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2020年10月31日公開

2020年を足首痛で終えてしまった山川穂高選手に足りなかったもの

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得点圏打率があまりにも低かった山川穂高選手

シーズン終了を間近に控え、山川穂高選手が右足首痛の治療に専念するため登録を抹消された。これで3年連続ホームランキングという夢は完全に潰えてしまったわけだが、しかしなぜ山川選手は今季、ここまでの低成績に苦しむことになったのだろうか。確かに24本塁打という数字だけを見れば、決して悪い成績ではないとも言えるわけだが、しかし得点圏打率は.287で、打率も.205と、4番打者としてはあまりにも物足りない数字となってしまった。

筆者個人としては、山川選手はまだまだ真の4番打者ではないと思っている。やはり真の4番打者に必要なのは得点圏打率の高さだ。例えば昨季、2019年の中村剛也選手の得点圏打率は驚異的とも言える.350という数字で、特に満塁には滅法強かった。そして今季終盤になり4番を打つことが増えた栗山巧選手の得点圏打率は.333。ホームランこそ期待することはできないが、チャンスに強いという意味では栗山選手も立派に4番の役割を果たしている。

今季に関しては、山川選手はシーズン途中から右足首を痛めていたようだが、それも成績に大きな影を落としてしまったのだろう。だがシーズン終了10日前というタイミングでの登録抹消は、もう少し早くても良かったような気もする。早く治して、早く復帰して、最終戦にグラウンドに立てていた方が、山川選手自身の気持ちも違っていたような気もする。だが仮にも4番を打っていた打者を、そう簡単に登録抹消にすることはできないという事情もよく理解することができる。

スカウトマンの精密なデータ分析が山川選手を抑え込んだ

今季は「三冠王打法」に取り組み、今季とは言わないが、将来的には三冠王を目指すためのマイナーチェンジに山川選手は取り組んでいた。これはどんなに成績が下降しても変えないと言い切っていたわけだが、しかし山川選手の成績が向上することは、今季に関しては最後まで見ることはできなかった。しかし筆者は、このマイナーチェンジが成績下降を招いたとは思わない。これは森友哉選手にも同じことが言えるわけだが、ホームランキング、リーディングヒッターのふたりを、他球団がノーマークにするはずはないのだ。

近年のスコアラーのスカウティング能力は、10年前とは比べられないほど精密になっている。もちろんそこにはトラックマンなどのハイテク機器の存在も大きかったわけだが、そのような機器を使いながら、本当に精密なスカウティングリポートを作り上げている。つまりピッチャーに、狙ったところに投げ切る技術さえあれば、ホームランキングもリーディングヒッターもしっかりと抑えることができる、ということになる。

山川選手が今季取り組むべきことは、バッティングフォームのマイナーチェンジではなかったと思う。もちろんそれが必要なかった、というわけではない。しかしそれ以上に必要だったのは、自分自身のデータ分析だったと思う。山川選手自身当然そのようなデータ分析は十分にしたとは思う。だがその分析内容が敵と比べ十分ではなかったから、相手投手にしっかりと抑え込まれてしまった、というのが現実だと言えるのではないだろうか。

ホークス戦はチャンスに強かった山川選手

今季レギュラーシーズンで山川選手が打席に立つことはもうない。だがライオンズが残り試合で2位に浮上することができれば、ホークスとのクライマックスシリーズに出場することはできる。足首痛がどれほど深刻なものだったのかはわからないが、しかし山川選手にはここでシーズンを終えてしまうのではなく、クライマックスシリーズを見据えてしっかりと治療に専念してもらいたい。なぜなら山川選手は、ライオンズには必要不可欠なスラッガーだからだ。

少なくとも10日間は治療に専念するようなので、山川選手はこの期間を使ってもう一度対ホークスのデータを洗い直してみると良いのではないだろうか。ホークス戦に関しての得点圏打率は.385と非常に高いのだが、打率は.210に止まっている。ライオンズがもしクライマックスシリーズに進出することができれば、対ホークスのこの得点圏打率はチームにとって大きなアドバンテージとはるはずだ。

そして上位打線でチャンスメイクをすることができなかった時、4番の山川選手がそこで二塁打を打ってチャンスメイクすることができれば、後続のチャンスに強い栗山選手に繋げていくこともできる。山川選手は山賊打線の中心であるため、やはり森・山川両選手の3・4番コンビが機能していかなければ、ライオンズに勝機は見えてはこないだろう。

昨季は中村選手、今季は栗山選手。山川選手は37歳のこのふたりに4番を任せているようではいけない。だからこそこの10日間を有意義に使い、ホークスとのクライマックスシリーズで4番を打つ前提で調整をしてもらえたら、ファンとしては有終を期待することもできるというものだ。ライオンズはV2を達成しながら2年連続でクライマックスシリーズで敗退し、日本シリーズに駒を進めることができなかった。今季は逆に山川選手の復活により、2位から日本シリーズに進出しようではないか!

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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