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2024年7月31日公開

もはやライオンズファンは高木大成球団社長の誕生を待つしかないのだろうか?!

千葉ロッテマリーンズ vs 埼玉西武ライオンズ/13回戦
1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
Lions 0 0 0 0 0 2 0 0 0 2 5 0
Marines 2 0 1 1 0 1 1 0 × 6 13 0

継投●青山美夏人水上由伸ジェフリー・ヤン松本航
敗戦投手青山美夏人 1勝3敗0S 2.76
本塁打外崎修汰(4)

もはやライオンズファンは高木大成球団社長の誕生を待つしかないのだろうか?!

今ライオンズファンが期待すべきは将来的な高木大成球団社長の誕生

前回のプロ初勝利が完封だっただけに今日のマウンドも期待された青山美夏人投手であったが、残念ながら結果的には4回4失点でのKOとなってしまった。そして今季開幕から続くマリーンズ戦の連敗も13まで伸び、ライオンズは今季未だマリーンズに勝てずにいる。

ここまで勝てないとなると渡辺久信監督代行の言葉通り、本当に「プロとしてどうなのか」という話になってしまう。そして残念ながらライオンズの更なる補強もなく、残り試合は現有メンバーだけで戦うことになってしまった。

親会社にはもう少し頑張って欲しかったなという思いもあるが、しかし補強はなかったのだからこれ以上何か言うことはできない。ここからはデストラーデ氏の選手再生手腕と、育成出身のアンソニー・ガルシア選手の奮起に期待するより他ない。

だが冷静に考えると、他球団のように優勝を目指してチームをさらに勢いづかせるために7月31日の期限直前に補強を行う価値はあると思うが、誰が見ても今季は最下位で終わるだろうライオンズにさらなる資金を費やすのは商業的には決して正しいとは言えない。もちろん勝ちに行く姿勢を見せることはできるわけだが、しかし補強をしたところでその選手が機能する保証はどこにもないのだ。

ただ、現状を考えると何らかの補強は必要だったように思える。そうすればファンに対し親会社の戦う姿勢を見せられたはずだ。そして現状がどのような状況であるかと言うと、平日のベルーナドームでのナイトゲームは、今日のZOZOマリンでの平日のナイトゲームの半分以下しか客席が埋まっていないということだ。

前半戦が終了した際、奥村球団社長は勝つことが何よりのファンサービスだ、という趣旨のコメントをされていたが、残念ながらそれに対し親会社のサポートは得られなかったようだ。そう考えると親会社側も今季は最下位で終わることを確信してしまっているということなのだろう。

奥村球団社長はプリンスホテル野球部の出身だけに、野球に対しては決して無知な方ではない。だからこそ2022年の球団社長就任時には大きな期待も寄せられたわけだが、しかし今のところ球団社長としての奥村氏は、まだ目立った功績は残せていない。

ただし近い将来、と言っても10年以内というスパンで期待できるのは、レオのプリンスと呼ばれた高木大成球団社長の誕生だ。現役引退後は一貫して背広組として西武グループで頑張ってきており、そして誰よりもライオンズに対する愛着を持ち、誰よりもライオンズをよく知る人物だ。

今ライオンズファンが期待すべきなのは今季ここからの巻き返しではなく、将来高木大成球団社長が誕生した時に久しぶりに強くなるライオンズの姿なのかもしれない。

三番四番の本塁打数に10倍もの開きがある西武とロッテ

さて、今日の試合の青山投手だが前回完封勝利した際と比較すると、ボールの出どころがやや見やすかったような印象を筆者は受けた。少し体が開いていたのだろうか、ストレートと変化球の投げ方も僅かに違っていたように見えたし、完封した際の落ち着きのあるピッチングとは明らかに違っていた。

完封した際、筆者は青山投手のことを岸孝之投手に準えたわけだが、しかし残念ながら岸投手の良いところだけではなく、悪い部分も似てしまったようだ。岸投手の弱点と言えば被本塁打の多さであったわけだが、青山投手も今日、僅か4イニングスで3本のホームランを打たれてしまった。

しかもマリーンズの三番ポランコ選手は青山投手から2本、ジェフリー・ヤン投手から1本と、今日の試合では3本も打球をスタンドに叩き込んだ。四番ソト選手もホームランを打っているため、今日のライオンズはマリーンズの三番四番コンビに、4安打どころか4本塁打を献上してしまった。

これが三番四番の合計本塁打数が30本のマリーンズ打線と、三番四番の合計本塁打数が3本のライオンズ打線との違いなのだろう。三番四番の本塁打数に10倍もの開きがあるのだ。この数字を見せられただけで戦意を失いかけてしまうのは決して筆者だけではないはずだ。

渡辺監督代行はまだファイティングポーズを崩してはいないが、しかし親会社がもはやファイティングポーズを見せていないのだから、現状のライオンズ打線でチームがここから巻き返す可能性は0に近いだろう。マリーンズは外国人選手2人だけで30本塁打なのに対し、ライオンズは全選手の合計が36本塁打となっている。

どうせ打てないのであれば長打力のある打者をクリーンナップに!

打線に関しては蛭間拓哉選手を一番に据えてみてはどうだろうか。今季は2年目にしてプロ初盗塁を決め、決して走れない選手ではない。そもそもかつて一番を務めた秋山翔吾選手も、216安打放ったシーズンでも17盗塁で、キャリアハイもその翌年の18盗塁だ。そう考えれば一番打者に盗塁王の獲得を求める必要はないのだろう。

もちろん理想的には松井稼頭央選手や片岡易之選手のような走りっぷりを見せてもらいたいわけだが、しかし今のライオンズに求められる一番打者像は、とにかくヒットを打って塁に出ることだ。そういう意味では他球団と比べれば低くとも、ライオンズの中では比較的安定感がある方だと言える蛭間選手を一番に据えることは悪い起用法ではないと思える。

そして蛭間選手を一番に据えられれば源田壮亮主将を二番に戻せるため、一番が出塁して二番で送ってクリーンナップを迎える、という戦い方もしやすくなる。確かに得点圏打率が.342と高い蛭間選手を一番に据えるのは少しもったいない気もするわけだが、しかし今はチャンスメイクできる数を増やしていく方が重要だ。

だが蛭間選手を仮に一番に据えた場合、問題は三番打者をどうするかだ。現時点では山村崇嘉選手も好調とは言えないし、先日まで三番を任されていた野村大樹選手も今は八番まで打順を落としている。

とにかく今は打てている選手がいない状況なのだから、それならば日本人離れしたパワーを持っているフランチー・コルデロ選手とガルシア選手をクリーンナップに置いてしまって良いのではないだろうか。コルデロ選手は感染症特例で登録抹消されてしまったわけだが、もし体調が回復しているのであれば、やはり一軍のスタメンで起用していくべきだ。ちなみにコルデロ選手はすでに二軍の試合には出場し始めている。

そしてオーダーに名を連ねるガルシア選手が奮闘していれば、コルデロ選手にも火が付き、何らかの相乗効果を生み出す可能性もある。ヘスス・アギラー選手の回復具合の情報がまったく届いてこないため、やはりコルデロ選手とガルシア選手に頼らざるを得ないのではないだろうか。

ちなみに二軍では佐藤龍世選手もすでに試合に出始めているため、今後の状態次第では8月中には一軍に復帰してくると思われる。また、二軍で8本塁打を打っている渡部健人選手も、かつてのように一軍の四番を任せてみても面白い存在だと言える。

とにかく今のライオンズは長打力がなさすぎるため、先日も書いた通り相手投手に伸び伸びと投げさせてしまうのだ。しかしそれでは打線はさらに苦しくなるだけであるため、やはり率は低くても長打力が抜群の打者を二人はオーダーに並べたいところだ。そしてその候補がコルデロ選手、ガルシア選手、渡部選手というところになってくる。こう言ってはなんだが、どうせ打てないのであれば当たれば飛ぶ打者をクリーンナップには並べた方が、相手投手からすると絶対に嫌なはずなのだ。

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THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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