2024年9月15日公開
昨日は岡田雅利捕手、今日は金子侑司選手の引退試合となった。昨日の岡田捕手は自身の言葉通り背番号2、捕手番号の二、打順二番、そして最後の打席は二塁打とオール2での幕となり、1イニングのみ出場だったものの大いにベルーナドームを沸かせてくれた。
そして今日の金子選手に関しては5打席でヒットこそ出なかったものの、レフト、センター、ライトと外野の全ポジションに就いてファンに別れを告げるという、首脳陣の粋な計らいがあった。金子選手の場合は相手が佐々木朗希投手という不運もあり、その佐々木投手は今日で引退を迎える金子選手に対しても本気で抑えに来ていたように見えた。もちろんそれがプロであるわけだが、しかしもう少しサービス精神があっても良いのでは、と観戦しながら思ってしまったのは果たして筆者だけだったろうか。
ライオンズファンとしては最後の試合で金子選手が盗塁する姿を見たかった。だが佐々木投手は156km/hを計測する豪速球を容赦なく投げ込んできた。しかしせめて初回と5回の先頭打者として金子選手が打席に立った時くらいは、もう少し気を遣ってくれても良いのになぁと思ってしまった。ただ、もちろんCS争いをしているマリーンズとしては負けられない試合が続くため、引退していく選手に対して手加減している場合ではないことは分かる。だがせめて1打席くらいは花を持たせてもらいたかったというのがライオンズファンとしての正直な気持ちだった。
そして今日の試合は、松井稼頭央前監督がベルーナドームを訪れていた。思えば昨年の秋季キャンプと今年の春季キャンプで、松井監督はどの選手よりも多くの時間を費やし、金子選手に対する打撃指導に力を入れていた。かつて自らが背負った背番号7を継承している選手として、松井監督自身も思い入れが強かったのだろうし、そして自らが目指した走る野球を具現化するためにも金子選手の力が必要だったのだろう。
だが残念ながら松井監督は退任となり、金子選手も今季限りで現役を退くことになってしまった。それでも筆者の頭の中には、今季の最初の最初、金子選手がリードオフマンとして機能していた時のライオンズはホークスと首位争いをするほど勝てていたことが今なお色濃く残っている。今年こそは金子選手は復活するのか!と非常に期待を寄せていたのだが、残念ながら金子選手は一軍に定着することはできなかった。
金子選手は怪我さえなければ本当に球史に残る数字をも狙えたと思う。打率は.250〜.260程度でも40盗塁以上、50盗塁以上できる選手だったのだから、仮に打率.280で出塁率が.350程度であったなら、70盗塁だってできていたはずだ。ちなみに松井稼頭央選手のキャリアハイは62盗塁、日本記録保持者の福本豊選手のキャリアハイはシーズン106盗塁だった。ちなみに福本選手が阪急ブレーブス(現オリックスバファローズ)で106盗塁した際は打率.301、出塁率.384だった。
もちろん筆者は福本豊選手の全盛期のプレーを見たことはないわけだが、しかし「がんばれ!タブチくん!」の中で、田淵捕手が福本豊選手を何とか二塁で刺そうと躍起になっている場面をよく覚えている。金子選手には、その時の福本選手のように対戦相手となる捕手を躍起にさせるような選手になって欲しかった。そして怪我さえなければ間違いなくそうなれたと、筆者は今なお信じている。
金子選手、12年間本当におつかれさました。そして数々の素晴らしいプレーを見せてくれて、本当にありがとう!