2024年7月21日公開
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
Hawks | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 7 | 0 |
Lions | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 6 | 0 |
継投/ ●隅田知一郎
敗戦投手/隅田知一郎 6勝8敗0S 3.05
前半戦最後の試合となったベルーナドームでのホークス戦、先発隅田知一郎投手は9回1失点と文句なしの好投を見せながら、打線がまったく援護することができず、結局9回表に失った1点のみにより敗れてしまった。
そして今日敗れたことにより、ライオンズの自力でのCS進出は消滅してしまった。もちろんこれは上位球団がオールスター後に大失速すれば復活する可能性もあるわけだが、5位との差が13.5ゲームと考えると、さすがに残り56試合で最下位を脱出することは困難を極めるだろう。
さて、今日の9回表についてだが、筆者はピンチを作って栗原選手を迎えた時点で交代をすべきだと考えていた。確かに栗原選手を迎えた時点で球数はまだ100球未満だったため、体力的にはまだ行けたのかもしれない。しかし7回までの3打席で隅田投手は栗原選手に3打数2安打と上手く合わせられていた。この日の栗原選手が隅田のボールに対しタイミングが合っていたことを考えると、佐藤隼輔投手、もしくはジェフリー・ヤン投手に交代しておくべきだった。
恐らく首脳陣は隅田投手の100球に到達していない球数と、次打者が隅田投手にまったく合っていなかったことを踏まえての続投だったと思うのだが、1点を失えない状況だったことを考えると、もう少し安全策を講じていても良かったのではないだろうか。
そう考えるとやや後悔が残る前半の最終戦となってしまった。だが前半戦と言っても143試合中の60%をすでに消化しており、残りは56試合しか残されていない。この56試合を44勝12敗、勝率.785で戦うことができると、ようやく負け越しが0になるというのが今のライオンズの現実だ。
しかし今季ここまでの戦い方を見ている限り、守備のミス、走塁ミス、バントミス、三塁コーチの判断ミスなど、同じミスが繰り返されているため、後半戦も同じようにミスをしていった場合、やはり前半戦のように負け越しを増やすだけの結果になってしまうだろう。
さて、前半戦を総括したいと思うわけだが、総括すればするほど後半戦への希望を失ってしまいそうな気がしてならない。まず前半戦で最も大きな出来事と言えば、やはり松井稼頭央監督の更迭だろう。筆者は個人的には監督は代えるべきではなかったと今でも考えている。
筆者はこれまでの記事の中で監督が実際に交代されるまで、一度も松井監督の解任を求めたことはなかった。解任される可能性については書いたわけだが、解任すべきと書いたことは一度もない。その理由は、2014年に伊原春樹監督が更迭された時のように、監督の言動がチームを壊していたわけではなかったからだ。
2014年に関してはまさに口は災いの元と言うべく、伊原監督が選手の気持ちを逆撫でするような発言をしたり、時代錯誤の締め付けを行なったりするなどし、チームが空中分解したような状態に陥っていた。ただ、伊原監督のやり方のすべてを否定したいわけではない。
例えばプロ野球選手は子どもたちの手本とならなければならず、日本の社会人として相応しくない見た目にはすべきではないと筆者も思う。例えばひと昔ふた昔前のヤンキーのような髪型をしたり、海外のラッパーのようなド派手なネックレスをしてプレーをしたり、髭を伸ばしてみたり。
髭に関しては一般社会でも蓄えている人は決して少なくないわけだが、しかし仕事ができないのに髭を伸ばしたり茶髪にしたりする人は一般社会にはいない。いや、いるのかもしれないが一般的にはそれは受け入れてはもらえないはずだ。例えばマーケティングにおいては、取引先の社員がEXILEのような髪型をしていた場合、信用度が一気に下がるというデータもあるほどなのだ。
そう考えると今のライオンズの問題点は、若手を律することができる中堅・ベテラン選手がいないことではないだろうか。例えば2000年代のライオンズには石井貴投手という存在がいた。いわゆるやや強面のエース級ピッチャーで、石井投手がまだ若い頃は清原和博選手とプライベートでは親交が深かった。
だが石井投手は当時の清原選手の私生活まで真似ることはなかった。飲みに行っても人が嫌がる飲み方をしていたという噂は一切耳にしなかった。社会人上がりのプロ野球選手だったこともあり、先輩や上司からの誘いを断らないという人付き合いのされ方はしていたようなのだが、それはあくまでもサラリーマン的な付き合いであったようだ。
そして本当に真のサラリーマンのように、石井貴投手は非常に礼儀正しく、後輩たちの手本となる姿勢をグラウンド内外で見せていた。また、時には目に余る行動を取る後輩選手を厳しく叱責することもあり、当時のライオンズの風紀がそれほど乱れていなかったのは、石井貴投手の存在があったからだと言われている。
例えばもし石井貴投手の存在がなければ、松坂大輔投手はもっと天狗になっていたかもしれなかった。だが石井貴投手という抗っても人間的に勝ち目のない先輩がいたことにより、松坂投手は天狗になっても不思議ではない好成績を残しながらも決して天狗になることなく、メジャー移籍するまでチームメイトに愛され続けた選手で居続けられた。
さらにはデニー投手の存在も大きかっただろう。デニー投手に関しては第一次伊原政権時に伊原監督と揉めてトレード志願をしてライオンズを離れてしまったのだが、それまでは松坂投手の良きお目付役を務めていた。デニー投手もまた石井投手とはスタイルこそ違えど、「それは違う」と思ったことは後輩にどんどん言っていくことができるリーダーシップを持っていた。
そして野手陣に関しては伊東勤捕手という絶対的存在があったため、その生きる伝説を前に若手選手たちがチャラチャラすることは許されなかった。ややチャラチャラしても許されたのは、リーグを代表するレベルの活躍を続けていた松井稼頭央選手くらいではなかっただろうか。
しかし今のライオンズにはかつての石井貴投手、デニー投手、伊東勤捕手のように、後輩選手たちに物言いできるベテラン選手の存在がいない。確かに栗山巧選手、中村剛也選手、増田達至投手らは本当に素晴らしい選手であり、困った時には絶対にいてもらわなければ困る選手たちではあるのだが、しかし後輩にガミガミと物言いするタイプの選手たちではない。
確かに野球は外見で行うスポーツではない。髪の毛が長かろうが変な色だろうが、それによってパフォーマンスが変わるわけではない。しかしメジャーと日本とでは文化が異なる。日本では比較的若い30代40代のファンであっても、髙橋光成投手や今井達也投手のロン毛に対し批判的なファンが多い。
例えば松井監督の出身校であるPL学園は、一年生は食堂でマヨネーズか何かを使ってはいけないという話を聞いたことがある。その理由は、何かを我慢し続けることによって忍耐力が付き、二年生三年生になった時に他校の選手よりもメンタルの強い選手になれると考えられていたからだ。
これは確かに一理ある。だが今のライオンズの場合、まったく安定した成績を残していない選手であってもチャラチャラした外見をした選手が多い。反面村田怜音選手のように、まるで高校球児さながらの直向きさのままプロに入ってくる選手もいる。
将来的には村田選手を主力として育てていき、風紀を乱しそうにない村田選手が中堅・ベテランになった時、若手選手たちに物言いできるチーム作りを今から目指していくべきではないだろうか。
髪を染めるな、髭を伸ばすなとは言わないが、しかしやるなら誰もが納得できる成績を残してからだ。首位ホークスの選手だったとしたら一軍に定着することさえ難しいと思われるライオンズの若手スタメン選手たちも、ネットナンパなどに時間を使っている暇があったらまずはバントの特訓をすべきだろう。
松井稼頭央監督のコメントを聞いていて、筆者はいつも疑問に思っていたことがあった。それは選手のFA移籍に関するコメントで、松井監督はいつも「自分もFAで出て行ったから、選手に出て行くなとは言えない」というものだ。このコメントを聞いた時、松井監督はリーダータイプの人ではないのだろうと筆者は確信した。
確かに今FAやポスティングでライオンズを出ていこうとしている選手たちが松井監督から慰留されたとしても、「でも監督もFAでライオンズを出ていきましたよね?」と言うかもしれない。しかしそうではない。松井監督は監督という立場として、FA移籍やポスティング移籍を求めている選手に対して「ライオンズが勝つためには絶対に残留してもらわなければ困る」と言わなければならなかったのだ。
だが松井監督は自分がFA移籍したことを念頭に、選手たちに対し弱腰のコメントを出すことがあった。このように選手に遠慮しているようでは当然だが勝てる監督になることはできない。
勝てる監督と言えばかつてドラゴンズを率いた落合博満監督がいるわけだが、果たして落合監督は自分もFA移籍をしていたから「選手に出て行くなとは言えない」などと言うだろうか。いや、絶対に言わないはずだ。FA権は確かに選手の権利であるわけだが、チームを勝たせるためにFA取得選手を慰留するのは監督の権利だ。松井監督はその権利を行使することをしなかった。
さて、筆者は松井監督の解任を求めたことはないと上述したわけだが、その理由は松井監督がやろうとしている野球に、選手たちの技術が伴っていなかったからだ。つまりライオンズの野手陣のレベルは明らかに一軍半であり、とてもじゃないが他球団でレギュラーを張れるレベルではない。
これが逆に、選手たちは実力者揃いなのに勝てないということになれば、これは明らかに松井監督の采配が敗因だったと言える。だが昨季・今季のライオンズは采配云々ではなく、采配を揮えるところまで選手がゲームメイクすることができていなかった。そのため筆者は例え監督が変わっても今のライオンズの場合はそれで勝てるようにはならないだろうと見ていた。もちろんファンとしてはそれで勝てるようになって欲しかったのだが。
例えば2014年の場合は明らかに選手たちが伊原監督に対し反感を抱いていたため、この場合は監督を代える効果はあった。実際2014年に監督代行を務めた田邊徳雄監督は、伊原監督が采配を揮った53試合は20勝33敗の勝率.378だったのに対し、伊原監督更迭後は43勝44敗の勝率.494までチームを立て直すことに成功した。
だが2014年というのは、第一次渡辺久信政権時の勝ち方を知っている選手たちがまだ大勢残っていた。そのため田邊監督の人望によりそのチームを一つにまとめることで、チームが完全崩壊することはなんとか避けることができた。しかし今のライオンズの野手陣にはまだまだ一軍レベルの実力が伴っていない。そのためさすがの渡辺監督も手を焼いているように見える。
ライオンズが残り56試合で少しでも巻き返すためには、やはり一軍レベルで軸を打てる選手の補強が不可欠だ。それがトレードになるのか外国人選手の補強になるのかはまだ分からないが、しかし松原選手・野村選手の獲得ではまさに焼け石に水状態だ。
ちなみに補強・トレード期限までもう10日を切っている。トレードをするにしても外国人補強を行うにしても7月31日が期限となるため、動きがあるとすればもうこの10日間以外にはあり得ない。さすがにこれ以上何の補強もしないということになればほとんどのファンが納得しないだろう。そのため恐らくはこの10日間で何らかの動きは見せてくるのだと思う。
中南米の野球を見ているアメリカ球界のジャーナリストが出した噂話によれば、ライオンズはキューバ人選手の獲得を目指しているという情報も出ている。これはあくまでもまだ噂話でしかないわけだが、しかし火のないところに煙は立たないため、キューバ人選手も含めた調査を行なっていることだけは事実と言えるのではないだろうか。
キューバ人選手を獲得する場合、いかなる選手であってもキューバ政府を介す必要がある。そのため、仮に日本でプレーするダヤン・ビシエド選手を獲得する場合であっても、必ずその情報は常にキューバ政府と共有されることになり、そこからジャーナリストに情報が流されることはよくあることだ。
今はまだ新外国人選手なのか、日本で実績のあるビシエド選手の獲得を目指しているのか、そもそも本当にキューバ人選手の獲得を目指しているのかも正確な情報は何もない。だが間違いなく言えることは、一軍で主軸を打てるレベルの選手の補強なくして後半戦の巻き返しは不可能だということだ。
後半戦を終えた際、渡辺監督代行は「このままでは終われない」と語った。この言葉がただの虚勢であったのか、それとも後半戦巻き返すための補強策を内に秘めての言葉だったのかは、10日以内にはハッキリするだろう。