2023年12月25日公開
すでに報道されている通り、山川穂高選手は4年12億、4年16億とも言われる金額で福岡ソフトバンクホークスに移籍した。だが西武球団としてはこの移籍は願ったり叶ったりという結果だったと言える。
まずライオンズ内において山川選手は無期限公式戦出場停止処分中で、この処分がいつ解除されるかはまったくの未定状態だった。つまり来シーズンが始まっても処分が解除される保証はまったくなかったということだ。
ちなみに今季の山川選手の年俸は2億7000万円だった。西武球団はこの金額を支払ったにも関わらず、山川選手はほとんど試合には出られず、西武球団は山川グッズを販売することさえできなかった。
つまり西武球団は2億7000万円を支出しながら、山川選手からは一切のリターンを得られなかったことになる。これはビジネス面における費用対効果としては最悪の不良債権だったと言えるだろう。
この山川選手に対し西武球団は今オフ、年俸約半減で1年契約を提示していた。これだけ大きな不祥事を引き起こしたのだから、山川選手は契約してもらえるだけでもありがたいと考えるべきではなかっただろうか。
しかし山川選手は西武球団に対する不義理を終始貫き通した。
新潮社が山川選手が加害者となった相手、つまり性暴行の被害者女性の弁護士と話をしたようだ。その結果今後の民事訴訟に関しては現在弁護士と被害者女性の間で協議中とのことらしい。
刑事処分が下される以前は、被害者女性の弁護士は不起訴になっても検察審査会に申し立てをし、民事訴訟を起こしていくと話していた。だがそれに関しては上述の通り現在は協議中であるようだ。
一部報道では被害者女性が求めた示談金は1億円とも言われていたが、これに関しては事実ではないと被害者側の弁護士が明言している。だが山川選手の収入を考えれば、同様のケースで一般人が提示される示談金の額よりは、はるかに高額提示となっていることは間違いないだろう。
そしてここまで報道されている事件の事実面を改めてまとめておくと、まず山川選手と被害者女性は事件が起こる以前、二度ほど札幌遠征時にグループでお酒を飲んだことがあったらしい。だがなぜ札幌遠征時での飲み会で知り合い、なぜ事件が起こったのが東京だったのかは不明だ。
そして2022年11月2日、つまりライオンズが4位という成績でシーズンを終えた直後に、西麻布の焼肉店で初めて二人きりで食事をし、山川選手は明確な形で不倫を実行に移した。その後山川選手は人目につかないように焼肉店を出てホテルに入って行き、被害者女性に部屋の番号を知らせたと言う。
ちなみにそのホテルというのは、バーと部屋が一緒になっているような個室バー的なホテルであるようで、一部のプロ野球選手がよく利用していると報じられている。
つまりこのホテルというのが、初めて行く人にとってはこれがホテルなのか、個室バーなのかがよく分からないということらしい。そして山川選手は「飲み直そう」と行って被害者女性をこのホテルに誘い込んでいる。そう、あくまでも飲み直すために誘っているのだ。
被害者女性からすると、あくまでも「飲み直す」ために山川選手に指定された場所へ行ったという。だが山川選手側からすると、「ホテルに来たということが性行為に同意したということだ」と主張しているようだ。この時点で双方の主張がまったく食い違うことになる。
そして被害者女性がこの個室に入っていくと、すでに報道されているように、山川選手によって性的玩具を無理矢理膣に押し込められて出血する怪我を負わされた。
ちなみに日本の法律では現在、「ホテルに行く=性行為に同意した」「拒否しなかった=性行為に同意した」という主張は通らないようになっている。最近では性行為に対する同意の有無を明確な形で記録できる、弁護士によって開発されたアプリも存在しているほどだ。
この一連の出来事に対する山川選手のスタンスは、「事件をでっち上げられた」というもので一貫していると伝えられている。つまり山川選手は被害者女性に出血するほどの怪我を負わせておきながら、自分自身が被害者だと考えているようだ。そのためこれまで山川選手は、被害者女性に対する謝罪の言葉や誠意は一切見せていない。
福岡ソフトバンクホークスも、山川夫人も山川選手のことを許しているしこれ以上罪を問うことはないと伝えられている。だがこれらは今回の事件ではまったく関係のないことだ。彼らが許している、罪を問うていないからと言って問題が解決したわけではない。重要なのは、傷を負わされた被害者女性が山川選手を許すか否かだ。
ちなみに山川選手はFA宣言をした際、いわゆる「怪文書」を合わせて公開した。山川選手によれば、FA宣言をして他球団の評価を聞くことが今回の事件の戒めとなるらしい。この文書により山川選手がいかに事態をトンチンカンに考えているかがよく分かる。
なお西武球団の職員は「相談をしてくれれば添削をしたし、山川選手には相談して欲しかった」と語っている。当然西武球団には広報部があるため、このような文章やコメントの添削を行い、イメージの悪化を防ぐことができるプロフェッショナルが在籍している。
もし山川選手が頭を下げて「添削をお願いします」とでも一言添えていれば、このFA宣言によって事態が悪化することは少なくとも避けられただろう。そもそもこの怪文書を、山川夫人は公開前に読んだことがあったのだろうか?もし読んでいたのだとすれば、最低限の一般常識と言語力があれば「この文章はおかしい」と考えたはずだ。となると、山川夫人が目にすることなく、この怪文書は山川選手の独断で公開されたと考えるべきかもしれない。
それにしても筆者は腑に落ちない。安樂智大投手はパワハラによってあっという間に解雇されてしまった。だが山川選手はこれだけ大きな事件を起こしながらも西武球団から来季の契約提示を受けており、なおかつソフトバンク球団からは少なくとも4年12億円という契約を得ている。
これは筆者の目には不公平としか映らない。本来このような処分は各球団ではなく、MLBのようにコミッショナーの裁定によって行われるべきだ。だが昨年の12月から着任している榊󠄀原定征コミッショナーの言葉は、野球ファンにはほとんど届いてこない。果たしてコミッショナーの役割とは何なのだろうか?
とにかく今後起こる可能性があることと言えば、検察審査会への申し立て、もしくは民事訴訟ということになる。そしてもし民事訴訟になれば、これは刑事訴訟以上に長引くことが考えられ、まさに泥沼化する可能性も出てくるだろう。
だがソフトバンク球団はその可能性を踏まえながらも、山川選手に大金を支払った。ソフトバンク球団からすると「活躍してくれればいい」という考えなのだろうが、今後山川選手はライオンズファンにもホークスファンにも、他球団のファンにもブーイングされ続けることになる。果たして得点圏打率が非常に低い山川選手が、そのような常時極端なアウェイ状態の中で好成績など残せるだろうか?
しかしライオンズにとっては山川選手が去ってくれたことは本当に良かったと思う。おかげで今オフはドラフト、外国人選手、トレードなども含め、ほぼ満点に近い補強を行うことができた。
あとはしっかり整ったこの戦力を用いて、松井稼頭央監督の指揮のもと日本一になるだけだ。ホークス入団会見時にも、被害者女性に対する謝罪の言葉を一切残さなかった山川選手にはもう優勝を味わわせるわけにはいかない。ホークスの常勝時代はもう終焉を迎え、来季からはいよいよまたライオンズが覇権を得ることになるだろう。