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2024年7月11日公開

スペシャルアドバイザー就任はデストラーデ監督誕生の布石になるのか?!

スペシャルアドバイザー就任はデストラーデ監督誕生の布石になるのか?!

黄金時代の最強助っ人がライオンズに帰ってくる!

ライオンズへの復帰が決まったオレステス・デストラーデ氏

ライオンズにオレステス・デストラーデ氏(62歳)が帰ってくることになった!もちろん選手としてではなく、今回はスペシャルアドバイザーという立場でライオンズに帰ってくることになる。今週の金曜日、7月12日から早速ファームに合流するとのことらしい。

最初にスペシャルアドバイザーと聞いた時は、オンラインなどで外国人選手をサポートするのかなとも思ったのが、しかしそうではなく、実際に来日してファームに合流し、対面でサポートを行なっていくようだ。これは本当に心強い助っ人が加わったと言える。

デストラーデ氏は言わずと知れた黄金時代の最強助っ人であり、ライオンズでは4季と少々で通算160本のホームランを打っている。実質プレーしたのは1989年6月〜1992年までの4シーズンで、その後は92年の日本シリーズ終了後にフロリダ・マーリンズに移籍することが発表された。

デストラーデ氏はキューバから亡命した家族のもとで育ち、実質フロリダはデストラーデ氏の出身地とも呼べる街だった。そのためデストラーデ氏自身かつて、地元であるマーリンズからの誘いでなければライオンズに残っていた、というコメントを残している。

デストラーデ氏と言えば、ホームランを打った時に弓を引くようなポーズを取って「BOOM!」と叫ぶパフォーマンスが大人気だった。あだち充先生の『H2』という野球コミックでも、登場人物がデストラーデ選手の真似をするシーンが描かれている。

かつては自身も日本人のフォークボールに苦しめられたデストラーデ氏

西武球団としては、デストラーデ氏を招聘したのは恐らくはエルネスト・メヒア選手の二の舞を踏まないためではないだろうか。メヒア選手は非常に優れた助っ人選手でありファンからの人気も絶大だったわけだが、しかしコロナ禍以降はホームシックに悩まされて実力を発揮できないシーズンが続いていた。

いま日本に、ヘスス・アギラー選手フランチー・コルデロ選手らの家族が来日しているのかどうかは筆者には分からないが、しかしどんな状況であってもメヒア選手のようにメンタル面から崩れていくのを防ぐため、西武球団は外国人選手のサポート役としてデストラーデ氏に白羽の矢を立てた。

アギラー選手とコルデロ選手は、日本人投手の落ちるボールに苦しんでいる。そしてデストラーデ氏自身、現役時代は野茂英雄投手や村田兆治投手のフォークボールに随分と苦しめられた。だがデストラーデ氏はそれでも3年連続ホームラン王、2年連続打点王に輝いている。その経験は必ずアギラー選手とコルデロ選手の助けになってくれるはずだ。

とにかくデストラーデ氏は日本での実績は抜群であり、明るい性格でコミュニケーション力も高い。今季のライオンズの助っ人選手たちは全員が中南米のスペイン語圏の選手であるため、同じく中南米に当たるキューバ出身のデストラーデ氏は、彼らのメンターとしてはまさに打って付けの存在だと言える。

現在、アギラー選手に関してはまだ実戦復帰の目処は立っていないのだが、コルデロ選手に関してはファームでは怪我なくしっかりと試合に出続けている。最近では7月5日のカーミニークでのジャイアンツ戦で猛打賞を記録している。ただ、なかなか一軍から声がかからないのは打球が上がらず、ホームランが5本にとどまっていることが影響しているのではないだろうか。

12日から早速このコルデロ選手のサポートも始められていくわけだが、デストラーデ氏のサポートによってコルデロ選手が覚醒し始めれば、これは後半戦巻き返すための力強い存在になるはずだ。

スペシャルアドバイザー就任はデストラーデ監督誕生の布石になるのか?!

実は今ライオンズには、キューバ人選手を獲得するという噂がアメリカ国内では流れている。その真相の程はただの予測報道であるためまだ分からないのだが、しかし日本経験のないキューバ人選手を獲得して、即座に対応してもらうために獲得に先立ってデストラーデ氏を招聘したという考え方もできなくもない。

キューバと日本の野球連盟は比較的友好関係にあるため、近年はキューバ人選手もずいぶんと増えてきている。だがそれでもキューバ人の本音としてはより母国に近いMLBで大金を稼ぎたいという思いが根底にはあるため、キューバ人選手が日本行きにすんなり応じてくれるケースは少ない。

しかし特にマイアミで大人気のキューバ人であるデストラーデ氏の存在があれば、キューバ人選手たちも安心して日本に来れるようになるだろう。もしかしたらデストラーデ氏の招聘は、近い将来キューバ人選手を獲得するための布石となるのかもしれない。

とにかくアギラー選手の足首はまだ本格的にバッティングを再開できていない状態で、コルデロ選手の一軍復帰も遠そだ。このままただ時間が流れていくのを待つだけではあっという間に今シーズンも終わってしまうため、西武球団は今、間違いなく新助っ人選手の獲得調査を行なっているはずだ。

理想としてはNPB経験のある助っ人が望ましいわけだが、しかしNPB経験がある強打者という選択肢はかなり少ない。そのため西武球団としても、現状ではNPB経験のない選手を呼ばざるを得ないというところだろうか。だがそれだけでは日本野球への対応に関しては怖さしかないため、それを克服するためのデストラーデ氏の存在なのだろう。

もしくは渡辺久信GMは、デストラーデ氏を次期監督候補として考えており、今秋からスムーズにチームに入っていけるよう、まずはスペシャルアドバイザーとしてチームに合流してもらったのかもしれない。

将来的なライオンズの監督としては西口文也二軍監督、松坂大輔氏などの名前も挙がっているわけだが、しかし今のチーム状態で来季から西口監督にバトンタッチするのはあまりにも酷だし、そして松坂氏に関してもよほどしっかりとしたチームの作り直しを約束できなければ実現は難しいだろう。

そして黄金時代のメンバーで言えば、工藤公康氏は今は農業で忙しく、秋山幸二氏もまだ再びユニフォームを着る準備はできていないように見える。そうなってくると、今のライオンズをガラッと変えてくれる存在として期待できるのがデストラーデ氏だ。

例えばデストラーデ氏がベイスターズのアレックス・ラミレス監督のような存在になってくれれば、来季はライオンズというチームをガラッと変えることもできるだろう。さすがに渡辺GMが監督とGMを兼任するというのは現実的ではない。やはり渡辺GMはGM職に専念し、来季からはチームを変えてくれる監督を新たに招聘すべきなのだ。そのような将来を見据えても、デストラーデ氏の存在には大きな期待が膨らんでくるのは果たして筆者だけなのだろうか。

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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