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2024年3月12日公開

【ゲームレビュー】2024年03月12日 埼玉西武vs中日/オープン戦

埼玉西武ライオンズvs中日ドラゴンズ/オープン戦

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
Dragons 0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 3 0
Lions 0 0 0 0 1 0 1 1 × 2 8 1

元山飛優選手

元山飛優選手の猛アピールが続いている。この日行われたドラゴンズとのオープン戦でも六番サードでスタメン出場し、2打数2安打1盗塁と大暴れした。そしてこの2安打によりオープ戦での打率は.455まで跳ね上がった。

あともう10試合を切っているオープン戦で、このまま打率.300以上の水準をキープしていけば開幕サードの最有力候補として元山選手の名前が挙げられていくだろう。スワローズ時代には怪我に苦しみ、怪我をしている間に若手選手にどんどん追い抜かれてしまったという苦い経験を持っているだけに、今度は移籍組としてライオンズの選手を追い抜いていこうというアグレッシブな姿勢がこの好結果を生んでいるように見える。

バッティングに関しては嶋重宣打撃コーチと呉念庭選手に「体が開かないように」とのアドバイスをもらい、それを実践して来たことでここまでヒットを量産できているようだ。俊足の左打者の場合、少しでも早く走り出してボテボテのゴロであっても内野安打をもぎ取ろうとするあまり、走り打ちになってしまうケースが多々ある。そうすると体が開きやすくなり、強く打てるポイントに来るまでボールを待つことができず、ひっかけたり泳がされたりすることが増えてしまう。

この試合、1本目のヒットはやや泳がされそうになりながらも開くのを我慢したことで、上手く引っ張ってライト線を破る二塁打となった。そして2本目のヒットはしっかりとボールを引きつけて逆方向に打ち、ダイビングキャッチを試みた三塁手のグラブを弾く内野安打となった。

2本とも運だけで打ったヒットではなく、しっかりとした内容を感じさせてくれるヒットであったため、首脳陣もこの活躍を頼もしく感じてくれているはずだ。

元山選手はここまでオープン戦は4試合に出場し、11打数5安打の打率・出塁率.455、OPS1.364という驚異的な数字を残している。ちなみにこの公式の数字にはプレシーズンマッチの結果は含まれていないため、それを含めればOPSはさらに上がることになるだろう。

サードの有力候補としては佐藤龍世選手の名前も挙げられるわけだが、このふたりの違いは守備力にある。佐藤選手は昨季、78試合でサードを守り10失策を記録している。逆に元山選手はサードは本職ではないわけだが、佐藤選手を大きく上回る守備力を持っている。

つまり元山選手と佐藤選手のバッティングが同水準であるとすれば、守備力と走力を換算するとレギュラー争いは元山選手にかなり有利になってくる。逆に佐藤選手の場合はバッティングでしっかりアピールしていかなければ、サードのレギュラー争いから脱落してしまうことにもなりかねない。

だがその佐藤選手も二日前に行われた巨人戦では2本の二塁打を放ち、元山選手に負けじ劣らずのアピールを見せている。昨季はまったく固定することができなかったサードのレギュラーだが、今季はこのように元山選手と佐藤選手によって非常にレベルの高い争いが繰り広げられている。

開幕まではいよいよあと二週間少々となってきた。3月29日の開幕戦、果たして誰がサードの開幕スタメンの座を手にするのだろうか。もちろんオープン戦でいくらたくさんヒットを打っても年俸は上がらないわけだが、今季のライオンズはそのオープン戦の段階から見応えのある野球を見せてくれている。元山選手と佐藤選手のレギュラー争いは、これからますます熾烈を極めていきそうだ。そしてそんな野球をオープン戦から楽しめる今年のライオンズファンは、本当に幸せだと思う。

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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