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2024年8月17日公開

前回4安打を放った時よりも明らかに打撃の質が良くなって来ている源田壮亮主将

東北楽天ゴールデンイーグルス vs 埼玉西武ライオンズ/19回戦 楽天モバイルパーク
1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
Lions 3 8 0 0 0 0 0 0 0 11 16 0
Eagles 1 2 1 0 0 0 0 0 0 4 8 1

継投○今井達也佐藤隼輔平良海馬ボー・タカハシ
勝利投手今井達也 5勝8敗0S 2.62

前回4安打を放った時よりも打撃の質が良くなっている源田壮亮主将

4安打を放った源田壮亮主将

今日はイーグルス古謝投手の乱調にも助けられ、ライオンズは初回から本当に良い攻撃ができたと思う。初回・2回からこれだけ点を取れれば、渡辺久信監督代行がニンマリ顔を見せるのも当然だ。

イーグルスの古謝投手は現在4勝5敗で、新人王争いで武内夏暉投手を追う立場にある。先月はホークスを相手に6回無失点と素晴らしいピッチングを見せていたため、武内投手の強力なライバルになるのかなとも思われたが、残念ながら状態は今かなり落ちて来ているようだ。

先週はホークス相手に5回6失点、今日はライオンズ相手に1回0/3で7失点ということになると、恐らくはしばらく一軍での出番はなくなるのではないだろうか。このようにライオンズとしては今日は相手投手の乱調にも助けられたわけだが、しかしそれ以上に今日は打線がよくバットを振れているように見えた。

筆者は少し前に源田壮亮主将について、バットを振り抜くことがなくほとんどが当てるだけのバッティングで、その結果弱い打球しか打てなくなっていると書いたわけだが、ここ1〜2週間だろうか、源田主将のスウィングを観察しているとしっかりと振り抜くことが増えて来ているように見える。

もちろんどんな打者でもタイミングを崩されれば当てるだけのバッティングになってしまうわけだが、源田主将の場合はタイミングが合っていても当てるだけのバッティングで、ショートの頭を越す程度の打球を打ちに行くことが多かった。そして当てるだけということもあり、ヒットにならなかった時の凡打の質が非常に低かったのだ。

だが最近はバットを最後まで振り抜くことが増えて来たせいか、凡打の質が良くなっている。それが今日の今季二度目の1試合4安打という成績に繋がったのではないだろうか。ちなみに前回4安打を打った頃というのはバットを振り抜いていないことがまだ多い頃で、その時は4安打を打っても、その好調を持続させることができなかった。

しかし今日の4安打はその時の4安打の内容とは違う。しっかりとバットを振っての4安打であるため、今回の好調は少し長持ちさせることができるのではないだろうか。今日の試合を終えての源田主将の打率は.268と、.270目前となっているわけだが、来週はホームでの6連戦ということを考えると、来週中には打率を.270台に乗せてくるのではないだろうか。

そして源田主将はやはり一番よりも、二番という打順の方が合っているように見えるし、源田主将本人も慣れ親しんだ打順で伸び伸びプレーできているようにも見える。そう考えるといくら源田主将の状態が上がって来たとしても、その良い状態を崩さないためにも二番という打順は今季はもう変えるべきではないのかもしれない。

前回大勝した時はその次の試合からまったく勝てなくなったライオンズ

今日のライオンズは今季最多の16安打を放ち、実に7年振りの先発全員安打&全員得点だったらしい。そしてその16安打中3安打が二塁打で、残りの13本はすべて単打だった。この姿はまるで大昔(1960年代)の近鉄バファローズ打線の愛称であったピストル打線のようだ。

本音を言えば90年代終盤のベイスターズのようなマシンガン打線への進化を期待したいわけだが、当時のベイスターズはチーム打率.294という驚異的な数字を残している。つまり当時のベイスターズのチーム打率は、今季のライオンズの誰よりも高い打率だったというわけだ。ちなみに今ライオンズで最も打率が高いのは.268の源田主将となっている。

いくら相手投手の調子が悪かったとは言え、16安打放ったというのはチームとしては大きな自信にして良いのではないだろうか。だがライオンズは同じ過ちを繰り返してはいけない。今季ライオンズはまだ好調だった開幕直後、4月7日に1-11と大勝をしているわけだが、その大勝した次の試合からまったく勝てなくなっていった。

野球界ではどの時代でも「勝って兜の緒を締めよ」と言われるわけだが、松井稼頭央監督下でそれがなされなかったのが4月7日だったのだと思う。だが果たして今回はどうだろうか。渡辺監督代行、もしくは他のコーチが大勝したこの日にしっかりと選手を引き締め直すことはできているだろうか。

もし今日の試合後に兜の緒を締め直すことができていなければ、ライオンズは明日からまた連敗モードに突入していくだろう。だが大勝したこの時にチームを引き締め直すことに成功していた場合、明日から連勝モードに入っていく可能性も高い。今日の大勝が吉と出るか凶と出るかは、明日の選手たちの姿を見れば分かるだろう。

とにかく一番やってはいけないことは大勝したことで自分たちの実力を見誤ってしまうことだ。これが例えば状態の良い日のベテラン岸孝之投手の先発試合で16点取ったというのであれば間違いなく実力だと言える。しかし今日は状態がかなり落ちて来ているルーキー古謝投手が相手だったことから、今日の大勝を実力だと過信することはまだ許されない。

明日は武内投手が先発するため、これまでの傾向からすると勝てる可能性は非常に高い。しかし勝つためには打線がしっかりと援護してあげる必要がある。そしてその打線が今日の大勝後にも謙虚さを失わず、明日も挑戦者のつもりで戦っていけば、6月29日以来の連勝も夢ではないはずだ。

打線の援護でようやく6月28日以来の5勝目が付いた今井達也投手

そして今日先発したのは開幕投手を務めた今井達也投手であるわけだが、6回4失点というQS未満のピッチング内容ながらも、6月28日以来の勝ち星を挙げることができた。これでようやく今井投手の数字は5勝8敗となった。

本当であれば今井投手は今頃は最低でも8勝5敗、期待値としてはそろそろ二桁に届いていなければならない投手だ。しかし今井投手が安定していたのは開幕直後の序盤だけで、気温の上昇とは反比例して今井投手の状態はどんどん下がっていった。

今季は確かに味方打線の援護に恵まれずに勝ち星を拾えなかった試合もあった。そう考えると今日は今井投手が不安定なピッチングをしていても、打線が今井投手の不調をカヴァーしてくれた。投手と打線はこのように持ちつ持たれつであるわけだが、打線のおかげとは言えこの5勝目というのは、今井投手の肩の荷を少し減らし、また状態を上げていくための良いきっかけになっていくのではないだろうか。

ちなみにここ数試合の今井投手のイーグルス戦の登板を見ていると、もうイーグルスキラーの姿はほとんど見られなくなった。これがイーグルスの今井対策が上手くいってのことなのか、それとも単純に今井投手自身の調子が悪かったことが原因なのかは今はまだ分からないが、どちらにしても今井投手には今日の1勝を復調のきっかけにしてもらいたい。

やはり開幕投手が5勝8敗という数字なのはあまりにも寂しい。二桁勝利を挙げるためにはまだ5勝しなければならないわけだが、今井投手には残り登板試合のすべてで勝ち投手になり、最終的には10勝は通過点だったと思えるようなピッチングを続けていってもらいたい。

当然だがエースにいつまでも勝ち星が付かない状態ではチームも波に乗っていくことはなかなかできない。今日は打線によって勝たせてもらった今井投手ではあるが、次週ではチームを波に乗せていけるような無双状態のピッチングをまた見せてもらいたい。そして今井投手には奪三振のタイトルを目指す以上に、その前にチームの勝利を優先させたピッチングを見せてもらいたい。

奪三振能力の高さは非常に大きな武器になるわけだが、しかしいくらたくさん三振を奪ってもそれがチームの勝利に直結するわけではない。チームを勝利に導くためにはいかにして走者、特に先頭打者を打ち取れるかというのが最も重要なポイントだ。

例えば極端話、先頭打者から3連続四球を出して4人目に満塁ホームランを打たれ、その後で三者連続三振を奪っても、その連続三振にはほとんど価値はない。もちろんこれはかなり極端な例であるわけだが、とにかく今井投手にはその手の投手になるのではなく、できれば奪三振のタイトルよりも最多勝を目指して頑張ってもらいたい。今年の最多勝はもうかなり難しい状況ではあるが、来年はぜひハーラーダービーのトップグループから外れることなく一年間ローテーションを守り続けるピッチングを見せてもらいたい。

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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