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2024年10月16日公開

西武も来季は選手の髪型や髭を厳しく律する方針でコーチもそれを元に選ばれた

一昔前と比べると風紀が乱れ切っている近年のライオンズ

一昔前と比べると風紀が乱れ切っている近年のライオンズ

近年のライオンズに常勝軍団の面影がまったくなくなってしまったのは、一体何が原因だったのだろう。フロントによるチーム作りが失敗だったのか、それとも獲得した選手たちにプロ意識が欠けていたのか。卵が先か鶏が先かの話ではないが、これはどちらか一方の責任ではなく、双方にプロフェッショナルとしての能力が欠けていたため、負の相乗効果で急速に弱体化していったものと思われる。

だが実際にプレーをするのは選手たちだ。もしこの選手たちにしっかりとしたプロ意識さえ備わっていれば、江本投手の「ベンチがアホやから」ではないが、フロントがプロ集団じゃなかったとしても勝てるチームを作っていくことは可能だ。しかし近年のライオンズの選手たちを見ていると、プロ意識どころか社会人としての意識さえ欠けているように見える。

ライオンズは髪型などに関してはこれまで自由とされていたが、もうジャイアンツ同様に茶髪、ロン毛、髭は禁止にすべきではないだろうか。もちろん筆者も髪型で野球をやるわけではないことは分かっている。だが果たして、風紀が乱れた集団がプロとして一致団結して勝っていくことなど可能だろうか。

日本という国は野球の本場アメリカとは異なり、多様性がそれほど尊重されている国ではない。中学高校の校則を見ても、茶髪や男子生徒のロングヘアーは禁止されていることがほとんどだ。さらに言えば、地毛が茶色い生徒の髪を黒く染めるという妄動を取った教師さえかつてはいたほどだ。

一般企業では受け入れられないであろう一部若獅子たちのヘアースタイル

高校の野球部を見渡しても、未だにほとんどの野球部で丸坊主が強制されている。一昔前までと比べると丸坊主を強制していない野球部も増えてはきたが、それでもまだごく一部でしかない。日本というのはそのような国風を持った国なのである。

一方アメリカはあらゆる人種が集まった中で国家が形成されているため、よほどではない限り校則で髪を染めることが禁止されていることはない。このように野球選手の風紀に関する話をすると必ず、「メジャーリーガーにも髪を染めていたりロン毛の選手はいる」、という意見が出てくる。だが上述のように、日本とアメリカでは風土がまったく異なるのだ。

今季のライオンズベンチを観察するとロン毛や髭の選手だけではなく、異様なパーマをかけている選手や、金髪のような髪色にしている選手などが非常に目立っていた。彼らには恐らく社会人としての意識がまったくないのだろう。もし仮に一般企業であれば、ロン毛や茶髪などはほぼ確実に禁止されるはずだ。

ちなみにあるマーケティング資料によると、取引先の相手がパーマをかけていたり、派手な茶髪だったり、ダンスグループのような髪型だったりすることに対して嫌悪感を抱く人が非常に多いという結果が出ている。さらに言うと高校球児のような丸刈りもビジネスシーンでは不評であるようだ。

そしてプロ野球もビジネスだ。選手たちはスポンサーが受ける印象も考えながら髪型や服装を整えるべきではないだろうか。例えば大谷翔平選手の外見は、日本の大手上場企業であっても受け入れられる清潔感のあるスタイルだ。髪型も爽やかだし髭も剃っているし、ラッパーのように金のネックレスをジャラジャラとぶら下げていることもない。ライオンズの若手選手たちは、まずは大谷翔平選手を見習うべきではないだろうか。

選手に対し厳しいことを言うことができなかった松井稼頭央前監督

実は西武球団はこのオフ、そういった風紀をもう一度見直すことを検討しているらしい。つまり今季まではどんな髪型でもOKだったわけだが、来季からはこのあたりを引き締めていくことになるようだ。だが筆者はそれで良いと思っている。そもそもライオンズで一流と呼ばれていた選手の中で派手な髪型をしていた選手はごく一部でしかない。

金髪にしていた松井稼頭央選手、やや髪が長かったデニー投手や森慎二投手くらいではないだろうか。だがデニー投手や森投手にしても、髙橋光成投手ほど長くはなかったし、少なくとも清潔感は感じられた。だが松井稼頭央選手の金髪に関してはたびたび周囲から疑問の声があがっていた。

松井前監督は選手のFAについて、「自分もFAで移籍した身だから大きなことは言えない」、というニュアンスのコメントが幾度かしている。と考えると同時に、「自分も金髪だったから選手の髪型についてはとやかく言えない」、と思っていた可能性も高かったと言える。

ちなみに松井監督は監督となってからもオシャレな芸能人のようなヘアースタイルを続けていた。だが12球団の監督の中で、一般企業にはいなさそうな髪型をしていたのは松井監督とファイターズの新庄監督くらいだった。新庄監督に関してはもう何から何まですべてがド派手であるため、ファッションもファンを喜ばせるためのパフォーマンスだと受け取られることも多い。この特殊な存在である新庄監督を除くと、例えばトヨタ自動車や電通には決していなさそうな髪型をした監督は、松井稼頭央監督ただ一人だった。

体にも心にもタフさがなくなってしまった近年の若獅子たち

では歴代のライオンズの監督を振り返ってみよう。根本陸夫監督、広岡達朗監督、森祇晶監督、東尾修監督、伊原春樹監督、伊東勤監督、渡辺久信監督、田辺徳雄監督、辻発彦監督という面々になるわけだが、誰一人として社会人として相応しくない髪型をしていた監督はいない。例外を挙げるとすれば、高校時代の渡辺久信投手がツッパリヘアーだったことくらいだろう。

そして監督だけではなく、ライオンズのこれまでの名選手たちを見渡しても、一般企業では受け入れられないような髪型をしている選手は上述の通りほとんど存在しない。FA移籍後はファッションでひんしゅくを買っている清原和博選手でさえも、ライオンズ時代は爽やかで清潔感のある髪型をしていた。その理由は東尾修監督だったからで、さすがの清原選手も東尾監督には頭が上がらなかったのだ。

故星野仙一監督は心技体という言葉をかつて「体心技」と表現していた。健康な体には健全な精神が宿り、心も体も健やかであれば技術も伸びるというのが星野監督の持論だった。だが今のライオンズの選手たちは体調を崩すことも怪我をすることも多い。さらには西口新監督に言わせればメンタルも弱い。つまり今季のライオンズの成績というのは冷静に考えるとまったく不思議ではなかったということだ。

ライオンズの選手たちが自ら身だしなみを整えることはもはや難しいのではないだろうか。源田壮亮主将のように社会人野球を経験している選手ならまだしも、高卒大卒ですぐプロ野球に入り、一般社会を経験していない選手に関しては、やはり球団がしっかりと指導していかなければ、選手任せではこれからもどんどんライオンズの風紀は乱れていくことになるだろう。

日本国民の模範になるとは到底思えない若獅子たちの姿

さて、秋季キャンプからライオンズに合流する鳥越裕介コーチは鬼軍曹として知られている。マリーンズの二軍監督時代には練習中のパーカーの着用さえ禁止し、服装や髪型を厳しく律し、その結果見事チームを優勝に導いている。鬼軍曹として知られる鳥越コーチを招聘した時点で、西武球団もチーム内の風紀の乱れを危惧していたことがよく分かるというものだ。

ライオンズの鬼軍曹としてはもちろん伊原春樹監督の存在もあったわけだが、伊原監督はとにかく口が災いを呼ぶことが多い監督だった。伊原監督の存在を嫌ってトレードを志願してライオンズを去った投手もいたほどだ。だが同じ鬼軍曹でも、鳥越コーチは不必要なこともまで言って選手の集中力を掻き乱すようなことはしない。

鳥越コーチの役職は一軍ヘッドコーチであるわけだが、しかし鳥越コーチにはライオンズの一軍を二軍レベルだと思って厳しく律し、叩き上げてもらいたい。ちなみに今年の西武HDの株主総会では、「ロン毛の選手を見ていると飯が不味くなる」、という辛辣な意見も上がったほどだ。若獅子たちは自分たちに対しこのような言葉が挙がるということが、社会人としてどれだけ恥ずかしいことなのかをそろそろ自覚してもらいたい。ロン毛を自慢するのは他球団やメジャーに移籍したあとにしてもらいたい。

ここは日本なのである。未だにタトゥーさえも受け入れられていない社会なのだ。一部の競技では選手がタトゥーを入れることは禁止されているし、タトゥーを入れていたらプールや温泉に行くこともできない。選手たちはそのような日本の風土をしっかり理解してテレビカメラの前でプレーすべきではないだろうか。

平石洋介コーチ1人ではどうにもならなかった弛み切ったライオンズ

そして今チャラチャラした格好をしている選手というのは、将来がまったく見えていないと見ることもできる。例えば上述した松井稼頭央監督を例にすると、松井監督は現役時代に自らも金髪だったことから選手たちを厳しく律することができなかった。自分が現役時代にチャラチャラしていた場合、指導者になった時に選手を厳しく指導することができなくなってしまうのだ。

そしてチャラチャラした選手が一人でもいれば、ライオンズ全体がチャラチャラしたチームだと見られてしまうのだ。例え栗山巧選手中村剛也選手がどこに出ても恥ずかしくない精悍な姿を見せていてもだ。はっきり言って今のライオンズは弛み切っている。

ちなみに平石洋介コーチが初めてライオンズのユニフォームを着て選手たちに徹底させたのは、凡打を打った時や攻守交代時にしっかり走らせることだった。平石コーチ曰く、今年になってようやく選手が走り出すようになったということだ。近年のライオンズとはそれほどまでに弛み切っていたのだ。そう考えると平石コーチはせっかくライオンズに来てくださったのに、本当に申し訳なかったなというのがライオンズファンとしての筆者は正直な感想だ。そしてこのような事実を踏まえると、今季のライオンズが歴史的に弱かったこともまったく不思議ではなかったということだ。

日本には馬子にも衣装という言葉もあるわけだが、しっかりとした格好をすればその姿が人の行いを良くしていくし、逆にみっともない格好をしてしまうと言動もだらしくなくなっていく。近年の若獅子たちはまさに後者であると言える。そんな弛み切ったライオンズを叩き直すのは、とてもじゃないが平石コーチ1人では無理だったのだ。

だが来季は西口監督、鳥越コーチ、仁志コーチ、立花コーチ、大石コーチと、ここまで発表されている一軍のコーチ陣は誰もが現役時代から社会人として恥ずかしくない身だしなみだった。だからこそ選手たちにも社会人として相応しい格好をしろと厳しく律することもできる。ちなみに「社会人」という言葉は日本特有の言葉で、外国人が日本語を勉強する際にとても不思議がる言葉の一つだ。外国には「社会人」という概念そのものがないわけだが、しかし日本にはそれがある。

そしてプロ野球の統一契約書には、選手は日本国民の模範となる行動をしなくてはならないとしっかり明記されている。今季までのライオンズの風紀は、果たして日本国民の模範となりうるだろうか。選手たちには今一度そのことをしっかりと考えた上で身だしなみを整えてもらいたいと筆者は願っている。

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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