手、岸潤一郎選手、そして1月に左肘のクリーニング手術を受けた鈴木将平選手らが狙っており、ライオンズの中でもどこよりも競争が熾烈なポジションとなってしまった。

残念ながら現状では、金子選手よりも打てて走ることができる若手選手が多数いるのだ。となると金子選手がよほど安定した打率を残せない限りは、今後は金子選手が優先的に起用される可能性はほぼないに等しいだろう。少なくとも2割少々の打率しか残せなかった場合は、年齢面も踏まえると金子選手を起用するチームとしてのメリットは少ない。

そのため金子選手は、まさに若手選手以上に泥臭く我武者羅に、なおかつ怪我なくプレーしていくことが求められる。それができなければ今季34歳になる選手を、期待の若手たちの出場機会を減らしてまで起用するメリットがないのだ。

過去に路上喫煙している姿を週刊誌に撮られた金子侑司選手

金子選手は二度目の盗塁王を獲得した2019年オフに4年契約を結んだ。だが残念ながら、4年契約を結んだ翌年から成績は急降下していった。さらには2022年には右太腿の肉離れを二度繰り返してしまい、怪我に弱い姿も露呈してしまった。

筆者は野球選手のパーソナルコーチングを行うプロフェッショナルコーチで、これまで多くのプロアマ選手の指導に携わってきた。とは言えもちろん金子選手との接点はほぼないわけだが、もし筆者が金子選手のコーチングを任されることがあったとしたら、まず喫煙をやめさせるだろう。

2024年、このコラムを書いている時点で金子選手が未だに喫煙者なのかは分からない。だが近年、金子選手は路上喫煙している姿を週刊誌に撮られている。プロコーチである筆者からすれば、喫煙なんかしていれば成績が下降して怪我もしやすくなるのは当たり前だ、ということになる。

喫煙の話をすると、「工藤公康投手も喫煙者じゃないか」というようなことを言われるかもしれないが、工藤投手だってもし喫煙していなければ、晩年はもう少し数字を残すこともできたかもしれない。だがそんな過程の話以上に、工藤投手は求められた成績をしっかりと残し続けていた。そのためチームも喫煙に目を瞑らざるを得ない面もあったことは事実だ。

しかし金子選手の場合は4年間でまったく期待された働きをすることができず、しかも成績が低迷していたその4年の間に喫煙している姿を撮られてしまっている。工藤投手のようにやるべきことをしっかりやって喫煙するのと、金子選手のように成績が下降する一方の中で喫煙しているのでは訳が違うのだ。

ちなみに西武ドームという単位で見ていくと、2000年にライオンズで大活躍した故トニー・フェルナンデス選手の要望でベンチ裏から灰皿が撤去されている。メジャーリーガーが日本にやってきてまず驚くのは、ベンチ裏に灰皿が置かれていることだとよく耳にする。

メジャーリーガーは当たり前のように喫煙から距離を置いている訳だが、日本のプロ野球では未だに喫煙者が少なくないというのが現状だ。新人研修でももちろん喫煙が及ぼす害についてはレクチャーされているはずなのだが、それでも喫煙者がいなくならないというのは、全般的に見た場合、それだけ日本人選手の意識がメジャーリーガーと比較すると低いということになるのではないだろうか。

金子侑司選手が輝きを取り戻すことで生まれる相乗効果

さて、金子選手が今背負っている番号は、かつては松井稼頭央監督が背負っていた7番だ。ライオンズの7番と言えば石毛宏典選手、松井稼頭央選手、片岡易之選手と、球界を代表するトッププレイヤーばかりだ。だが残念ながら金子選手は彼らの域にはまったく到達していない。

もちろん盗塁王を二度獲得している実績はこれは本当に素晴らしいのだが、しかし昨季までの11年間でしっかりと活躍したのは3〜4年と、活躍できた実働年数が非常に短い。残念ながら4年と言い切ることもできない程度にとどまってしまっている。ライオンズファンとしてはやはり、松井稼頭央選手や片岡易之選手のように、金子選手にもグラウンドを縦横無尽に駆け回る姿を見せてもらいたかった訳だが、しかし4年契約を結んだ直後から成績が急降下していったことで、選手としての印象はかなり悪くなってしまった。

しかもルーキーイヤーから体づくりに対する高い意識を持っている蛭間拓哉選手と比較をすると、金子選手は喫煙したり、夜飲み歩いたりする姿が週刊誌により撮られており、そういう意味でも野球選手としての印象はかなり悪化したと言っていいだろう。

しかしだからと言って、金子選手はこのまま終わって良い選手ではない。まがいなりにも背番号7を背負っているのだから、せめて今季からでもその背番号に相応しい活躍を再び披露してもらいたい。過去4年はもう過去のこととして、今季は心機一転、単年契約でまた初心に戻ってプレーしてもらいたい。

そして若手がひしめくセンターのレギュラー争いでも、その圧倒的な守備範囲の広さにより頭ひとつ抜け出す存在になってもらいたい。確かに金子選手はもう34歳でベテランの域に入っている訳だが、しかし金子選手には若手にはない経験値があるはずだ。その経験値をアドバンテージとして、文字通り我武者羅にプレーしてセンターのレギュラーを掴み取ってもらいたい。

この金子選手がもう一花咲かせるべく輝きを取り戻せれば、ライオンズのセンター争いはさらに熾烈を極めることとなり、昨季は外野のレギュラーが0人だった事実が俄には信じられなくなるほど、ライオンズの外野布陣は鉄壁を極めることになるだろう。そしてそうなれば投手陣の防御率はさらに向上することになる。そのような相乗効果を生み出すためにも、ライオンズファンは金子侑司選手の復活を今なお心待ちにしているのだ。

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THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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