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2021年4月 3日公開

2021年04月03日(土) ホークスvsライオンズ2回戦ゲームレビュー

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1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
西武 3 0 1 0 1 0 2 0 0 7 8 0
ソフトバンク 1 0 0 0 0 0 0 0 3 4 7 0

【継投】
浜屋将太〜佐野泰雄〜ギャレット〜宮川哲〜井上広輝〜S増田達至

観衆:9,880人、試合時間:3時間33分

柳田選手のフォームを完全に壊した浜屋将太投手のストレート

宿敵ホークスとの今季2戦目、先発マウンドに登ったのは2年目のサウスポー浜屋将太投手だった。初回、リズムも何もないままいきなり先頭打者の川島選手にホームランを浴びてしまうのだが、2番今宮選手にも続けてあわやホームランというフェンスギリギリのライトフライを打たれたことで、目が覚めたように見えた。

結果的には5イニングスで99球を投げ被安打3、奪三振6、四球3、失点1という内容で、十分合格点を挙げられる内容だったと思う。本来であれば先発として最低でもあと1イニングは投げる必要があったが、昨日髙橋光成投手の好投のおかげでブルペンを休ませることができ、5回を終えた段階で1-5とリードが広がっていたこともあり、辻発彦監督も早めの継投策を敷いてきた。

さて、話を浜屋投手に戻すと、先週と今日の登板で最も大きな変化が見えたのがストレートの使い方だった。浜屋投手は球速がそれほど速いわけではないため、どうしても変化球に頼りがちになるという傾向がある。だがやはりピッチングの基本はストレートであり、質の良いストレートを投げられる状態でなければ、変化球の質を上げることもできない。

前回の登板では変化球でかわすようなピッチングがまだ多かったのだが、それをこの一週間でしっかりと見直してきたのだろう。今日は145kmを超えるストレートをどんどん投げ込んでいた。

特にしびれたのは柳田選手との1〜2打席目での対決だった。まずホームランと大飛球を打たれた直後の初回、ストレートを挟みながら上手く変化球を見せていき、5球目はアウトハイに146kmのストレートを投げ込んだ。すると完全に変化球待ちだった柳田選手は完全に振り遅れたスウィングで空振り三振に倒れた。

3回裏の対決は、浜屋投手が先頭打者を四球で歩かせながらも牽制で刺したのだが、続く打者にも四球を出してしまい一死一塁という状況で柳田選手を打席に迎えた。この打席では徹底したアウトロー攻めで、スライダーとストレートで3-2というフルカウントになった。そして6球目に浜屋投手が投じたのはアウトローいっぱいの143kmのストレートだった。ここもはやり柳田選手は変化球を待っていたようだ。1打席目同様に完全に振り遅れての空振り三振となった。

2打席連続で同じような形で空振り三振をしてしまった悔しさからだったのだろう、柳田選手はダグアウトに戻るとバッティンググローブを叩きつける仕草を見せた。完全に冷静さを失っている。柳田選手を長期間封じ込めておくためには、この後の土日の攻め方が非常に重要だ。これだけ冷静さを欠き打ちたがっているのだから、もう柳田選手に対し絶対にストライクを投げては行けない。

とにかくボールが続いて四球になっても良いという意識で投げていく必要がある。今、柳田選手はとにかく打ち気に逸っているため、好調時には手を出さないようなボールにも手を出してくるはずだ。このような状態の時は、とにかく普段手を出さないようなところを振らせて、バッティングフォームを徹底的に壊していくことが重要だ。

この土日は柳田選手にストライクはいらない!

この土日を使って柳田選手のフォームをじっくりと壊すことができれば、当分柳田選手の状態が上がってくることはないはずだ。そして柳田選手がなかなか打てないという状態が続けば、ホークスの勝利もますます遠ざかっていくことになる。そのような状況に持っていけるように、ライオンズとしてはこの土日は、とにかく四球を出したとしても普段柳田選手が手を出さないところに投げ続けることが重要だ。かと言って完全なボール球では意味がないため、ストライクとコールしてもらえたらラッキー、というあたりを狙っていく必要がある。

浜屋投手が柳田選手のフォームを崩した影響は、6回からすぐに見られるようになった。6回は佐野泰雄投手がマウンドに登り、1〜4球目は浜屋投手同様にアウトローを丁寧に狙っていった。4球目こそやや甘くなってしまったのだが、冷静さを失っている柳田選手はこのわずかに甘かった141kmのストレートをファールにしてしまう。いつもの柳田選手であればホームランを打っていたとしても不思議ではないような、外角真ん中の高さのボールだった。

5〜7球目に関しては、森友哉捕手も受けていて、柳田選手の目付けが完全にアウトローに行っていると感じたのだろう、一点インハイ攻めを続けてきた。3球目以降はすべてストレートを選択したのだが、柳田選手が140kmそこそこのストレートにまったく対応することができず、最後はインハイやや中寄りの145kmのストレートにバットが空を切ってしまう。柳田選手の3打席連続空振り三振は、西武戦でしか柳田選手を見ない筆者の記憶にはあまり残っていないのだが、実際のところはどうなのだろうか。

明日の予告先発は平井克典投手になるわけだが、平井投手も柳田選手に対しては全打席四球でも良いくらいの気持ちで投げるべきだ。そうすれば冷静さを欠いている柳田選手が勝手にボール球に手を出してくれるようになり、ますますフォームを崩していくことができる。

そして一度崩れたフォームを好調時のフォームに戻すことは容易ではない。映像分析がいくらハイテク化されてきたとは言え、その差を一瞬で修正できるほど生身の人間のフォームは単純ではない。

状態が上がっていなかった柳田選手のフォームをさらに壊したという意味で、今日の浜屋投手のピッチングはチームにとって本当に大きなプラスをもたらす内容だったと思う。5回1失点という数字的な内容よりも、柳田選手のフォームを狂わせたという結果が何よりの収穫だ。そして浜屋投手は柳田選手から2打席連続空振り三振を奪ったことを自信にし、今後はもう少し勝負球で「ストレート選択」を増やしていっても良いと思う。そうして少しずつ進化して行けば、将来的にはこの若きサウスポーが背番号47番を背負う日が、いつかやってくるかもしれない。

配球の意図を徹底しきれなかった若き井上広輝投手

さて、五番手として最終回のマウンドに登ったのは井上広輝投手だった。しかし残念ながら井上投手は、ここまで上述してきたような柳田選手に対する攻め方を徹底することができなかった。1〜4球目までは良かったと思う。この4球でカウントを3-1としてしまうのだが、ここで経験値の浅い井上投手は四球を嫌がったのだろうか、森捕手が構えたミットとは随分と違うアウトハイの甘いコースにストレートを投げてしまった。149kmと力はあったものの、いくら不調とはいえ、それだけで抑えられるほど柳田選手のスウィングは甘くはない。

経験がまだ浅い井上投手だっただけに、ここは森捕手がもう少し配球の意図を徹底させても良かったのかなと見ていて思った。ただし森捕手の配球は良かったと思う。最後のこの打席、柳田選手はその149kmのストレートをスタンドインさせていくのだが、井上投手がボールをストライクゾーン側にずらしてしまうのではなく、ボールゾーン側にずらせていれば、柳田選手に復調のきっかけを与えることはなかっただろう。

だが井上投手はなかなか良いピッチャーだと思う。ダイナミックでしなやかなピッチングフォームは、まさに渡辺久信投手を彷彿させる。今日は最終回に登板して3点を失ってしまったが、将来的にはこのピッチャーはきっとローテーションに食い込んでくるはずだ。

呉念庭選手、猛打賞&5打点の大暴れ!

さて、一方の打撃陣の方では呉念庭選手の活躍が目覚ましい。今日の試合では4打数3安打5打点という大暴れで、山川穂高選手の不在がまったく感じられない。明日以降、死球を受けた患部の状態次第では、外崎修汰選手の代わりに5番に上がる可能性もあるのではないだろうか。

呉選手は数年前に一度レギュラーを取り掛けた時期もあったのだが、しかしその時は残念ながらチャンスを活かすことができなかった。だが今季は違う。まず数年前と比べると今季はよくバットを振れている。バットをしっかりと振り抜いているために、ジャストミートしていなくても打球が内野手の頭を超えていく。このあたりの振り方に関しては、若林選手や岸選手に今最も足りていない部分だと言えるだろう。

呉選手には今後も目先の結果に一喜一憂することなく、とにかくしっかりと自分のスウィングをし続けることで好調を維持してもらいたい。ここに来て外崎選手の死球もあり、主力に怪我人が続出しているライオンズだが、これをチャンスだと目の色を変えて、まだレギュラーになり切れていない選手たちには一気にレギュラーを掴みに行って欲しい!

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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