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2024年7月29日公開

日本野球への対応に努めるも、良きアドバイザーがいなかったアギラー選手

米国で足首の治療を受け、オールスター休みに再来日したアギラー選手

ヘスス・アギラー選手

5月8日に右足首痛により一軍登録を抹消されて以来、ヘスス・アギラー選手の一軍復帰の目処はまだ立っていない。この足首痛も当初はそれほど長引かないのではとも思われていたが、しかし実際には登録抹消からすでに2ヵ月半が経ってしまっている。

なおアギラー選手は治療のためアメリカに帰国していたのだが、オールスター休み中に再来日している。ここから一軍復帰までまたどれくらいの時間がかかるのかは未知数だが、しかし足首に問題がないようであれば、数試合ファームの試合に出場した後すぐに一軍復帰となるのではないだろうか。

筆者が考えるに、190cm/122kgという非常に大柄なアギラー選手の場合、人工芝の多い日本の野球場が足首への負荷を増やしてしまったのだ。筆者も人工芝と天然芝の質感の違いはよく知っているのだが、やはり一日中、芝の底がコンクリートになっている人工芝の上でプレーをすると、天然芝でプレーをした時よりも多くの疲れを感じることがあるのだ。

175cm/69kgという体格の筆者でさえその違いを感じるのだから、125kgあるアギラー選手の場合はさらにそれが顕著だったはずだ。そう考えるとこの足首痛はチームのコンディショニング部門がもう少し機能していれば、防げる可能性もあったのかなとは思う。

アギラー選手とフランチー・コルデロ選手に関しては本当に大きな期待が寄せられていた。春季キャンプでも少しでも日本の球団に馴染めるように、少しずつだが日本語で挨拶をしたり、周囲の選手に対する気配りを見せることも多々あった。

残念ながらここまではまったく機能していないアギラー選手とコルデロ選手ではあるが、後半戦は何とかこの二人が打てるようになるためのサポートをオレステス・デストラーデスペシャルアドバイザーに期待するしかない。

だがデストラーデSAはすでにこの二人が打てていない理由を明確に掴み取っている模様であるため、アギラー選手は足首が癒え次第、コルデロ選手は体調不良が良くなり次第、何らかの変化を見せてくるのではないだろうか。

日本野球への対応に努めるも、良きアドバイザーがいなかったアギラー選手

アギラー選手は、もしかしたら入団したのがセ・リーグの球団だった場合、もっと開幕から爆発力を見せていたのではないだろうか。アギラー選手のスタイルはボールをじっくり見ていくところにあるわけだが、セ・リーグ投手たちは一般的にストライクゾーンの四隅を狙って投げ、変化球でかわすピッチングをすることが多い。

そのためボールをじっくりと見ていくアギラー選手のスタイルであれば、セ・リーグの投手には対応しやすいと思われる。だからこそ筆者は交流戦を前にして足首を痛めてしまったことを非常に残念に思っていた。アギラー選手のスタイルであれば、交流戦で爆発してそこから軌道に乗っていける可能性があったからだ。

セ・リーグの投手とは反面、ストライクゾーンでどんどん勝負してくるのがパ・リーグの投手の特徴だ。全般的には四隅を突いてかわしに来ると言うよりは、自信のあるボールをどんどん投げ込むことによって積極的にアウトを取りにくる投手がパ・リーグには多い。

そのためボールをじっくり見るアギラー選手の場合、じっくり見ているうちにあっという間に追い込まれ、追い込まれてしまうとなかなかストライクを投げてもらえなくなり、難しいボールに手を出さざるを得ない状況になりミスショットが増えていたというのが、登録抹消されるまでのアギラー選手だった。

デストラーデSAもこの点には気づいているはずなので、アギラー選手が再来日した今、パ・リーグの投手の特徴に合わせた打撃対策をどんどん伝えてくれているはずだ。

嶋打撃コーチに関しては、基本的にはアギラー選手のスタイルを尊重し、コーチから何かを変えてもらうことはしないと以前語っていた。しかしこれはコーチとしては職務怠慢であり、打者が打てるように具体策をどんどんアドバイスしていくのがコーチの務めだ。

つまり登録抹消されるまでのアギラー選手は、日本野球に対応しようともがきながらも、良きアドバイスをしてくれるコーチの存在がいなかったのだ。

だが今は違う。デストラーデSAという心強い味方が登場し、日本野球への対応方法を具体的に教わることができる状況だ。そのため次アギラー選手が一軍に戻ってきた際は、4月までとは比べ物にならないくらい打てるようになっているだろう。

そしてアギラー選手の足首にもう不安がないようであれば、もしかしたら外国人打者のさらなる補強は必要ないのかもしれない。ここから1〜2年はアギラー選手に四番を任せ、その間にコルデロ選手を次世代の四番、もしくはクリーンナップとして育成していけば良いのではないだろうか。

しかしもしアギラー選手の足首の完治にまだ時間がかかるようであれば、これはもう別の外国人打者の獲得を急ぐより他ない。このあたりはまさにアギラー選手の足首と相談する形となってくるのだろう。

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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