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2024年7月17日公開

球速表示以上に速く見える直球が青山美夏人投手に完封勝利をもたらした!

埼玉西武ライオンズ vs オリックスバファローズ/15回戦
1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
Buffaloed 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 3 0
Lions 0 0 0 0 0 5 0 1 0 6 7 0

継投○青山美夏人
勝利投手青山美夏人 1勝2敗0S 1.78
本塁打山村崇嘉(2)

球速表示以上に速く見える直球が青山美夏人投手に完封勝利をもたらした!

球速表示以上に速く見える直球が青山美夏人投手に完封勝利をもたらした!

青山美夏人投手

今日の試合は青山美夏人投手の好投に尽きるだろう。筆者は今季ここまで、青山投手のピッチングに関しては勝てていない時でもかなり良いと書いてきた。だがプロ初勝利がまさか完封勝利になるとはさすがの筆者も予想してはいなかった。

結果的には9回を最後まで投げて106球、被安打3、四球1、無失点というよもやマダックス(100球以下での完封勝利)かと思われるほどの素晴らしいピッチング内容だった。しかも今日はバファローズのエース級である宮城投手との投げ合いで勝ったのだからなおさら評価は高くなる。

思えばプロ一年目である昨季の開幕戦は、増田達至投手の代役守護神として最終回のマウンドに登っていた。チームは1点リードで勝っており、あと一死で開幕戦を勝利で終えられるところまで来ていた。だが9回二死で打席に迎えた森友哉捕手に痛恨の同点ホームランを浴びてしまい、ライオンズは延長戦で逆転されて開幕戦を落としてしまった。

だが今日はその時の借りを返したとばかりに、青山投手は森捕手を4打数ノーヒットに抑え込んだ。しかも打たれたヒットは散発の3安打のみで、ピンチらしいピンチさえなく9回を一人で投げ抜いてくれた。今日の勝利は、先日の菅井信也投手に続く新星の登場だと言って良いだろう。

今季ここまで筆者が青山投手のピッチング内容を高く評価してきた通り、今日の完封勝利は決してまぐれではなかった。まず一番に言えることは、青山投手のストレートは球速表示以上に速く見えるのだ。これはつまり初速と終速の差が小さいということで、亜細亜大学の野球部で鍛え抜いた下半身がここで生きてきているということなのだろう。

逆に今季の髙橋光成投手に関してはストレートが球速表示ほど速く感じない。そして髙橋投手ほどではないにしても、平良海馬投手にも同じことが言えた。

しかし青山投手のストレートはだいたい145km/h前後という表示なのだが、150km/hと言われても信じられるほど球質が良いのだ。しかもカーブとの球速差が40km/hほどあるため、打者としては一度タイミングを外されるとそこから修正することが難しくなる。

投手としてのタイプはもちろん違うのだが、ピッチングスタイルという意味ではかつてライオンズで活躍した岸孝之投手に近いと思う。今日のピッチングを見ていても、本当に素晴らしいピッチャーが出てきたなと思いながら筆者も試合観戦をしていた。

今井達也投手が剛の者だとすれば、青山投手は間違いなく柔の道を行くタイプだろう。ピッチングで押したり引いたりするのが非常に上手いのだ。昨季こそ代役守護神として開幕を迎えていたが、タイプとしては間違いなく先発型だ。

今季は髙橋投手と平良投手がまったく機能していないわけだが、ピッチングスタッフに関しては彼らの不在が感じられないほど充実している。となるとやはりあとは打線ということになるわけだが、今日6回に一気に5点を奪った半分の爆発力でももう少し見せていくことができれば、さすがにこのピッチングスタッフならば今季再び8連敗を喫することはないだろう。

青山投手が今季ここから二桁勝利を挙げていくことは現実的には難しいわけだが、しかし来季もし開幕ローテーションに加わることができれば、確実に二桁勝っていくことができるはずだ。その準備という意味でも、青山投手には今季はせめて5勝くらいはここから挙げていって欲しいなというのが筆者の正直な青山投手に対する期待値だ。

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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