2024年3月11日公開
ルーキーイヤーは驚異的なペースで盗塁を量産した若林楽人選手、そしてパワフルなバッティングでクラッチヒッターとして活躍したブランドン選手だったが、その後はふたりとも2年間怪我に悩まされるシーズンが続いていた。
若林選手は周知の通り膝の靭帯を痛め、ブランドン選手は股関節痛に苦しんだ。その結果出場試合数もどんどん減っていき、なかなか怪我をする前同様の溌剌としたプレーが見られなくなっていた。そして昨オフ、ブランドン選手に関しては戦力外通告を受け、育成選手として再契約を結ばざるを得ない状況にまで追い込まれてしまった。
もしこのふたりが怪我をしていなければ、昨季は外野のレギュラーが0人だったということもなかっただろうし、中村剛也選手の後継者の不在に悩まされることもなかっただろう。もちろん「たられば」の話でしかないわけだが、そう思わせられるほど、ルーキーイヤーのこのふたりの活躍は鮮烈だった。
ちなみに2020年のドラフト会議で1位指名されたのが渡部健人選手で、4位指名が若林選手、6位指名がブランドン選手だった。さらにこの年の育成ドラフトでは長谷川信哉選手、水上由伸投手、豆田泰志投手が指名されており、西武球団にとってこの年のドラフトはまさに当たり年だと言える。
若林選手に関しては、昨オフになりようやく膝に埋め込まれていた金属プレーを除去することができ、今季は昨季まで感じていた膝の違和感がまったくない状態でプレーできているという。やはり理想としてはこの韋駄天若林選手がリードオフマンとして固定されることだろう。
若林選手は少なくとも10本塁打前後を打てるだけのパンチ力も秘めている。そのためもし若林選手がリードオフマンとして固定されれば、プレーボールと同時に先頭打者ホームランで先制できる可能性も高まる。そしてその姿はかつての片岡易之選手と被る。片岡選手もやはりパンチ力を持っており、2010年には59盗塁、13本塁打、打率.295という圧倒的な数字を残している。若林選手には、このような数字を残した片岡選手のようになっていってもらいたいと筆者は期待している。
そしてブランドン選手に関してはまさに長打力が魅力なわけだが、大学時代には三度首位打者にも輝いており、確実性の高いバッティング能力も持っている。しかも50mを5.9秒で駆け抜ける俊足の持ち主でもあり、ブランドン選手としてはトリプルスリーを将来の目標として掲げている。
以前のコラムにも書いたわけだが、筆者は若林選手とブランドン選手には、栗山巧選手と中村剛也選手のようなコンビになってもらいたいと期待している。栗山選手はかつてはキャプテンを務めていたわけだが、若林選手も学生時代からキャプテンシーの高さが評価されている。そのため一軍でしっかりと活躍していくことができれば、近い将来「若林キャプテン」が誕生する可能性も高い。
ここ2年間はずっと怪我や後遺症に苦しんできた若林選手とブランドン選手だが、先日行われたDeNAとの2連戦ではこのふたりが揃ってタイムリーヒットを放っている。彼らのそのような元気な姿を見ていると、若林選手がリードオフマンとして固定され、ブランドン選手が支配下契約選手に戻る日もそう遠くないと感じているのは、決して筆者だけではないはずだ。