2021年4月 2日公開
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | ||
西武 | 0 | 0 | 4 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 6 | 12 | 0 | |
ソフトバンク | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 5 | 0 |
【ホームラン】
中村剛也(1号)
観衆:9,404人、試合時間:2時間48分
今季ホークスとの初戦、先発マウンドに登ったのは開幕投手を務めている髙橋光成投手だった。PayPayドームは投げやすいと本人も話しているように、素晴らしいピッチングを見せてくれた。立ち上がりこそ二者連続で3-2となり、初回から球数が気になる状態ではあったが、3人目以降は今日のストライクゾーンにアジャストできたかのように良いボールを連発し、8回を投げて110球、被安打4、奪三振8、失点2という本当に素晴らしいピッチングを披露してくれた。
決して甘いボールがなかった訳ではないのだが、しかし自信を持ってボールを投げられている影響なのだろう、ホークス打線が髙橋投手に対しなかなか合わせていくことができなかった。そうこうしているうちに4者連続三振などでどんどんアウトカウントを増やしていった。そしてそのエースのピッチングに応えるように打線も奮起し、3回には中村剛也選手のスリーランホームランなどで一気に4点を先制。この先制点により、髙橋投手もさらに楽に投げられるようなった。
実はシーズンオフ、髙橋投手は球速に対するこだわりを見せていた。そのため筆者はそれを心配する記事を書いたわけだが、その心配は杞憂に過ぎなかったようだ。もちろん今夜も150kmを超える速球を投げ込んでいたわけだが、この球速は髙橋投手にとっては普通の速度だと言える。本当に力みなく、球速よりも制球力と変化によってホークス打線を翻弄していった。
数年前までは荒れ球が代名詞だったとも言える髙橋投手だが、今季の制球力は非常に良い。今日の試合でも絶妙なところにストレートと変化球を決めており、連続で見逃し三振を奪うシーンも見せてくれた。バッターが手も足も出なかったという意味では、見逃し三振こそが最高の奪三振だだと言える。
6回に関しては一死から連続四球を出し、その二人を生還させてしまったわけだが、髙橋投手自身この6回を勝負どころと踏まえていたはずだ。この6回を三者凡退で抑えられれば、7回は走者がない状態でクリーンナップとの勝負に集中できると考えたはずだ。だがその6回で少し大事に行き過ぎてしまい、5回までに見せていた大胆さと絶妙な制球力が少し見えなくなってしまった。その結果2点を失ってしまった。だがそこからバタバタと崩れることなく、しっかりと立て直したところはさすがは開幕投手だ。
今日も好投している涌井秀章投手が去って以来、ライオンズには絶対的エースの存在がなかった。だがここに来て、ようやく宿敵相手に白星を挙げられる投手が育ってきた。その髙橋投手だが、何と今日ホークスから勝ち星を挙げてホークス戦自身7連勝となった。ライオンズでホークス相手に7連勝を記録したのは、1999〜2000年の石井貴投手以来だと言う。
良いピッチングを続けている限り髪を伸ばし続けると話している髙橋投手だが、このまま肩まで届くくらい髪を伸ばし続けてもらいたい。吉田拓郎さんの歌のように。
一方打つ方では主砲山川穂高選手を欠いているわけだが、その不在の穴がまったく感じられない破壊力を見せてくれた。以前もそうであったように、山川選手不在時に4番に座る中村剛也選手の存在感と集中力が物凄い。甘い球を見逃すことはないし、空振りをした時もしっかりと自分のスウィングをして空振りをしている。
2打席目ではスリーランホームランで今季6試合目で7打点目を挙げたわけだが、3打席目のレフトフライもホームランになっていたとしても不思議ではないバッティングだった。2打席目同様に初球の甘いボールを振っていったのだが、僅かにバットがボールの下に入り過ぎてしまった。その分打球が上がり過ぎてしまいレフトフライで終わってしまったのだが、もしバットがあと1mmボールの上に入っていたら、3打席目もホームランになっていただろう。おそらく中村選手自身もそのようなミスショットだと感じていたはずだ。打った瞬間に非常に悔しそうな表情を見せている。
それにしても中村剛也選手は凄い。今季20年目で38歳となるシーズンなのだが、4番としてまったく不足のない活躍を見せてくれている。栗山巧選手こそキャンプ中に追い込み過ぎた影響が出てしまったのか、現在は下半身の張りで登録抹消となっているが、しかし張りが出るまではオープン戦から開幕戦までしっかりとヒットを打ち続けていた。
チームが優勝するためには、必ずベテランの力が必要になる。このふたりが元気なプレーを見せ続けていれば、若い選手たちが力を抜くわけにはいかない。その相乗効果も期待できるのが、中村・栗山両ベテラン選手の活躍というわけだ。
さて、そろそろプロ初ヒットを打たせてあげたい若林楽人選手だが、1軍レベルのプロのスピードにまだ付いて行けていないのかな、という印象だ。今夜の打席でもやはり150km前後のストレートに完全に振り遅れてしまっているし、コンタクトした際でもバットが押し戻されてしまっているように見える。
ただ、細身ではあるが芯が細い選手ではない。例えばライオンズで言えばかつての小関竜也選手や赤田将吾選手のように、プロのスピードに慣れれば打率3割弱を打てる打者にはすぐにでもなれるのではないだろうか。そのためにも外国人打者が試合に出られるようになるまでの間は、もう少し我慢して1軍の打席を経験させてあげて欲しいなと個人的には思っている。
外野手の層がやや薄いチーム事情もあり、多少打てなくても若林選手がすぐに2軍降格させられるということはないと思うのだが、しかしそのチャンスもレフトも守れるスパンジェンバーグ選手が1軍に合流するまでということにはなるだろう。だからこそそれまでの間に1球でも多く1軍レベルのボールを体感できる機会を与えてあげて欲しい。
さて、今夜勝ったことでライオンズとしては土日であと1つ勝てれば良いという気持ちで試合に挑めるようになった。もちろん現実問題としては3連戦3連勝してもらいたいわけだが、ホークス戦はそこまで甘い戦いではない。だがそこでホークスアレルギーを再発させてしまうよりは、まずは土日であと1勝というリラックスしたムードで残り2試合を戦ってもらいたい。そうすれば自ずと良い結果もついてくるはずだ。
そしてチームをリラックスさせるためにも重要なのが、明日浜屋将太投手がどれだけリズム良くボールを投げられるか、ということだろう。死球を恐れず、どんどんインサイドを攻めて凡打の山を築き上げてもらいたい。