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2024年6月15日公開

DeNAの36分の1本のホームラン数だった今日のライオンズのスタメンオーダー

埼玉西武ライオンズ vs 横浜DeNAベイスターズ/2回戦 ベルーナドーム
1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
BayStars 0 1 1 0 1 0 1 0 0 4 12 0
Lions 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 7 2

継投●髙橋光成佐藤隼輔中村祐太松本航豆田泰志
敗戦投手髙橋光成 0勝7敗0S 4.32
失策陽川尚将(1)鈴木将平(1)

ポスティング市場での価値がもうほとんどない髙橋光成投手

埼玉西武ライオンズ

もう配球だの制球だのという話ではないのではないだろうか。今日も髙橋光成投手は6回持たずに3失点KOとなった。ここまで勝てない投手にポスティング市場での価値はほぼない。そのため仮に今オフのポスティングが実現したとしても、まともな金額で入札する球団は皆無だと思われる。

昨季9勝9敗だった上沢直之投手でさえも、ファイターズに支払われた移籍金はわずかに95万円という、普通のサラリーマンでも支払えるような金額だった。これがこのクラスの投手の現実であり、ましてや今季0勝7敗の髙橋光成投手に大金を支払うメジャー球団など間違いなく現れないだろう。

チームがこのような状況である以上功労者とは言え、ライオンズを去ると明言しているのだからやはり髙橋投手でさえもトレード要員にして強打者を獲得すべきだ。もちろん2〜3試合調子が悪いことは誰にでもある。そのため2〜3試合結果が伴わなかったくらいであれこれ言うべきではないだろう。しかし今季の髙橋投手は9試合に投げて0勝7敗なのだ。これはもう一時的不調という言葉で片付けられる問題ではない。

球速を上げて圧倒的な力で打者を抑えにいくと宣言していた割には、今日の登板でも早々に2回の表に、今季ここまで0本塁打だった山本捕手にホームランを打たれている。牧選手や筒香選手に打たれるのならまだ納得もいくが、山本捕手は49試合に出場して打率.311ながらも、長打率は.364と低い。このような打者にヒットではなく、ホームランを打たれてしまっているのだから今季の髙橋投手のボールに力がないことは明らかだ。

公式データが公開されているわけではないため正確なことは言えないのだが、今季の髙橋投手のボールは初速と終速の差が大きいのではないだろうか。これはつまりストレートに伸びがないことを示すデータであり、初速と終速の差は5km未満が望ましい。

例えばかつてメジャーでロケットの異名を取ったロジャー・クレメンス投手は160km/h以上のストレートや、150km/hを超えるスプリッターを投げることができた。だが調子が悪い日はストレートの終速が140km/h台後半まで落ちることもあり、初速と終速の差が10km/h程度なった日には打ち込まれることも珍しくなかった。

髙橋投手の実力はメジャーで354勝を挙げたクレメンス投手の足元にも及ばない程度だ。にも関わらず今季のようなピッチングをしていては、かつての中島裕之選手のようにメジャー昇格のチャンスさえも得ることはできないだろう。

とにかく髙橋投手にしろ平良投手にしろ、今季の状態ではポスティング市場での価値はほとんどない。ポスティングでそれなりの移籍金を得られないのであれば、やはり西武球団もここはビジネスライクに考えて勝つことを優先し、この二人を放出してでも軸を任せられる強打者を獲得すべきだ。

もしそうしなければこの二人をポスティングにかけても上沢直之投手の二の舞になってしまい、西武球団はなんの得もすることなく、ただこの二人を失うだけですべてが終わってしまうことになる。そうなってはただ単に戦力ダウンするだけでさらなるチームの弱体化を招いてしまうため、まだトレードに出す価値がある今のうちに好条件でのトレードの実現させるべきだろう。

チーム本塁打数の合計がわずかに1本だった今日のライオンズのスタメン

さて、今日のライオンズ打線に関してはいつも以上に迫力がなかった。今日のライオンズの先発オーダーのホームラン数を見ると、1本塁打の長谷川信哉選手がトップで、他の選手は8人全員が0本塁打だった。一方ベイスターズの先発オーダーは合計36本塁打で、実にライオンズの36倍のホームラン数だった。

こう言っては失礼だが、山野辺翔選手、児玉亮涼選手、奥村光一選手、源田壮亮主将がオーダーに並んでいても相手投手からするとまったく怖さがない。なぜならホームランを打たれるリスクがなければ、打者としてのいやらしさもそれほどないからだ。

もちろん渡辺久信監督代行は彼らの元気がライオンズ打線に活路を見出してくれることを期待しているのだと思うが、しかしそれは期待するに資する起用法ではないと思う。

さらには捕手としては有能な柘植世那捕手も、バッティングに関してはここまで.053であるため、中長期的に見て打てない打者が先発オーダーに5人も入っていては点など取れるはずもない。

長打がまったく期待できない打者をオーダーに5人も入れるのならば、相手投手からすればフランチー・コルデロ選手1人いる方が圧倒的に怖い。確かにコルデロ選手の率も低いわけだが、しかし当たればどこまででも飛んでいくパワーを秘めている。そのため走者を背負った場面では投手の手元も狂いやすい。

さらに言えば年俸数百万円〜数千万円という格安年俸の小兵を起用するよりも、費用対効果を考えれば年俸1億円のコルデロ選手を起用すべきだとも思う。さすがに先発オーダーのチーム本塁打数が1本というのは考えられない数字だ。この数字が許されるのはせいぜい開幕カードまでだ。

相手投手が伸び伸びと投げられるほど長打の怖さがまったくないライオンズ打線

さて、昨日3安打放った鈴木将平選手の打順を、やはり今日は二番から三番に変えてきた。これはやめるべきだと筆者は昨日書いたわけだが、昨日猛打賞の鈴木選手も、今日は案の定4打数0安打だった。やはり二番で結果を出したのなら、当面は二番として役割を安定させるべきなのだ。

ライオンズは基本的には打撃コーチが先発オーダー案をヘッドコーチに出し、それを平石ヘッドコーチが監督に上げていくというシステムになっているようだ。そのため基本的オーダーは打撃コーチが作成しているわけだが、このあたりのやり方もやはり一度変えてみるべきではないだろうか。

投手出身の渡辺監督代行が、投手目線で投手が嫌がるオーダーを考えて行った方が現状では上手くいきそうな気もする。これは今日のオーダーを見た時点で確信したわけだが、一般的にはホームランを期待できない小兵が4人、さらには打てない捕手が1人オーダーに入っている打線にはまったく恐怖感がない。

こう言っては本当に失礼になるわけだが、山野辺選手、児玉選手、奥村選手、さらには滝澤夏央選手は、現状のレベルでは全員が守備固めや代走要員レベルであり、レギュラーを目指せるレベルの打力はない。そのためベイスターズの今日の先発、東投手もいつも以上に伸び伸びと投げているように見えた。

投手心理としては、怖さのない打線に対してはどんどん攻めのピッチングをしていくことができるのだ。例えば「内角が少し甘く入ってもホームランになることはないだろう」と思えると、投手は思い切って内角に投げられるようになるし、同時に長打の怖さにより手元が狂うことも少なくなる。要する失投が減るということだ。

最近ライオンズ打線と対戦している相手チームの先発投手たちを見ると、多くの投手がどんどん攻めてくるピッチングを見せてきている。これはひとえにライオンズ打線にまったく恐怖感がないためだ。

相手投手に多少でも長打の恐怖感を与えるためにも、やはり率は低くてもコルデロ選手はオーダーに入れるべきなのだ。もしくはどうせ打てないにしてもホームランを打てる渡部健人選手あたりをオーダーに入れるべきなのだ。率が低くてもホームランがあると思うだけで投手の手元は狂いやすくなる。それが投手心理であるわけだが、渡辺監督代行もそのあたりを考慮に入れながらオーダーを組むべきではないだろうか。

どうもライオンズがトンネルを抜けるためにはもう少し時間がかかりそうだ。しかしその時間を短くするためには小兵タイプの選手を数多く起用していてはダメだ。相手投手を多少なりともビビらせられる威圧感のある打者をオーダーに入れていかなければ、相手投手の失投を招くこともできない。だからこそ筆者はまだ率は低いとは言え、コルデロ選手を起用すべきだと書き続けているのだ。

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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