2024年8月 9日公開
シーズンもそろそろ佳境に入り始めているわけだが、現実的に見てライオンズの最下位脱出は絶望的だ。こうなってくるともう来季に目を向けていくしかないわけだが、気になるのは次期監督問題だ。現状では渡辺久信監督代行が指揮を執っているわけだが、来季も正式に監督となって続投する可能性は高くはないように思える。
では来季は一体誰が指揮を執るのか?ここで候補となりそうな人物の名前を一通り挙げておきたい。辻発彦氏、デストラーデ氏、工藤公康氏、秋山幸二氏、森繁和氏、石毛宏典氏、伊東勤氏、西口文也二軍監督、松坂大輔氏あたりが主な候補になってくるのだと思われる。
しかしこの中でまず松坂氏に関しては、西武球団がよほど松坂氏の要望に添う補強をしない限りは実現性は低いだろう。松坂氏自身も、急いでユニフォームを着ようとしているわけではなく、今は外から野球を見ることに充実感を得ているようだ。それに加え、家族がアメリカを拠点にしているという事情もあり、単身赴任で日本の監督に就任する可能性はまだ高いとは言えない。
そして西口文也二軍監督にしても、さすがに監督経験がまだ乏しい中で今のチームを引き継ぐというのはあまりにも酷だ。それこそメディアで言われているように、松井稼頭央前監督の二の舞にもなりかねないため、西口二軍監督の登板はもう少しチーム状態が落ち着いてからということになるだろう。ただし西口二軍監督の場合、球団側から要請があれば快諾するものと思われる。
また、ホークスで優勝経験がある秋山幸二氏と工藤公康氏に関しても実現性は今のところ高いとは言えない。特に工藤氏は今農業に夢中になっているため、始めたばかりのその農業を放ってまで今のライオンズを引き継ぐというモチベーションは持っていないはずだ。そのため実現性という意味では、どちらかと言えば秋山氏の方がやや高いのかもしれない。
秋山氏がホークスの監督を勇退された際は、ご夫人の体調問題があったためだ。だがご夫人は秋山監督勇退後すぐにお亡くなりになり、その時はまだ高校生だった娘さんも27歳となり、今年ご結婚されている。そのためホークスの監督勇退直後と比べると、秋山幸二氏も監督就任要請を受諾しやすい環境にはあるのではないだろうか。
決して可能性が高いとは言えない秋山西武の誕生だが、しかしこの人はいつかはライオンズのユニフォームを着て指揮を執らなければならない人だと思う。そして近年打線の低迷が著しいライオンズにとって、秋山幸二氏の指導力は喉から手が出るほど欲しいはずだ。
続いて森繁和氏についてだが、現代のやり方を熟知しており、なおかつ厳しさも持っているという意味では監督になる資質は十分にあると思われる。そして森氏を監督として招聘した場合のメリットは、中南米に太いパイプを持っているという点だ。
ライオンズは今季期待のヘスス・アギラー選手、フランチー・コルデロ選手がまったく機能していないため、もしこの二人がこのままシーズンを終えてしまうようなことになれば、新たな外国人選手を連れてこなければならない。
その時、特にドミニカで顔が利く森繁和氏の場合、有望な助っ人候補を他球団よりも先んじて獲得できる可能性も出てくる。そういう意味では監督じゃなかったとしても、ヘッドコーチなどの役職でもライオンズに戻って来てくれれば、西武球団もその恩恵を賜ることができるだろう。
そして一部では外様でも勝てる監督を連れて来て欲しいという声もライオンズファンの中に根強くあるため、森氏を何らかの形で招聘することができれば、落合博満監督がライオンズに誕生する可能性も出てくる。落合氏自身、ユニフォームの色を問わず監督就任にはまだ前向きな気持ちを持たれているようだし、今の弱り切った獅子を叩き直すには持ってこいの存在とも言える。
落合監督はとにかく練習の質量にこだわる監督であるため、中日時代の落合監督のやり方をそのまま今のライオンズに注入した場合、ライオンズナインたちは今までのやり方がいかに生やさしかったのかを知ることになるだろう。このように選手たちに現実を突きつけるためには、経験豊富な外様監督を招聘するメリットは非常に大きい。
続いて伊東勤氏と石毛宏典氏に関してだが、これは渡辺久信GMというよりも、西武球団側が拒む可能性が考えられる。ただ、両氏と西武球団との関係が悪化した頃のスタッフは、もうほとんどフロントには残っていない。そのため実際にはもうわだかまりはないはずなのだが、しかし球団内のデータベースには間違いなくその頃の情報がまだ残されている。そのため現フロントの主要人部が、その情報をもとに両氏をリストから弾いてしまう可能性も考えられなくもない。
ちなみに伊東勤氏に関しては、今までメディアでは一切報道されていない西武球団との確執が存在している。メディアでは報じられていないため、筆者もここでそれを書くことは避けるが、その確執について、現在のフロントの人間が知らないということはありえない。
だがそれを知っていたとしても、実際に確執を持った当事者たちはすでに西武球団のフロントを去っているため、現在のフロントの人間がそれにもうこだわりを持っていないようであれば、伊東勤監督の再登板の可能性は決して低くはないと思われる。
ただ懸念されるのは、森祇晶監督のような知将タイプである伊東勤監督の場合、その采配に現在の若獅子たちが付いていけないという可能性が高い。それでも3年、4年という中長期的なスパンで伊東勤監督にチームを託すのであれば、来年いきなりというのは難しかったとしても、2年後3年後にはしっかりと戦えるチームを作ってくれるはずだ。
そして石毛宏典氏に関してはホークスの二軍監督時代やオリックスでの監督時代のように、疑問符がつくような采配をまた見せる可能性がある。そのためオリックス退団後はこれまで他球団でも指導者として石毛氏が招聘されることはなく、西武球団ももしかしたら同じような目で石毛氏を見ている可能性はあるだろう。
また、デストラーデ氏に関しても今後のアギラー選手とコルデロ選手の復調具合、もしくはアンソニー・ガルシア選手の日本野球への対応具合によっては西武球団初の外国人監督の誕生もありうるだろう。
そして外国人監督という意味では、アレックス・ラミレス氏も検討するに値する存在ではないだろうか。ラミレス氏は10年連続でBクラス、そして監督就任前年は最下位に沈んでいるベイスターズを2位まで押し上げた実績がある。ラミレス氏もまだまだユニフォームを着たいという気持ちは強く持っているようなので、デストラーデ氏同様に候補に入ったとしても不思議ではない人物だ。
そして最後に辻監督の再登板に関してだが、恐らくライオンズファンの中で最も期待されているのが第二次辻政権の誕生なのではないだろうか。辻監督はリーグ二連覇を達成しながらも一度も日本シリーズに進出することはできなかった。しかし選手を育てながら勝つ巧さは持っており、そして最近のライオンズのことを誰よりも知っているという意味でも、再登板の可能性は低くはないだろう。
ただしその場合、勇退をお願いした側の西武球団と渡辺久信GMが頭を下げる必要がある。もちろん渡辺GMと辻氏の仲であればそんな深刻な話にはならないとは思うが、しかし頭を下げるのが筋と言えば筋だろう。そしてその場合、馬場敏史コーチの西武復帰も同時に考える必要がある。だがこうして考えると、現実的には辻監督の再登板が可能性としては最も高いのかなという印象だ。
そして考え方としては2つある。ライオンズの現状を誰よりも知る辻監督に再登板をお願いするか、厳しい外様監督を連れて来て0からチームを作り直すかだ。筆者個人としては落合博満監督が率いるライオンズを見てみたい気もするが、辻監督の再登板やデストラーデ監督の誕生にも少なからず期待を抱いている。
だがとにかく求められているのはチームを勝ちに導くことができる監督の存在だ。結局のところライオンズを勝たせてさえくれれば誰でも良いわけだが、そのような監督を見つける作業は決して楽なものではない。渡辺久信GMも監督代行を務めながらそれを考えるのは本当に大変だとは思うが、まずはシーズンが終わるまでは体を壊さないように頑張ってもらえたらなと思う。