2021年2月15日公開
ライオンズの今季の戦い方として最も気になる点の一つとして、1番打者が誰になるのかというものがある。最有力として考えれば二度盗塁王に輝いている金子侑司選手となるわけだが、しかし金子選手はシーズンを通して安定したバッティングを見せられたことがまだない。試合の序盤でチームを勢いづける役割を担うには、金子選手の過去の数字はやや心許ない。
金子選手はまずは下位打線という楽なポジションで打席に立ち、そこでバッティングの安定感を高め、盗塁数を伸ばしていくというのが役所としてはベストではないかと思われる。辻発彦監督は昨秋以来金子選手のバッティングに大きな期待を寄せているようだが、しかしこればかりはシーズンが始まってみなければわからない。キャンプで良かったとしても、シーズンでも良いとは限らないからだ。
例えば金子選手が7番に入り、イニングの先頭打者として出塁して盗塁し、8番で送り、一死三塁で9番木村文紀選手に返してもらうというシナリオを描くこともできる。近年のライオンズはクリーンナップを2つ打線に並べる戦術を敷くことが多かったが、1〜3番の流れをもう一つ、7〜9番に置くというのも相手からすれば嫌な打線だ。
バッテリーからすれば7〜9番を迎えた時は少し落ち着きたいと思うわけだが、そこで7番金子選手が出塁して塁上を引っ掻き回せば、仮に8〜9番が倒れたとしてもバッテリーは息を抜けなくなる。そして息切れした状態でまた上位打線を迎えなければならなくなり、2巡目以降を抑えることがますます難しくなっていく。
バッティング面でまだ安定した成績を残したことのない金子選手は、まずはこれくらいのところで楽に打席に立たせてあげた方が良い打率を残せるようになるのではないだろうか。
では誰が1番を打つのかという話になった時、筆者の頭に浮かぶのは外崎修汰選手の名前だ。外崎修汰選手はバッティングでもそこそこ安定した成績を残している。出塁率も.350台を残すことができるし、30盗塁を狙える走力もある。
そして何よりも二遊間、1・2番の両方で源田壮亮選手とコンビを組めるということが大きなプラスになると思う。このコンビが攻守の両方で機能するようになれば、ライオンズの戦い方にもさらなる安定感が生まれてくるだろう。
近年のライオンズの戦い方に安定感はなかった。勝てる時は勝てるのだが、負ける時はあっさりと負けることも多かった。特に昨季あっさり負けていたような試合を、今季は対等な内容で戦えるようになれば、辻監督も優勝までの星勘定を非常にやりやすくなるだろう。
そして今、ライオンズで最もトリプルスリーに近いのは外崎修汰選手だと筆者は考えている。もちろん外崎選手はこれまで一度も3割、30本塁打、30盗塁のどれも記録したことがないわけだが、それぞれそこに近い数字を残したという実績はある。
今季は29歳とまさに脂が乗り切っている年齢であるため、まだ若々しいフィジカルと、30歳を手前にした技術力の高さが噛み合ってくれば、外崎選手が今季トリプルスリーを達成する可能性は決して低くはないだろう。
だがトリプルスリーを達成するためには、打順がコロコロと変わってしまうのはあまり良くない。1番なら1番で固定し、どっしりと腰を据えて打席に立てる環境を首脳陣が作ってあげなければならない。
確かに外崎選手は内外野を守れるユーティリティプレイヤーであるわけだが、バッティングでまで便利屋になる必要はないと思う。そして30歳を手前にした主力打者に対し、バッティングでもユーティリティを求めていくのは少し失礼な気もする。
このような筆者の思いからも、外崎選手にはぜひ今季は不動の1番セカンドとして打線を牽引してもらいたい。そして背番号5の1番セカンドといえば、ライオンズファンにとってはやはり辻発彦選手の存在だ。今季の外崎選手には辻監督を超える二塁手として山賊打線を牽引して行ってもらいたい!