2024年7月16日公開
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | R | H | E | |
Buffaloes | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 7 | 0 |
Lions | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 6 | 0 |
継投/ 渡邉勇太朗〜 Hボー・タカハシ〜 Hアルバート・アブレイユ〜 ●松本航
敗戦投手/松本航 1勝5敗0S 2.76
直近10試合のライオンズの成績は1勝9敗となり、5位バファローズとの差は15.5ゲーム、首位ホークスとの差は28ゲームとなってしまった。もはやAクラスどころか5位浮上も厳しいというのが現実だ。
昨日の試合に勝つまではライオンズは8連敗をしていたわけだが、やはり岸潤一郎選手のネットナンパ不倫騒動がチームに与えたダメージは小さいとは言い難い。不倫報道が出されたのが7月3日で、7月4日のホークス戦こそは武内夏暉投手の好投で勝利したものの、その翌日から泥沼の8連敗となってしまう。
しかもその間岸選手の調子はみるみる落ちていき、今はスタメンに名を連ねることもなくなってしまった。現代の選手はスポーツ新聞を毎日チェックするというよりは、SNSなどのインターネットで情報収集をしている。そのため、特にSNSのアカウントを持っている選手の中でゴシップ誌が報じた岸選手の不倫報道を知らない選手はいないはずだし、SNSをやっていなくても誰かから耳にしていることは間違いないだろう。
ライオンズナインとしては「また今年も不倫か」という思いだったはずだ。せっかく打線が上向きになっていたところでタイミングよく出された不倫報道、これにより反撃ムードは一気に萎んでしまった。ファンとしても岸選手の不倫報道には連敗以上にガッカリさせられてしまった。一度の過ちだけならまだしも、同じ過ちを繰り返しているのだから岸選手を庇おうにももはやその余地はない。
5位までの15.5ゲーム差というのは、ライオンズが16連勝して、バファローズが16連敗することで初めて逆転できる数字だ。つまりシーズンも折り返しとなり、ここからライオンズが5位に浮上することさえもはや現実的ではないと言うべきだろう。もちろんファンとしてはそれでも最後の1試合まで応援を続けていくわけだが、しかしベルーナドームに閑古鳥が鳴いていることだけは間違いない。
上の写真は今日のベルーナドームのものなのだが、いくら夏休み前の平日のナイトゲームとは言え、あまりにも空席が多過ぎる。ただ、今オフに関しては髙橋光成投手や平良海馬投手ら日本人高額年俸選手の年俸が大幅に下がることが予測されるため、何とか凌げるかもしれない。だがこの調子が来季以降も続けば、さすがの西武HDもライオンズを持ち続ける経営体力が十分にあるとは言いないはずだ。
メディアでも報じられているが、そもそもなぜ岸選手が未だに一軍でプレーしているのかが筆者には理解できない。かつてエースだった涌井秀章投手は、美人局の被害に遭ったのでは?とも思えるトラブルに巻き込まれ、どちらかと言えば被害者だったようにも見えたわけだが、それでも西武球団はエースに相応しくない品位のない行動だったとして涌井投手を無期限の二軍降格としていた。
確かにエースとしての自覚が足りない行動だったことは否めない。しかし不倫をしていたわけではないし、反社会的行動を取っていたわけでもなかった。だが岸選手の場合は社会通念場NGとされる不倫を繰り返しているにも関わらず、今のところ何のお咎めもなしというのはファンとしては解せない。
去年は山川穂高、今年は岸潤一郎と、ライオンズは2年連続で女性ファンを大きく減らす原因を作った選手を出している。今女性ファンの中には、岸選手の顔も見たくないという方も少なからずいるはずだ。そして岸選手自身不倫報道後はどんどん調子を落としているのだから、一軍に置いておく理由もそれほど見当たらない。
なぜ筆者がこのようなことを書くかと言えば、岸選手のように繰り返しトラブルが報道されているような選手と共にプレーすることで、果たしてチームが一丸となれるのか、ということを問いたいためだ。チームメイトも口にこそ出さねど、内心は岸選手の報道にはウンザリしているはずなのだ。
さて、ここからは気を取り直してまともに頑張ってくれている選手たちの話をしたい。まずはボー・タカハシ投手だが、昨日の試合から先発から再びセットアッパーへと戻った。これはもちろんボー・タカハシ投手は先発よりもリリーフとしての適性の方が高かったということだとは思うのだが、当初想定されたリリーフの布陣に狂いが出ていたことも一つの理由となったはずだ。
例えば今季オープン戦までは守護神候補が増田達至投手、アルバート・アブレイユ投手、田村伊知郎投手、豆田泰志投手、そして甲斐野央投手と実に5人もいた。しかしこの中で一軍登録を一度も抹消されていないのはアブレイユ投手ただ一人で、想定されていたリリーフ布陣で戦うことがまったくできていない。
今季はリリーフ陣の層が厚くなると考えられていたからこそ、渡辺久信GMも昨年の契約更改の席でボー・タカハシ投手に対し先発転向の辞令を出していた。もしかしたらこの契約更改の中には、少なくとも10試合は先発起用をして適正を見極めるという要項が入っていたのかもしれない。もしそのような要項がまったくない状態であれば、成績的にはボー・タカハシ投手はもっと早くリリーフに戻っていても不思議ではない数字だった。
だがやはりボー・タカハシ投手はリリーバーとして見ていた方が安心感がある。今日の試合でも1イニングを投げて、先発時以上に威力のあるストレートで空振りを奪っていた。森友哉捕手には不運な二塁打も打たれてしまったわけだが、その後も危なげなく回を締め括ってくれた。
ちなみにこの不運な二塁打は、蛭間拓哉選手が一直線にライト線に飛んだ打球に向かっていき、横っ飛びで捕球を試みてボールがグラブに収まりかけるも、残念ながらグラブの土手がボールの勢いに負けて、そのボールがグラブから逃げていってしまった結果の二塁打だった。
しかし1-1でもう1点も与えられないというこの8回の場面であれば、すでに二死だったわけであり、無理して捕球をしにいくよりは、蛭間選手も少し回り込んでシングルヒットで留めるという判断でも良かったと思う。ボー・タカハシ投手が無失点で切り抜けてくれたため良かったのだが、しかし二死二塁とするよりは、場面的には回り込んで二死一塁にするという冷静な判断も今後は必要になってくるのかもしれない。
とにかくボー・タカハシ投手がセットアッパーに回ったことで、8回9回はほぼ磐石になったと言えるだろう。こうなってくるとあとは7回をジェフリー・ヤン投手、佐藤隼輔投手、田村投手、中村祐太投手で臨機応変に回していけば良いということになるため、今後の戦い方は少し変わってくるのかなとは思う。
さて、もう一人適切に関する話をしておくと、松本航投手はリリーフの適性は低いように思える。現在一軍の先発陣は今井達也投手、隅田知一郎投手、武内夏暉投手、青山美夏人投手、そして今日非常に素晴らしいピッチングを見せてくれた渡邉勇太朗投手という布陣になっている。そしてこの5人に加えて昨日好投した菅井信也投手の名前も加わってくる。
だがやはりここに松本投手の名前も加えるべきだろう。今季はリリーフに転向する前は、打たせて取るピッチングによるスタイルを確立し始めていた。マダックス(100球以下での完封勝利)も視野に入ってくるほどの良いピッチングをしていたわけだが、しかし甲斐野投手が肘痛(違和感?)により抹消されてしまったことで、その穴を埋めるために松本投手が急遽ブルペンに回されていた。
しかしせっかく先発によって、力任せに投げずに抑える技術を習得し始めていた矢先にリリーフに転向させられたことにより、また力任せに投げるピッチングが顔を出すようになってしまった。その結果最近5試合では合計4回1/3を投げて4失点となっており、この5試合での防御率は8.37という数字になっている。
松本投手は今年28歳になるわけだが、これから30歳という節目を迎えてさらに選手寿命を伸ばしていくためにも、やはり先発に戻してあげて、習得しかけた力みなく投げて球数を抑えるピッチングをさせてあげた方が良いのではないだろうか。そして今日の試合で非常に印象的だったのが打たれた松本投手がダグアウトに戻る際、渡邉勇太朗投手にすれ違いざまに「ごめん」と言った場面だ。いや、実際にはそう聞こえたわけではないのだが、しかし口の動きを見ると確かに「ごめん」と言っていたように見えた。これは筆者にとっては非常に印象的なシーンだった。
今は確かに菅井投手を加えれば先発は6枚揃っているわけだが、松本投手のリリーフ適性は明らかに高いとは言えない。もちろんプロである限り与えられたポジションを全うしなければならないわけだが、しかし松本投手の良さを引き出すためには短いイニングを力一杯投げさせるよりも、長いイニングをペース配分しながら力まずに、イニングイーターとして投げさせてあげた方が良いように思える。
もし松本投手がキラーボールを持っていれば、リリーフとしてそのボールを連投するくらいでも良いとは思うのだが、松本投手の場合はキラーボールを持っているというよりは、スプリッター、カーブ、カッター、スライダー、そしてストレートのコンビネーションで抑えていくタイプであるため、そう考えるとやはり適性はリリーフよりも先発であると言うべきだろう。
このあたりの起用法、つまりリリーフ特性の投手を先発に回し、先発特性の投手をリリーフに回してしまったというチグハグさも、今季ここまでのライオンズの弱さの原因になっているのかもしれない。ちなみに松本投手のようなコンビネーションで抑えるタイプの投手の場合、炭谷銀仁朗捕手とバッテリーを組むことによってその良さをさらに引き出していけるはずだ。
しかしここ最近の松本投手のように、力一杯投げることによって細かい制球力を失ってしまっている状態では、ブルペンを任せたとしてもセットアッパーとして起用することは難しいだろう。ちなみに松本投手は国内FA権の取得まであと1シーズン+約3ヵ月程度となっており、恐らくは来季中の国内FA権の獲得は難しいのかなとは思う。
だが再来年のシーズン中に国内FA権を取得した場合、今のような適正を外れた起用を続けていては、松本投手も先発として投げる機会を求めてFA移籍してしまう危険もあるだろう。このようなFA流出を防ぐためにも、やはり松本投手にとって最も適性の合ったポジションで起用してあげて欲しいというのが、首脳陣に対する筆者の正直な気持ちだ。