HOME > コラム (209記事) > 和製大砲の育成は急務だが来季に関してはFAや外国人に頼らざるを得ない西武打線

2024年10月18日公開

和製大砲の育成は急務だが来季に関してはFAや外国人に頼らざるを得ない西武打線

可及的速やかな育成が求められている和製大砲

今ライオンズで最も育成が急がれているのが和製大砲だ。チーム全体の数字を見ると、今季のライオンズからは二桁本塁打を打った選手が一人も出なかった。中村剛也選手佐藤龍世選手外崎修汰選手の7本が最多で、これはもう長打力不足と言っていられる次元の話ではない。とにかく可及的速やかに和製大砲を育成しなければならないのが現状だ。

ライオンズの打力不足、長打力不足はもはや誰の目にも明らかであり、このオフは秋季キャンプでも打力アップが最大の課題とされている。西口文也新監督も秋季キャンプでは今まで以上に数多くバットを振らせると宣言しているため、来季の打力アップに関してはある程度は期待して良いのかもしれない。

だが和製大砲候補となるとそれほど多くいるわけではない。ホームランを打てるタイプということになると、渡部健人選手村田怜音選手くらいになるのではないだろうか。ブランドン選手高木渉選手もホームランを打てるタイプではあったが、しかしこの二人に関しては今オフすでに戦力外となってしまった。となるとやはり現状では渡部選手と村田選手の二択ということになる。

もちろん西川愛也選手野村大樹選手もそこそこホームランを打てる長打力を秘めているわけだが、ホームラン打者タイプかと問われればイエスとは言えない。西川選手と野村選手に関しては、だいたい15本塁打くらい打ってくれればそれでも十分で、彼らにはとにかく主軸の前にチャンスメイクをする役割を徹底してもらいたい。

ボールの見極めさえ上手くなれば.290は打てる西川愛也選手

ボールの見極めさえ上手くなれば.290は打てる西川愛也選手

西川選手に関しては今季は得点圏打率が高く、72打数25安打、1本塁打、23打点の.347だった。今季の通算打率が.227であることを考えると、どれだけチャンスに強かったのかがよく分かる。この得点圏での強さは来季のライオンズでは大きな戦力となるはずだ。

そして西川選手は今季は8盗塁しており、走ることもできる。西口監督は走力を使った得点力アップを目指しているため、足が速くチャンスに強い西川選手が本格的に三番に固定されるようになれば、チームの得点力は確実にアップしていくはずだ。だが実力で三番に固定されるためには.227という打率ではダメだ。せめて.290は打ち、本塁打は15本前後で20個以上盗塁を決めてもらいたい。これだけの数字になれば安心して西川選手に三番を任せることができるし、打線の軸も形が見え始めてくる。

西川選手の課題はカウントの作り方にある。西川選手も他の若手打者同様に、早いカウントで難しいボールに手を出すことがまだまだ多い。仮にファーストストライクだったとしても、外角低めいっぱいのボールは見逃していく必要がある。だが西川選手も早いカウントで、投手が狙い通りに投げた難しいコースのボールに手を出してしまうことが多いのだ。この見極めさえ上手くできるようになれば、西川選手が.290打つことは決して難しいことではないはずだ。

ちなみに筆者個人としては西川選手は強打の二番に据えるのも面白いのではないかと考えている。例えば坂本勇人選手や大谷翔平選手、さらには全盛期の栗山巧選手のようなイメージだ。一番を打つ長谷川信哉選手の盗塁をサポートしつつある程度長打を打てる打者が二番にいると、相手投手にかかるプレッシャーも非常に大きくなるため、外国人選手次第では西川選手に二番を打たせることもなしではないと思う。

高校時代は清宮選手とクリーンナップコンビを組んだ野村大樹選手

野村選手に関しては今季は最終打率こそ.222と非常に低かったが、しかし勝負どころで素晴らしいバッティングを見せてくれることも多かった。そして意外性のあるパンチ力も秘めており、今季は7月にライオンズに合流したわけだが、そこから5本塁打をマークしている。

この野村選手も来季が非常に楽しみな選手であるわけだが、問題はポジションだ。野村選手は一塁と三塁を守ることができるわけだが、一塁には外国人選手や村田怜音選手が入る可能性が高く、三塁に関しても佐藤龍世選手とポジションが被る。だが今季終盤は月間打率が.290を超えるほどの活躍も見せているため、もし安定的に.280〜.290を打つことができるのであれば、DH兼任で実力でレギュラーを獲れる可能性もあるだろう。

なお野村選手は早稲田実業時代、現在ファイターズでプレーする清宮選手とクリーンナップコンビを組んでいた。清宮選手が三番ファースト、一学年下の野村選手が四番サードという打順で、高校通算では68本塁打を記録するほどの長打力も実は秘めている。なお清宮選手が卒業しファイターズに入団した後は、野村選手が主将として三番サードを打っていた。

この野村選手が来季覚醒する姿を見せられれば、高校時代同様にライオンズでも三番サードを打つ可能性もあるのではないだろうか。ただし今季は得点圏打率が.214と低かったため、来季も野村選手がクリーンナップを打ち続けるためには得点圏打率の改善は不可欠となる。

FAで選手を獲得した年は必ず優勝しているライオンズ

和製大砲の育成は急がれるわけだが、渡部選手と村田選手だけではやはり心許ない。まず渡部選手は毎年のように下半身を怪我しているし、今季は体調不良での出遅れもあった。そのため渡部選手に関してはまずは一年間戦える体を作れるかどうかが一軍定着への鍵となるだろう。

そして村田選手に関しても今季のように、まだまだ気合を入れすぎたプレーで怪我をしてしまうレベルにある選手だ。守備でも打撃でもとにかく怪我をしないフォームをまずは身につけなければならない。だがただ我武者羅にプレーをするだけではなく、もっと柔軟性のあるプレーができるようになれば、レオのガリバーこと村田選手が大化けする可能性は高い。

それでも来季に関してはやはり外国人打者に頼らざるを得ないだろう。少なくとも四番五番に関しては一年間しっかりと打ってくれる外国人打者が必要だ。もしくはFA補強もそろそろ視野に入れる必要がある。これまでライオンズは中嶋聡捕手、石井一久投手をFAで補強して来たわけだが、FA補強をした年はいずれも優勝しているのである。

来季、西口監督が最下位からの日本一を実現するためにも、西武球団は今オフに関しては是が非でも日本人スラッガーをFA補強してもらいたい。そしてFAで補強した選手と外国人打者が機能すれば、ライオンズが再び最下位に転落することはないだろう。それどころか投手陣はリーグトップクラスの力を持っているため、一気に優勝候補に名乗り出ることだって可能なはずだ。

だがそのためには日本での実績がある外国人選手の補強とFAでの日本人スラッガーの獲得は外せない。そもそも西武球団は近藤健介選手のFA獲得を目指したことがあるため、決してFAで選手を獲得するための資金がないわけではない。だからこそ今オフこそはFA戦線に加わり、西武球団には優勝を目指すという本気度を選手やファンに示してもらいたい。

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
⚾️ 筆者カズのTwitter(現X)
⚾️ 筆者カズの野球系YouTube
⚾️ 筆者カズの野球系Instagram
SNSのフォローやいいねもよろしくお願いします🙏

関連記事