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2024年10月10日公開

コーチの現役時代の成績を見ながら話す者もいるライオンズの若手野手陣

6人が解任され、コーチ陣の大幅刷新を図る新生西口ライオンズ

6人が解任され、コーチ陣の大幅刷新を図る新生西口ライオンズ

西武球団から今日、来季契約を結ばない6人のコーチの名前がアナウンスされた。その6人とは平石洋介一軍ヘッドコーチ、嶋重宣一軍打撃コーチ、高山久一軍打撃コーチ、阿部真宏一軍内野守備走塁コーチ、長田秀一郎二軍投手コーチ、荒川雄太三軍バッテリーコーチとなった。

平石コーチに関しては西武球団から慰留を受けながらもそれを固辞しての退団となり、他の5名に関しては解任という形になる。まず一軍打撃コーチ2人に関しては解任はやむを得ないだろう。2年間指導を担当しながらも目立った打撃陣の底上げをまったく見せることができず、打撃コーチとしての能力は非常に低かったと言わざるを得ない。

そして阿部真宏コーチに関しては、今季は三塁ベースコーチとして幾度も判断ミスをしているため、そのあたりを見られての解任となるのだろう。阿部コーチに関しては現役時代から野球に対する真摯な取り組み方は尊敬に値するものだったが、残念ながらコーチとしてそれを後進に伝えることはできなかったようだ。

続いて二軍の長田投手コーチに関しては、意外と早い解任だなという印象だ。現役引退後の長田コーチはまずライオンズアカデミーで子どもたちの指導に当たり、その後は埼玉武蔵ヒートベアーズに投手コーチとして派遣され、2022年からライオンズの二軍投手コーチを務めていた。

投手陣に関しては若い選手がどんどん育ってきているため、投手コーチ陣を大幅刷新することはないのではとも思われたが、もしかしたら長田コーチはまたライオンズアカデミーに戻ったり、もしくは編成部でスカウトマンなどを務めることになるのかもしれない。

そして荒川三軍バッテリーコーチに関しては、若い捕手の技術力がほとんど上がってきていないための解任だろう。そういう意味では中田祥多二軍バッテリーコーチの指導力にも疑問がつくところではあるが、そのあたりは移籍組の荒川コーチと生え抜きの中田コーチの違いとなるのかもしれない。

ちなみに筆者は一軍のバッテリーコーチは新任者となり、野田浩輔コーチが二軍、中田コーチが三軍に回るのではないかと予想している。とにかく今のライオンズは若手の捕手力が非常に低いため、西口文也新監督を支えるためにも指導力のあるバッテリーコーチを一軍に招聘する必要がある。

豊田清投手コーチの異動が最も自然に思われる来季の二軍監督

コーチ陣の全陣容に関しては秋季練習に入る4〜5日以内にはまた発表されると思うのだが、ここまでで見えているのは西口文也一軍監督、鳥越裕介一軍ヘッドコーチ、大石達也一軍投手コーチという名前だ。

こうなってくると豊田清一軍投手コーチの行先も気になってくるわけだが、選択肢としては一軍投手コーチとしての続投か、二軍監督への異動となるのではないだろうか。現状の面々で考えると、二軍監督を任せられる人物は豊田清コーチの名前くらいしかないため、その可能性は決して低くはないと思う。

すると一軍の投手コーチは大石コーチと誰が務めるのかという話になるわけだが、留任ということになれば青木勇人コーチとなり、異動となれば榎田大樹コーチとなるのだろうか。仮に大石-榎田コンビとなると、大石コーチは来季37歳、榎田コーチは39歳と非常に若い。だが投手コーチに関しては西口文也監督の存在があるため、必ずしもベテランコーチが必要になるとは言えない。

また豊田コーチにしても2学年下の西口監督に仕えるよりは、二軍監督として若い投手陣の底上げをさらに進める役割を担った方があらゆる面でスムーズに進むのではないだろうか。そして長田コーチが解任となっている以上誰か一人は新任投手コーチが就くことになるため、そのコーチを育成するという意味でも豊田清二軍監督の誕生は自然な流れのようにも感じられる。

それでも投手コーチの陣容に関しては、打撃コーチほどのサプライズはないだろう。投手陣に関しては一軍のレベルは非常に高いところにあるし、二軍を見ても次世代の投手たちがどんどん育って来ている。この流れを維持するためにもコーチ陣を刷新するよりは、今季までの流れを踏襲できるコーチ陣容にした方が良いはずだ。

だが反面打撃コーチに関しては二軍から一軍への異動ではまったくダメだ。例えば今季は二軍は大島裕行打撃コーチ、小関竜也ファーム野手総合コーチの2人体制だったわけだが、今季長らく二軍でプレーしていた打者の中からは、将来性が期待できる成長を見せた選手は出てこなかった。

そのため仮に誰か一人が二軍から一軍に異動となったとしても、もう一人の打撃コーチに関しては抜群の指導力を持ったベテランコーチを招聘する必要がある。ちなみにデーブ大久保氏はお金は関係なく今のライオンズの打撃陣を叩き上げたいと話している。だがデーブ大久保コーチは渡辺久信監督の下でこそ生きたコーチであるため、西口監督下でのコーチ復帰の可能性はほとんどないと言うべきだろうか。

そして鳥越ヘッドコーチの誕生が確実であるならば、鳥越コーチは選手にガンガン言っていける厳しいコーチであり、嫌われ役を演じることもできる。そういう意味では2008年にデーブ大久保コーチが務めたポジションとも被るため、やはりデーブ大久保コーチの復職は現時点では可能性は高いとは言えない。仮に本人が望んだとしても。

コーチの現役時代の数字を見ながら話す者もいるライオンズの若手野手陣

さて、赤田将吾コーチは現在のライオンズの若手野手陣に関し、「全然練習をしない」と細川亨氏に愚痴をこぼしたことがあるという。細川氏自身もそのことをずっと気にしていたようで、とにかくどの球団よりも練習量が多かった時代のライオンズを経験している細川氏からすると、今のライオンズは信じられない状況となっているのだろう。

そしてその流れを作ってしまったのは辻発彦監督、松井稼頭央監督ということになる。辻監督はもちろん厳しさも持ち合わせた監督だとは思うのだが、選手がベンチ内でおちゃらけたり、監督をイジるような行為さえ許していた。また、松井監督に関してはミスをした選手も起用し続けたことで、選手たちには「ミスをしてもまた試合に出してもらえる」という甘い考えが植え付けられてしまった。

ライオンズを短期的に変えていくためには、このようにすっかりとアマチュア集団となってしまったライオンズの選手の根性を叩き直せる強い指導者が必要だ。それが西口監督であり、鳥越ヘッドコーチということになるわけだが、ライオンズの若手選手にとっては残念なことだが、鳥越ヘッドコーチは平石ヘッドコーチのように優しくはないし甘くもない。

そしてこれから発表される打撃コーチや内野守備走塁コーチにしても、確実に厳しい指導ができるコーチが招聘されるはずだ。そうなってくると今季一軍でプレーした若手選手たちの多くは篩い落とされることになるだろうし、逆に付いて行ければレギュラーへの道も近づいていく。

打撃コーチに関してはまだ名前を予測することはできないが、バッテリーコーチに関しては細川亨氏を招聘すべきではないだろうか。そして内野守備走塁コーチはやはり片岡易之氏(現保幸)が望ましいように思える。そして予測が難しい打撃コーチにしても、中島裕之(現宏之)選手兼任コーチの誕生にはどうしても期待を抱いてしまう。

選手兼任コーチであれば、中島選手はそれほど多くは語らずとも、自らが手本を示して若手選手たちに技術を伝えることができる。また、中島選手が加入すれば栗山巧選手中村剛也選手が最年長ではなくなるため、彼らもまたもうひと頑張りするためのモチベーションを得ることができるだろう。

とにかく今のライオンズの打撃陣は圧倒的に練習が不足している。今まではそれでも許されたのかもしれないが、しかしこれからはそれを許さないコーチに指導を託さなければならない。そういう意味では筆者は、現役時代は打者に転向した後は誰よりも多くバットを振った木村文紀二軍打撃コーチの誕生にも期待を寄せたい。

木村氏であれば練習量の大切さを選手に伝えることができるし、後輩から慕われる人望もある。現在は編成部で育成担当のスカウトを務めている木村氏だが、引退から一年を経てもう一度、二軍打撃コーチとしてユニフォームを着ても良いのではないだろうか。

ただし心配なのは、現在のライオンズの若手野手陣の中にはコーチの現役時代の成績を見て話す者がいると耳にすることだ。この場では筆者が聞いたその選手たちの名前を挙げることはしないが、しかしそういう選手が実際にライオンズにいることは間違いないようだ。

そのような選手は表面的にはコーチの言うことを聞いているように装うが、心の中では「現役時代に大して打っていないあなたに言われたくない」と考えている。このあたりに関してはスカウトマンたちが人柄まで調査し切れなかった結果となるわけだが、しかしそのような選手を黙らせるためにも、やはり一軍には指導力抜群のベテラン打撃コーチが必要だろう。

それこそ今季同様の情けないプレーを見せた者を、容赦なく二軍に送還させられる厳しさを持つ指導者が望ましい。そしてそれができるのは新任コーチでも、選手兼任コーチでもなく、指導実績が抜群のベテランコーチということになる。そうなって来ると個人的には金森栄治コーチや佐々木誠氏のライオンズ復帰を期待したくなるわけだが、しかしその新任者たちの名前もあと数日で発表されると思われるため、筆者は期待を抱きながらその発表を待ちたい。

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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