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2024年7月18日公開

今燻っている和製大砲候補たちを覚醒させるのは中村剛也選手兼任コーチの誕生!

全員が怪我に弱いライオンズの若手和製大砲候補たち

今燻っている和製大砲候補たちを覚醒させるのは中村剛也選手兼任コーチの誕生!

現在のライオンズで急務となっていることの一つが和製大砲の育成だ。残念ながら今のところ、中村剛也選手の後継者と呼べる存在はいない。しかしだからと言って大砲候補がいないというわけでもない。

大砲候補としてまず名前が挙がるのが渡部健人選手だろう。そして山村崇嘉選手村田怜音選手高木渉選手だ。決して多くはないのだが、それなりに大砲となりうる若手選手はいる。

しかし残念ながら上に挙げた選手の全員が怪我に弱いという特性を持っている。例えば高木選手にしても非常に素晴らしい打者であるのだが、毎年のようにどこかを怪我しているためになかなか一軍で多くのチャンスを得ることができていない。もし高木選手が怪我に強ければ、ホームランのタイトルを狙えるだけのポテンシャルを持っていると思う。

そして上記選手たちの中で今唯一一軍でプレーしているのが山村選手だ。山村選手も比較的怪我に弱く、一軍定着前の浅村栄斗選手にタイプ的には近いと言える。山村選手もホームランを打てるだけの長打力があり、さらにはサードの守備も見ていて安定感があるし、非常に落ち着いてボールを捌いているように見える。いわゆる野球センスが非常に高い選手と言えるのが山村選手だ。

渡部選手に関しては今季は体調不良でかなり出遅れ、今のところ一軍の戦力にはなれていない。だが二軍ではホームランも出ているため、このまま好調が続けば、一塁手として野村大樹選手と入れ替わる日も近いのではないだろうか。野村選手も少しずつチームの勝利に貢献してくれてはいるが、しかし率ということで見るとあまりにも低いため、一軍レベルと言うことは今のところはまだできない。

4人目はルーキーの村田選手であるわけだが、今季は序盤に一軍に上がって来て鮮烈なスウィングを見せてくれたわけだが、しかし守備でハッスルプレーをし過ぎて膝に大怪我を負ってしまった。このようなタイプの怪我にしても、やはりプレーのしかたに問題があったということになるため、公傷ではあるものの、怪我に弱いという評価になってしまう。

プロ野球選手が活躍するためには、やはり怪我に強いことが最初の条件となってくる。いくら野球が上手くても怪我で頻繁に戦列を離れているようではチームに貢献することはできない。例えばかつてライオンズには坂田遼選手という左のスラッガーがいたわけだが、怪我さえしなければ松中信彦選手のようになっていても不思議はなかった。

今ライオンズに必要なのは金森栄治クラスの名打撃コーチ

さて、この和製大砲不足問題だが、ここにはもう一つ大きな問題があることを忘れてはならない。コーチ陣に現役時代に大砲と呼ばれた指導者がいないことだ。嶋コーチ、高山コーチ、大島コーチはいずれも現役時代は大砲とは呼べず、ホームランを量産できるタイプの打者ではなかった。やはりホームランバッターはホームランバッターにしか育てられないと思う。もしくは理論派コーチだ。

例えば清原和博選手は土井正博コーチの指導を受けることによってライオンズ史上最高のスラッガーへと成長していった。中村剛也選手にしても現役時代はスラッガーであったデーブ大久保コーチと超理論派の熊澤とおるコーチの指導によって覚醒していった。ちなみに浅村栄斗選手を打点王に育て上げたのも、ライオンズ退団後の熊澤コーチだった。

ライオンズの和製大砲候補たちを候補ではなく、確かなスラッガーに育てていくためには、来季ライオンズには現役時代はホームランを量産したことのあるコーチを招聘しなければならない。あと考えられることとすれば、個人的には数字がかなり落ちてきている中村剛也選手を、来季は選手兼打撃コーチにしても良いのではないだろうか。そしてそれに関しては栗山巧選手も同様だ。

もちろん体が動く限り栗山選手も中村選手も現役一本に拘りたいとは思うのだが、しかし中村選手に関しては最近ではホームランもほとんど出なくなってきているため、そろそろ兼任コーチとして指導者修行を始めていっても良いと思う。そもそも中村選手は合同自主トレでジャイアンツの岡本選手を球界を代表するスラッガーに育て上げているため、すでに指導スキルは持っているものと思われる。そう考えると、西武球団も中村選手のこの指導スキルを活かさない手はないだろう。

そして筆者が個人的に不思議だったのが、なぜ松井稼頭央前監督が、自身の現役時代に同時期に活躍したチームメイトである和田一浩氏を招聘しなかったかだ。ベンちゃんこと和田コーチは2015年に引退して以来、2023年になって初めコーチとしてユニフォームを着ている。つまりこれは松井監督が誕生したタイミングであるわけだが、松井監督はベンちゃんをドラゴンズよりも先に招聘すべきではなかっただろうか。

西武球団はOB監督、OBコーチに拘っていると報道されることもあるわけだが、ベンちゃんであればOB問題もクリアされる。さらに言えば今は早稲田大学で指導に当たっている金森栄治コーチの復帰も検討すべきではないだろうか。金森コーチは日本に「ステイバック理論」が本格的に入ってくる前から選手たちにステイバックを指導していた。

あのアレックス・カブレラ選手も金森コーチの指導には心酔しており、金森コーチがライオンズを去る際には、カブレラ選手は個人的に全力で慰留に努めたと言われている。指導者としての経験値や指導スキル、バッティング理論というものに関しては、恐らくは金森コーチの右に出る存在はほとんどいないだろう。

そして金森コーチにしてもライオンズOBであるため、西武球団が気にするOB問題もまったく問題にはならない。とにかく和製大砲たちを覚醒させていくためには、金森コーチレベルの指導者が必要だと言える。さすがに嶋コーチ、高山コーチを来季も慰留させることは許されないはずだ。

日に日にチームでの存在感が増してきているデストラーデSA

ライオンズファンなら誰もがご存知の通り、先日からオレステス・デストラーデ氏がスペシャルアドバイザーとしてチームに合流している。このデストラーデSAが誕生したのは、デストラーデ氏側からの売り込みによるものだったようだ。

地元マイアミでの解説者契約が満了したことで実現したライオンズOB戦への出場を機に、デストラーデ氏も古巣の体たらくぶりを何とかしたいと思ってくれたのだろう。このデストラーデ氏も将来的にはコーチ候補、いや、それどころか監督候補として挙げても良いと思う。

デストラーデ氏の場合はスイッチヒッターのホームラン王であったため、打者の左右関係なく指導することができる。そして非常に明るいキャラクターであり、解説者として選手を見る目も十分に肥えているため、来季以降の監督候補としても十分な存在感が感じられる。

ちなみに辻発彦監督の再登板もファンの間では待望されているようだが、筆者は個人的にはこれは実現しないのではないかと考えている。その理由はこれだけ早いタイミングで辻監督を復帰させてしまっては、辻監督を解任した判断が間違いだったと西武球団自身が認めてしまう形になるからだ。

もちろんそんな体裁を気にしていられるような状況では今はないわけだが、しかし今のライオンズをガラッと変えていくためには辻監督の復帰よりは、デストラーデ監督の誕生の方が新風を巻き起こせる可能性は高いだろう。

さらには言えば辻監督がリーグ二連覇を達成した際の主力はすでにライオンズを去っているか、まだ在籍していても力が衰えているかのどちらかであるため、仮に西武球団が監督復帰のオファーを出しても、辻監督がそう簡単に頷くとは思えない。

監督だったとしても、打撃コーチだったとしても、やはりホームラン王になった実績があるデストラーデ氏の存在感は今後ライオンズでは日に日に大きくなっていくはずだ。そしてデストラーデ氏はチームを明るくする力も持っており、これまですでに源田壮亮主将炭谷銀仁朗捕手がデストラーデ氏が現役時代に見せたガッツポーズ、BOOM!をすでに披露している。

上述した通り、ホームランバッターを育てられるのはやはりホームランバッターなのだ。熊澤とおるコーチのように、バリー・ボンズ直伝の指導スキルを持った超理論派コーチならまだしも、それだけの科学知識がない場合は、やはりホームランバッターの育成はホームランバッターに任せるべきなのだ。

だからこそ西武球団は、そろそろ中村剛也選手を選手兼任コーチにしても良いのではないかと筆者は感じているのである。どちらかと言えば教え下手な中島宏之選手に兼任コーチとしてオファーを出すよりは、すでに岡本選手を覚醒させることに成功している中村剛也選手を兼任コーチにした方が、成功率は高くなるのかなとは思う。

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THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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