2024年3月 9日公開
横浜DeNAベイスターズvs埼玉西武ライオンズ/オープン戦
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
Lions | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 2 | 9 | 1 |
BayStars | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 | 9 | 2 |
3月9日、横浜で行われたベイスターズとのオープン戦の先発マウンドに登ったのは、開幕投手最有力候補と言われている今井達也投手だった。結果から言うと4回を投げて被安打2、奪三振4、無失点という非常に素晴らしい結果で、この調子ならば首脳陣も安心して今井投手に開幕戦を任せることができる。
今日のピッチングで非常に驚かされたのが、まだ3月上旬だというのに159km/hという球速を幾度も計測したことだ。前回の練習試合では寒さもあってかここまでの球速は出ていなかったと思うのだが、今日のボールを見る限り、もういつ開幕しても今井投手は大丈夫なようだ。
投球内容に関しても何となく無失点に抑えた、というものではなく、走者は出しながらもまったく危なげない安心感のあるピッチングを続けていた。そしてボールを投げている姿を見ていてもどこか風格さえ漂っており、エースの称号を得たとしてもまったく不思議ではないレベルだったと思う。
今井投手のこれまでの課題は何と言っても安定感だった。調子が良い時は手が付けられないような凄みのあるピッチングを見せるのだが、一転調子が落ちてくるとやや力任せに投げてしまうせいか、自滅してしまうことも少なくなかった。だがこの好不調の波さえ小さくしていければ、今井投手は間違いなくエースとして役割を果たすことができるだろう。
さて、打者の方で注目したいのは今季スワローズから移籍してきた新戦力、元山飛優選手だ。元山選手の本職は遊撃手なのだが、源田壮亮主将とポジションが被ることから遊撃手としてレギュラー出場することはやや難しい。また、二塁に関しても外崎修汰選手がいるためこのポジションも簡単ではない。
だが元山選手はここまでバッティングで非常に素晴らしいアピールを続けている。先日の練習試合でもホームランを放っているし、この試合でも七番としてスタメンに名を連ね、4打数2安打と結果を出し続けている。このバッティングを生かすためにも元山選手は現在、初体験となる一塁の守備や外野にも挑戦していると言う。
とは言えファーストミットはまだ作っていないようで、阿部真宏コーチのミットを借りて練習しているらしい。だが一塁や外野を守らなくても、もしかしたら一気に三塁のポジションを奪取する可能性さえ今は見せている。
三塁のレギュラー候補としては佐藤龍世選手がいるわけだが、佐藤選手の状態次第では、元山選手が開幕サードに就く可能性もあるだろう。その可能性が高くなってきているほど、現在元山選手のバッティングの状態は良いと言える。
元山選手が開幕してもチームの勝利に貢献し、なおかつ宮川哲投手がスワローズで活躍してくれれば、このトレードはまさに大成功だったと言えるようになるだろう。そう言われるようになるためにも、元山選手と宮川投手には引き続き新天地で頑張ってもらいたい。
さて、好調な選手がいる反面やや心配なのがフランチー・コルデロ選手だ。コルデロ選手はまだ日本人投手の攻め方に慣れていないようで、この試合でも3打数3三振に終わっている。
先日の試合では守備でもやや拙いプレーを見せているため、その守備力に目を瞑るためにももう少し打ってもらわなければ困るところだ。だが日本人投手の攻め方にアジャストしていけるのも時間の問題と言えるだろう。その理由はヘスス・アギラー選手がすでに日本人投手に慣れ始めており、この試合でも3打数2安打としっかり結果を残しているからだ。
当然コルデロ選手に対してはアギラー選手からもアドバイスが入っているはずだ。ここまでしっかりと結果を出している年長者アギラー選手がアドバイスすることで、コルデロ選手もここから徐々に調子を上げていくことが予想される。
この試合に関しては確かに3打数3三振に終わっているが、ブンブン丸の特徴はアメリカ時代から変わってはいない。アメリカ時代も的が外れると簡単に三振してしまうことが多かったため、まったく未知の投手たちとの対戦が続いている現状で三振が多くなるというのは、首脳陣としても想定内であるはずだ。
とにかくコルデロ選手は当たった時の飛距離が半端ではない。そういう意味ではやはり一番〜三番でチャンスメイクをして四番アギラー選手を迎え、アギラー選手が走者を還してなお塁状に残った状態でコルデロ選手の破壊力に期待するというパターンが良さそうには見える。
この試合では三番コルデロ選手、四番アギラー選手、五番ブランドン選手という並びだったわけだが、やはり三番を任せる打者にはもう少し高い出塁率を期待したいところだ。
そういう意味ではもし元山選手が三番を打つ程度になってくれば、一番源田主将(左)、二番右打者、三番元山選手(左)、四番アギラー選手(右)、五番コルデロ選手(左)、六番右打者というジグザグ打線を組めるようになる。ジグザグ打線というのは実は言葉以上に投手からすると嫌なものなのだ。
打者が常に左右入れ替わっていくことにより、投手はなかなか投げ慣れていくことができない。例えば逆に右打者がずっと続いてくると、投手はその試合中に右打者への内角に投げ慣れていく。そうなるとピッチングの幅も広がりやすくなり、好投する可能性も高くなる。
投手に内角を投げ慣れさせないためにもジグザグ打線というのは実は効果的なのだ。そういう考え方もあり首脳陣も左打ちのコルデロ選手を三番に入れたいという気持ちも強いのかもしれないが、しかし三番打者に求めたいのは長打力よりも出塁率だ。長打力に関してはホームランよりも二塁打三塁打が多い選手が望ましい。
このように考えていくと、元山選手の状態次第では元山選手が三番サードとして開幕を迎える可能性もないとは言えないだろう。そしてその可能性を感じさせてくれるだけでも、このトレードは成功だったと言い切ることができるのではないだろうか。